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「物心ついたころから昆虫好きの昆虫少年」 Twitterのヒアリ鑑定人「ヒアリ警察」の人柄を探ってみた(1/2 ページ)

Twitter屈指の昆虫ガチ勢。

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 2017年6月に国内で確認されたヒアリ。最近では落ち着いた印象があるものの、生態系への影響や人的被害の可能性から、その危険性は確認された直後から何度も報じられました。アリ自体はいたる所で見つかるものですが、たまたま見つけたアリに対しても「もしかするとこれはヒアリかもしれない」と疑心暗鬼になる人も多かったようです。

 ヒアリへの危機感が増していく中、Twitterに登場したのが「ヒアリ警察」(@_Solenopsis)さん。2017年7月にアカウントを開設すると「見つけたアリがヒアリかどうかを判定してくれるアカウント」としてすぐさま人気者になりました。また、手軽にアリの同定をする鑑定人としてだけではなく、Twitter上で見せる機転の効いた振る舞いが注目を集めることも。

さすがにお疲れだったようです

 Twitterで人気を博すヒアリ鑑定人であり、アリ界の広報担当(?)でもあるヒアリ警察さんは一体何者なのか。ヒアリ警察さんご本人に取材を行い、その人柄を探ってみました。

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―― Twitterを見ているとアリの知識がとても豊富ですが、ヒアリ警察さんはアリの研究者なのですか?

ヒアリ警察: アリの研究者ではありません。アリは趣味で好きなのであって、眺めたり飼育したり珍しい種を探したりするような、ただのアリ好きに過ぎません。しかしプロの研究者でなくとも勉強はできます。書籍、Webサイト、そして何より生き物のいる場所からさまざまなことが学べますし、近年はインターネットの発達と良質な図鑑の発行によって、知識の集積は私のようなアマチュアでもさほど難しくなくなりました。暇な時間にネットを見て本を読んで、それだけで少し詳しくなった気分になれます。

―― プライベートな時間もアリの勉強に使っているんですね。

ヒアリ警察: もちろん、本やネットで読んで見て聞いてだけでは頭でっかちになってしまうので、実際にフィールドへ赴き採集・観察することが最も重要です。私の写真による同定も、野外観察と文献の両方の経験と考察を生かした結果であると思います。

―― 普段はどういうお仕事をされているのでしょうか?

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ヒアリ警察: それは秘密です。しかし、仕事でアリを扱うことはありませんね。年齢も秘密ですが、ツイートの内容から推測することができるかもしれません。

―― なぜヒアリ警察のアカウントを作ったのですか?

ヒアリ警察: これまでさまざまな取材で聞かれており、毎度少しずつ内容が変わっていることがありますが、おおまかなところでは、

  • ヒアリが発見されてからというものの、日本在来のアリやアリに似た生き物たちがヒアリと間違われて殺されてしまうことが悲しく痛ましく、そのような誤解を解くため。
  • ヒアリ騒動に携わり、お忙しい専門の研究者の方がヒアリについての質問や同定依頼に日々ご対応されていて、そのご負担を少しでも軽減したいという気持ち。
  • 専門家や地方自治体にアリやヒアリのことを訊いたり写真を見せたりする手間や気恥ずかしさ、ためらいといった問題を、気軽にリプライできることによって解消できると考えたため。
  • 騒動を通してせっかくアリに興味を持つ人が増えたのだから、もっとアリについて知ってもらいたい。

 この4点が動機でしょうか。活動場所をTwitterにした理由は、ヒアリと間違えて違うアリの画像を上げる人が多かったこと、SNSでありコミュニケーションが直に素早く行えること、拡散されることで興味のない人、私の目の届かない人にも情報が行き渡ると考えたからです。

―― 「ただのアリ好き」とのことですが、なぜそれほどアリのことが好きになったのでしょうか?

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ヒアリ警察: アリの持つ社会性に興味を持ったからです。社会性、特にアリやミツバチなどに見られる“真社会性”(ハチやアリなどが持つ社会性)は、子孫を残す生殖階級の女王アリと子孫を残せない不妊階級の働きアリを持ち、1つの集団で分業を行うことが特徴です。

 彼女らは子育てを行い、巣の外で餌を集め、ときに協力して大きな生物と戦い、巣の繁栄のために働きます。また、餌を運ぶのが下手、歩くのが遅い、他の個体が作業している隣でボーっとするなど、ときおり見せる個体差のある行動が私の心をつかんで離しません。家の中で飼っているアリを眺めているだけで一日が過ぎます。こんな生き物は他にいないと思います。小さな昆虫としてではなく、1つの人間社会をのぞいているような気持ちになります。

―― アリ以外に好きな昆虫はありますか?

ヒアリ警察: アリはハチの仲間なのでハチも大好きです。スズメバチのような大きくてかっこいいハチ、巧みな戦術で生きる寄生バチ、可愛らしいハナバチ、みんな好きです。また、皆さんが大好きなカブトムシやクワガタも好きです。あとはカマキリも好きです。挙げていくときりがありませんね。

見た目は違うけど、分類学上ハチとアリは仲間だそうです

―― やはり昆虫全般がお好きなんですね。昆虫を飼育した経験はありますか?

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ヒアリ警察: あります。カブトムシやクワガタ、トンボ(ヤゴ)、カマキリなどさまざまです。

アリの飼育経験はやはり豊富だった
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