「痩せる」不当表示で販売会社に課徴金2000万円 アフィリエイトサイトの悪質表示も広告主の責任に
アフィリエイトの健全化が期待されます。
「7日間飲むと1ヶ月体重が減少し続ける」などの不当表示を行い、サプリメントや健康グッズなどを販売していたとして、消費者庁は6月15日、インターネット通販企業「ブレインハーツ」に対し、課徴金2229万円の納付を含む行政処分を下しました。自社サイトの表記だけでなく、アフィリエイトサイト上の表記も景品表示法の規制対象であることが措置命令内で明記されたのは今回が初となります。
不当表示が発覚したのは、ブレインハーツが販売していた「グリーンシェイパー」「アストロンα」「スリムイヴ」「恋白美スキンソープ」「Smart Leg」の5商品。同社はこれらの商品について、自社サイトなどで「7日間飲むと1ヶ月体重が減少し続ける」「洗うだけで美肌を生成」などの表示を根拠なく行っていたほか(優良誤認)、実際には販売実績のない価格を“通常価格”とうたい、「通常価格14,900円(税抜)⇒限定特価2,980(税抜)」など、価格が通常よりも安いかのように見せる表示(有利誤認)を行っていました。消費者庁はブレインハーツに対し、5商品計2229万円の課徴金納付や再発防止などを命じています。
今回の行政処分について、任意団体「日本アフィリエイト協議会」はサイト上で「アフィリエイトサイトの表示も景表法の規制の対象であることが、措置命令内において初めて明記された事案」と指摘しています。
ブレインハーツは自社サイトのほか、広告代理店を通じて「アフィリエイトサイト(第三者が商品を宣伝し、実際に購入されると紹介したサイト側に収益が発生する仕組み)」でもこれらの商品を広告宣伝していました。今回の行政処分が画期的なのは、こうした「アフィリエイトサイト上の表記」についても、ブレインハーツ側の責任が問われている点だといいます。
「これまではガイドラインであったり、消費者庁の講演などで『アフィリエイトサイトの表示も、広告主が景表法の責任を負いますよ』ということは言われてきましたが、今回の行政処分によってその点が初めて証明されたと言えます(※)」(日本アフィリエイト協議会)
※2016年6月30日に消費者庁が制定した「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」内において、アフィリエイトサイト上の表示についても、広告主は景品表示法及び健康増進法上の措置を受けるべき事業者に当たる旨は明記されています(日本アフィリエイト協議会)
端的に言えば、これまでは「アフィリエイトサイトや広告代理店が勝手にやっていた」で済まされていたケースが、今後は販売主にも責任が及ぶ可能性が出てきた――ということになります。ねとらぼ編集部でもこれまで、「シミが剥がれるクリーム」などの悪質広告の実態を取り上げてきましたが(関連記事)、こうした悪質広告の中にはアフィリエイトの仕組みを利用したものも多く、今回の行政処分により少しでも改善に向かうことが期待されます。
その他表示例(消費者庁の発表資料より)
関連記事
“シミがベリベリ剥がれるクリーム”はウソ 漫画村関与の代理店が偽装広告作成、販売元は「広告見たことない」
実在のテレビ番組で紹介された、と記載するなど悪質な手口。「望んで広告を出しているものではない」 海賊サイト広告問題、出稿していた大手企業の言い分は
アフィエイターが無断で海賊版サイトに出稿している可能性も。漫画村との取引否定していた広告代理店、一転して「深く反省」 関係者は「海賊版と手を切れば仕事ない」と証言
社員への謝罪メールを独自入手し、広告代理店を直撃。「海賊版という認識なかった」 Anitubeに毎月広告費1300万円を支払っていた代理店が取材に応じた
Anitubeの運営者が起訴されていたことも分かりました。「どんな基準で黒とするのか」「責任は誰が」 海賊版サイト広告が停止しなかった理由を広告業界団体に聞いた
日本インタラクティブ広告協会(JIAA)とコンテンツ海外流通促進機構(CODA)に聞きました。「漫画村出稿メール」を独自入手 「偽名営業」「取引先は海賊版サイト」元代理店従業員が語る異常な実態
漫画村の実質的窓口にも取材。「二度と掛けてくるな」 “漫画村”広告主への取材一部始終、広告は取材後に消滅
広告元は取材に対して「二度と掛けてくるな」。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.