連載

キャラも音楽も良いけど…… 「ダンキラ!!! - Boys, be DANCING!」は音ゲー部分がひたすら虚無モバクソ畑でつかまえて

ゲームの部分以外は高評価。

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 誰もがダンスを踊れる時代となり、ダンスと「キラートリック」によって勝敗を競う競技「ダンキラ」が世界中で大流行している! ……という設定のゲーム「ダンキラ!!! - Boys, be DANCING!」がKONAMIから5月21日にリリース。個性豊かなキャラクターと独特な世界観を武器にリリース前から話題となり、リリースされた現在もモデルのダンスや曲のクオリティーが高い評価を得ているようです。

 そんなダンキラがリリースされた直後、“モバクソゲー”の収集癖を持つ「怪しい隣人」@BlackHandMaiden)さんから「ダンキラの記事が書きたくて仕方なくなってしまった」とメッセージが送られてきたため、その魅力を解説してもらうことにしました。「こんなにテンションが上がっているのは『ときめきアイドル』関連記事以来」との不穏な言葉も残していましたが……。

ライター:怪しい隣人

出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。

濃すぎるキャラとストーリー

 先日5月21日にKONAMIから「ダンキラ!!! - Boys, be DANCING!」がリリースされました。このゲーム、最初はスルーしようと思っていましたが、いろいろとあってプレイしてみることになりました。結果、そのキャラクターと世界観に「あまりにもツボにハマったのでレビューを書きたい」と編集部に連絡をすることになる始末。1年ちょっと前に「ときめきアイドル」のときも全く同じことをやっている自分、全く成長しません。ですが、レビューを書かせてほしいとお願いしてから数日間プレイした結果、いろいろと問題点も見えてまいりました。今回はそのあたりも含めて語らせていただこうと思います。

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 そもそもタイトルのダンキラとはなんなのか。ダンスとキラートリックという派手なアクション技を組み合わせた競技で、その由来は「7人の創世神が3対3に分かれてダンスで戦った」という故事によります。これらを授業で学んでいたということから、自分はその学校の生徒であることが数クリックのうちに理解できます。

この文章がはじめに出てきます。「こうして」から過去の文章はありません。
神話とおもいきや歴史の事業でした。

 分からない、という方もいるかも知れませんが、このゲームに頻出するキーワードは「君も知っているとおり」です。劇中で語られるもろもろの知識は皆さんご存じというていで話が進みますので、話は飲み込んでください。そして続く「危険なダンキラをしている生徒を止めてくれ!」と続くスピーディーな展開。そして全ての判断基準がダンキラなところ、まさしくホビーアニメの王道という感じで大変好みです。ここでいうホビーアニメは「商品を売るための作品なのでその商品が作品内の大きな行動基準になっている」ぐらいの意味で捉えていただければと思います。これらを教えてくれる教師も大変ハイテンションで、チュートリアルの間はコンボをつなげたりパーフェクトを取ったりするとこのピンクのおじさんが「いいぞ!」「すばらしい!」と褒めたたえてくれます。

この後バンバン出てくる「君も知っているとおり」
危険なダンキラという普段使わないような単語も受け入れてください

 チュートリアルでは5組のダンスチームから好きなメンバーを選んでプレイできるのですが、ここまででその5人について詳細な情報は得られませんので、見た目で選ぶしかありません。適当に選ぶかと思っていたのですが、「三白眼の白髪」「露出度の高いロン毛」「露出度の高い金髪褐色マッチョ」という濃い目の3人組が。コレがホビーアニメなら間違いなく悪役。名前も「TOXIC」とあまりにストレートなそのユニット。

一目ぼれしたTOXICの皆さん

 チームそれぞれが「ヒップホップ」「バレエ」と得意なダンスがあるのですが、このTOXICの得意技は「ヴォーグダンス」というジャンル。いわゆるジョジョ立ちの元ネタといえる『VORGE』のモデルのポーズを源流とするダンスなので、ダンスそのものを知らない私からすると「露出度の高い衣装をまとったイケメンがジョジョ立ちをキメながらくねくねと踊る怪しいダンス」に見えて、これもまた大変魅力的。メンバーも「自分のデザインした服を宣伝するためにダンキラに参戦しているファッションデザイナー」「筋トレ大好きで乱暴だが根はいいやつな雇われモデル1号」「美に男も女も関係ないという京都弁の中性的な雇われモデル2号」という濃いメンツ。

怪しげな見た目に反して仲良し

 こんな連中が大活躍するのかと思いましたが、チュートリアル終了後閲覧できるストーリーモードはユニットの1つであるメリーパニックがメインとなります。彼らは彼らで「施設出身で、入学金はなんとか稼げたが特待生になれないと授業料が払えないので即日退学」というなかなかに人生ハードモードな連中。コーチである自分は成り行きから彼らと行動をともにすることになり、そんな中で他のユニットとも交流を薦めていきます。メリーパニックは特待生への昇格で敗退するものの、「可能性を感じた」という理事長の鶴の一声で採用されて学園の特待生になることになりました。そして、彼らの力を認めるだけではなく、それを否定しようとする連中も現れ始めます。……というところまで現在話は進んでいます。そこから先もだいぶ実装されてるようなのですが、自分のレベルを上げないと先が読めない仕様のため最後まで行くのはだいぶ先になりそうです。

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あっという間に判明する事情
ストーリーモードの中心になるユニット・メリーパニック
メリーパニックの超えるべき目標であり先輩・シアターベル
メリーパニックを認めようとしないライバル・エトワール

音ゲー部分がひたすらに虚無

 レベルを上げるには、ダンキラをプレイしなければいけません。このダンキラがゲームとしての魅力の1つでもあり、最大の欠点でもあります。確かにモデルやダンス、曲のクオリティーは大変よいです。スキップチケットもついていて見るだけモードでダンスだけを堪能可能。「一度クリアした曲じゃないとフリープレイは不可」などというケチなことはありません。スキップチケットは定期的に入手することが可能です。

 ですが、そのゲーム部分がストーリーとほとんど関係ないのは問題です。ガチャで引いたダンサーは設定のユニットを無視してスコアのために組むことになりますし、ユニットごとにきっちり設定された曲とダンスを、それらの適当なユニットで延々と周回することになります。この辺はどの音ゲーも変わらないところではあるのですが、このゲーム、曲が7曲しかありません。今のところ増える気配もありません。この手のゲームだと「レベルが上がると解放される曲」というのがモチベーションの1つになるのですが、それが一切ないので音ゲー部分がひたすらに虚無なのです。クリア後にキャラが出てきて喋ったりするのですが、曲に合わせたキャラが出てくる仕様なのか、自分が使っていたキャラが喋ってくれるわけではないのもまた残念です。

曲が現在これだけしかありません。

 音ゲーそのものも、売りであろうキラートリックが大変微妙です。音ゲーで落ちてくるノーツがいったん途切れたころに使うというのになかなか慣れません。キラートリックを行うキャラを選び、次に相手になるキャラクターを選ぶというテンポの悪さも引っ掛かかるところがあります。これはぜいたくかもしれませんが、「オートキラートリックモード」みたいなものが欲しいなと思います。オートプレイではキラートリックを使うかどうかをON/OFFできるので、タイミングを見て自動的に発動するような機能があればうれしいのですが。

キラートリック発動は真ん中の3つのキャラから選ぶようになっている
発動後、どのキャラを相棒にするかを選ぶ
オートプレイモードでは多彩な選択が可能

 キャラクター育成部分も悪い意味でなかなかの濃さ。キャラクター育成はときおり見かけるスキルツリーを順番に埋めていく方式なのですが、横に長い長い。最高レアの星5のものでも同じカードを何枚も引いて重ねて育成するのが前提みたいな状態になっています。一体何の冗談だ。先の遠征も含め、プレイを繰り返すとキャラクター同士の好感度が上がることで、物語が解放されたりする要素は大変楽しいのですが。レベルも上がりづらくなり、ストーリーを読み進めるのに時間がかかるに連れ、最初に感じていた熱狂が冷めていくのを感じます。

この画面が横に6画面分ある育成画面

 以前レビューを書かせていただいた「ときめきアイドル」は「ゲームシステムが良いのにキャラやストーリーが薄い、キャラの魅力にたどり着くまでが遠い」というゲームでしたが、「ダンキラ」は逆に「キャラやストーリーは濃くて触れやすいのにゲームシステムが大変残念」という代物です。どうしてこう、うまくバランスが取れないのかという気分でいっぱい。キャラも世界観もストーリーも大変楽しく、ダンスも音楽も良いだけに、このままでは「ゲーム部分ですぐ飽きる」作りになりかねません。今後、早急に手が入ることを願ってやみません。それまでは地味にレベル上げをして過ごそうと思います。

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