フィンランドのベーシックインカム暫定結果 「雇用促進はしないが幸福感は向上」
結果の確証はこれから。
フィンランドのKela(国民年金局)が試験導入したベーシックインカム(以下BI)の暫定的な結果が発表された。目的としていた雇用促進には効果が見られなかったが、給付対象者の幸福感が向上することが判明している。
本試験は、2017年1月から2018年12月まで、失業手当受給者から無作為に選ばれた2000人を対象に行われたもの。月額560ユーロ(約6万8000円)を給付することで、雇用促進を狙い実施された。今回の発表は1年目のデータを元にしたもの。
BI受給グループ(失業手当など他の社会保障の受給資格は失われない)と対照グループ(同時期に失業手当を受けたがBIは受け取っていない)を比較し、BI給付が幸福度に影響していることがわかった。健康状態について、「良好」また「非常に良好」と回答した受給グループは55%であった事に対して、対照グループでは46%という結果に。また、受給グループはストレスが非常に強いと感じている比率が17%であったのに対し、対照グループは25%であった。
1年目のデータでは、雇用促進に関する影響は確認できなかったが、受給者は就職先を見つける自信を手に入れていた。Kelaの主任研究員であるMinna Ylikännö氏が「(BI受給者は)ストレスや集中しづらい、健康問題といった症状が少ないことがわかりました。また、将来や自身の能力が社会に与える影響についても自信を持っています」と述べている。
本試験結果は2019年から2020年にかけて段階的に公開される予定。2019年春には、ヘルシンキ大学などの学術機関やシンクタンクを交えての評価が始まる。試験結果を踏まえて、フィンランドにBIを本格導入するか検討される。
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