レビュー

「100万円くらい」でヨットは買えるキャプテンながはまの100万円で「船長」になる(1)(1/2 ページ)

「何も考えず、ただぼーっと船で過ごす世界」へのお誘いです。

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「何も考えず、ただぼーっとまったりと船で過ごす世界」へのお誘い

 「私、けっこう船が好き」という人、意外に多いです。試しに自分の周りにいる人に「オレ、自分の船を持つのが夢なんだ」と言ってみてください。「いやー、実は私も」という人が少なからずいるはずです。

 日本マリン事業協会(旧称日本舟艇工業会)が実施した調査によると、一番多いのは「釣り」ですかね。その次に多かったのが、船で旅をする「クルージング」だったりします。自分の船で自由に旅をするアクティブ派や豪華キャビンでパーティーといったセレブ的な楽しみ方への憧れもそうですが、それだけではありません。実は「何も考えずにただぼーっと船で過ごす」だけでも、いや、それこそが楽しいのです。


筆者所有のヨット「阿武隈」

 ニッポン平均年収おじさんである筆者は18年前の2000年、「船で生活するため」に船を手に入れました。船は、移動する乗りものとしての機能と、そこで生活するための機能をコンパクトに共存させた、それは素晴らしい乗りもの。その船で暮らしながら、白い服がそのまま青く染まってしまいそうな海を越え、水平線の向こうに隠れている島を目指して旅をする──。そんなシーンにあこがれながら、一介の会社員だった筆者でも小さな港に古いヨットを係留し、2018年現在も「船長」を満喫しています。

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 この企画は、そんな「最高ののんびり」を夢見ながらも、なかなか叶わない忙しいニッポン平均年収的会社員な人に向けて、「何も考えず、ただぼーっと船で過ごす世界」にお誘いするのが目的です。なんとか家族を説得して、船を買い、港を見つけ、いままで18年間どうにか維持してきた経験を元に、「100万円くらいで船長になれる、はじめてガイド」をお届けしていきます。

船は高い? 低燃費コンパクトカーくらいの値段から買えます

 船を買うとして、皆さんが最初に心配するのは「お金=船の購入費」だと思います。「超高い」と思ってはいませんか?

 実はちょっと違います。船の購入費、維持費はよくある国産コンパクトカーと同じくらいのコストで実現できます。筆者のヨット「阿武隈」もそうです。

 もちろん、ボードショーに登場するような最上級で新品のカスタムメイドなヨットはべらぼうに高いです(関連記事)。確かに上を見ると果てがない世界。そのためかほとんどの人が「宝くじでも当たらないとね。私の収入ではとても無理」と諦めてしまうようです。いえいえ、自家用車と同様に、船の世界にも中古市場があります。


確かにこういう高級艇はベラボーに高い(軽く2億円)

 クルマですと20年、30年ものとなるとかなりのオンボロか、クラシックカーの域に入って逆に高額になったり、コレクションのようになったりもしますが、船の場合は20年落ち30年落ちの中古艇が全然普通に使えます。頑丈で、そしてある意味大ざっぱでシンプルな作りなので使いやすく、長持ちするのです。

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 では、いくらくらいで買えるのか。試しに中古艇の情報をまとめているWebサイト「BOATWORLD」で確認してみてください。100万円未満の船、かなりあります。また、「5000万円以上」で検索してみるのもいいですよ。一気にセレブな気持ちになれるのでこちらもお暇がありましたらどうぞ。


中古艇検索サイト「BOATWORLD」

どんな船を選べばいいのか

 とはいえ、価格も、形も、サイズも、装備もいろいろ。「これから船を始める人はどんな船を選べばいいのか」のポイントを解説します。

 まず本企画のテーマである「船で暮らしてみたい」「船で旅してみたい」ならば、「ヨット一択」です。

 セールのあるヨットは、長距離を航海しても燃料代がそれほどかからず、船のサイズに比して居住空間設備が充実しているので、ボートよりも「コスト面」「利便性」で有利です。「操船はボートのほうが簡単なのでは?」という声はあります。ヨットの操船もそれほど難しくはなく、それ以外にも利点があります。こちらは後日掲載予定の別の回でじっくり説明するので、ちょっとお待ちくださいね。

 次は「船のサイズ」を見ましょう。例えば、関東近隣の港から伊豆諸島までの「島旅」に耐えられて、かつ、自分一人でも操船できるサイズを考えると25~30フィートの船が望ましいでしょう。併せて「マリーナの係留代」を考えると、25フィートまたは26フィートを境に価格が大きく変わるマリーナが多いことから、具体的な狙い目は「25フィート、もしくは26フィート」のヨットになりますね。

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100万円くらいで全長が「25フィート以上30フィート」のヨットを検索。このあたりのサイズが初心者には手ごろ

 この条件に合う、入門用に適したヨットで筆者が薦める船種の1つは、全長25フィートの「ヤマハ・Y-25 マイレディ」です。

 Y-25 マイレディは、洗面台付きの個室トイレを備えていること、そして生産台数が多いことから中古艇市場に数多く流通しており、またユーザーも多いので関連情報が充実していることが勧める理由です。

 この他には、やや古いモデルですがニューヨットジャパンの「リベッチオ」と「ソレイユルボン」もヨットで旅をしたい人の間で人気です。これらは個人による日本一周など、長距離クルージングでの使用例が多いですね。参考価格はY-25 マイレディやソレイユルボンで100万円前後、リベッチオで150万円程度です。

中古艇販売業者選定のポイント

 いい船はありましたか? 何だか楽しそうな船のある生活を妄想したりしませんでしたか? よい傾向ですね。続いては「どこでどのように買えばいいのか」をチェックします。

 まず前述したような中古艇販売を仲介するWebサービスが複数あります。ここから販売業者にたどり着けるでしょう。初めて船を買うならば、保証やサポートを備えた中古艇業者から購入することを勧めます。

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 それ以外には、オークションや「KAZI」などの専門誌で個人が中古艇を売り出している個人売買のケースがあります。個人売買は多くの場合、中古艇業者よりも価格面にメリットがあります。その代わりに船の状態の見極めは100%自己責任になります。このあたりの事情は中古車の購入時と同じことですが、船の状態を見極めるチェック項目は多岐にわたるので相応の専門知識を要します。

 中古艇販売業者もたくさんあります。選定のポイントは「豊富な取引実績があること」と、「自分が住んでいる地域に近いところにあること」でしょうか。

 日本のヨットはクルマに比べると非常に狭い世界なので、何かよろしくないことをする業者は淘汰されてしまいます。そういう意味で、多くの中古艇を長年にわたって取り扱っている販売業者は信頼できる可能性が高いといえます。

 また、いい業者には良好な中古艇の情報がいち早く集まってきます。人脈も広いので船のトラブルに対処する能力も高いといえます。

 ただし念のため、あまりに離れた地域の業者から買うと、船の輸送費(もしくは回航費)がかさむことには注意しましょう。購入後の不具合や整備に対するサポートも遠い業者では期待できません。できるだけ近い場所にある業者を選ぶのがよいです。

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筆者が初ヨット購入時にお世話になった「スループジョンB」さん。1982年から営業している歴史のある中古艇業者
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