レビュー

列車もトークもガンガン加速 “爆速”ローカル鉄道、ほくほく線「鉄分たっぷりツアー」が楽しすぎた月刊乗り鉄話題(2018年12月版)(1/4 ページ)

久野さん&南田さんが同行。このお二人、朝からずっとしゃべっておられました。

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 ローカル鉄道といえば「のんびり、ガタゴト」というイメージですよね。しかし新潟県の北越急行ほくほく線は、そんな常識を覆す速さを誇ります。各駅停車の最高時速は110キロ。長いトンネルに入ると耳がツーン(関連記事)とくるくらい速い。トンネルを出れば高架区間が続き、畑も飛ぶ飛ぶ家も飛ぶ。新幹線にも負けないスピード感です。


北越急行ほくほく線の各駅停車。最高時速110キロの爆速電車

 なぜ、ほくほく線は速いのか。その理由は、かつて首都圏と北陸を結ぶメインルートとして作られたから。北陸新幹線が長野~金沢間を延伸開業する前は、東京から上越新幹線で越後湯沢へ行き、越後湯沢から在来線特急の「はくたか」で富山、金沢、福井へ向かうルートでした。その途中で上越新幹線と信越本線を短絡する役目がほくほく線です。在来線特急「はくたか」を、在来線の最高速度、時速160キロで運行するために作られた路線です。


北越急行ほくほく線の路線図。六日町~犀潟間がほくほく線で、列車は六日町~越後湯沢、犀潟~直江津方面を直通する(出典:北越急行Webサイト

 ほくほく線で特急を高速運行するために、各駅停車の最高時速も110キロと高めに設定されました。ほくほく線は単線で建設されたため、特急と各駅停車がすれ違いや追い越しを行います。各駅停車は特急に追い付かれる前に駅の待避線に逃げ込まなくてはいけません。すれ違う場合も、特急列車をお待たせしないために、なるべく早く駅に着き、特急列車のために線路を開けて待つ必要がありました。

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北越急行ほくほく線の断面図。直線的なルートにするため、路線のほとんどがトンネル。すれ違い場所や一部の駅もトンネルの中(出典:北越急行Webサイト

 ただし、ほくほく線には過酷な運命が待っていました。2015年3月の北陸新幹線金沢延伸開業(関連記事)です。東京と富山、金沢が直結されたため、ほくほく線を通る特急「はくたか」は廃止されました。北越急行ほくほく線は、ドル箱だった特急列車を失います。こうして北越急行ほくほく線は「ローカル鉄道なのに爆速」という、珍しい鉄道路線になりました。

ほくほく線の電車1両貸し切り「ほくほく線 鉄分“ほっくほく”ツアー」

 2018年11月10日、その北越急行ほくほく線で「久野知美さん・南田裕介さんと行く ほくほく線 鉄分"ほっくほく"ツアー」が開催されました。新潟県十日町市と北越急行による「ほくほく線を観光資源として活性化しよう」という趣旨。アテンダントとして、女子鉄アナウンサーとして鉄道関連のテレビやラジオイベントの司会などで活躍する久野知美さんと、ホリプロの南田裕介マネジャー(関連記事)が同行します。私も「ほくほく線」の魅力を自分の目で確かめたくなって参加しました。


「ほっくほくツアー」は1両の電車を貸し切り

ヘッドマークも付いていました

北越急行のロゴ入りヘルメットがもらえた。久野さんと南田さんのサインを入れてもらったら、広島東洋カープのファンみたいになってしまいました

 参加者は約50人。こんな少人数で人気のお二人と一緒に旅を楽しめるなんて! 十日町駅を発車直後から、お二人の軽快なトークと北越急行職員さんの掛け合いで、北越急行ほくほく線が紹介されました。もうここから鉄道ネタ満載。列車もトークも加速していきます。


十日町駅を発車後、信濃川を渡る。「新潟県内は信濃川、上流の長野県内は千曲川と呼ばれています」。観光案内もぬかりなかった!!

乗車中も久野さん、南田さんは立ちっぱなしのしゃべりっぱなし。すごい体力とサービス精神

久野さんが推進する女子鉄アイテム「鉄道ネイル」を見せてもらった。今回は「ほくほく線ゆめぞら号」がテーマ。二本線は列車の帯、星空は天井に映し出される映像にちなんでいた

 最初のイベントは「薬師峠信号場」。長大なトンネル内で列車がすれ違うために作られた設備です。ここで待避線に停車し、対向列車の通過を待ちます。実はこれも貴重な体験。在来線特急「はくたか」が廃止になってから、この信号場ではすれ違いが行われていないのです。つまり「ふだんは通れない待避線に乗れた」。鉄道ファンにはそれがうれしい。しかも南田マネジャーの提案で車内を消灯! トンネル内の灯火を眺め、対向列車の光の通過を鑑賞しました。


薬師峠信号場に停車。南田さんの提案で消灯し、列車の通過を光と音で楽しめた

松代駅で下車。ここにはかつて走っていた特急「はくたか」の運行を記念した石像があります。誰とはいいませんが「墓石」って言ってました(密告)
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