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重巡「摩耶」発見 その城郭のように巨大な艦橋に迫る(1/2 ページ)

その近くには「愛宕」も眠っている、はず。

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 故ポール・アレン氏が設立した沈船捜索チーム(関連記事)が、沈んでいる日本海軍軍艦「摩耶」の姿を公開しました。これらは、2019年4月19日にフィリピンにあるパラワン島中部西岸沖の水深1850メートルの海底で発見したときの状況を撮影したものです。


摩耶の同型艦「鳥海」の姿。巨大な艦橋が特徴で多くの日本国民に愛された(画像:Naval History and Heritage Command

 摩耶は、1932年6月30日に就役した日本海軍の重巡洋艦です。太平洋戦争では、アリューシャン列島侵攻作戦、二度にわたるガダルカナル島飛行場砲撃作戦、南太平洋海戦、アッツ島沖海戦、レイテ沖海戦などに参加しました。レイテ沖海戦では進撃途上の1944年10月23日早朝、米潜水艦の雷撃を受けて被雷(4本の魚雷が左舷に命中)。わずか8分後に沈没します。戦死者は艦長を含めて336人。生存者769人は戦艦「武蔵」に収容されますが、翌日24日、武蔵は米軍航空機の攻撃を受け沈没。摩耶生存者も117人が戦死します。

 今回公開された摩耶の画像には、艦首部、前部主砲塔、羅針艦橋、主砲射撃指揮所、方位盤照準装置、九六式25ミリ単装機銃、同3連装機銃、40口径八九式12.7cm連装高角砲、カタパルト基部、爆雷投射器、船尾部があります。船首部は船体から分離して上下逆位置になっていましたが、前部主砲塔を含めた船体のほとんどはほぼ水平を保った状態で鎮座していました。ただし、喫水線近くまで海底に埋まっている(もしくは艦底の大部分を失ったか?)らしく、艦底にあるはずの推進器や舵の状況は分かりません。

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摩耶:船首部分は上下逆になって沈んでいた。フェアリーダーや菊花紋章取り付け板は海底に埋まって確認できない。左舷側からアンカーチェーンが繰り出されている

 摩耶は、レイテ沖海戦で空襲や砲撃戦を実施する前に潜水艦の雷撃を受けただけで沈んだため、上部構造はほぼ無傷の状態でした。そのため、沈んでいる摩耶は船首部だけは分離してしまったものの、砲塔や艦橋はほぼ原形をとどめていると沈船捜索を実施した探査船「RV Petrel」のチームは報告しています。なお、船体から離れた海底に防雷具(パラベーン:係維機雷を切断する道具。大型艦では船首付近に格納している)も発見されています。


船体から離れた海底に沈んでいた防雷具

左舷艦尾側にある爆雷投下器。舷側にあるラッタルの段数を考慮すると中甲板まで海底に埋まっている可能性も捨てきれない

船尾部分を左舷後方から見る。右舷側の爆雷投下器が確認できる。そして、船体が歪んでいる。被雷時の爆発、もしくは、着底時の衝撃によるものだろうか

これは、RV Petrelの報告ではカタパルトの基部としている

 前部主砲塔は1番、2番とも形を留めています。2番主砲塔は砲身に仰角がかかっています。


摩耶の前部主砲塔群。1番主砲に載せた砲側6m測距儀や防暑のために設けられた遮熱版と冷却穴も確認できる

 摩耶と同型艦の「高雄」「愛宕」「鳥海」は、最大仰角70度のE型砲架を採用しましたが、摩耶だけは最大仰角55度に抑えたE1型砲架を採用しています。公開画像の砲身仰角を実測したところ約40度でした。

 また、摩耶は1番主砲塔、2番主砲塔のすぐ後ろにあった3番主砲塔を撤去して、跡地に40口径八九式12.7cm連装高角砲を左右両舷に1基ずつ増設しています。日本海軍で高角砲が最も多い重巡となったのですが、その姿は今回の公開画像にはありませんでした。


対空用としても期待されていた主砲だが、その使用実績は芳しくなかったという

画像から砲側測距儀が確認できないので最も後部にあった5番主砲塔と思われる。砲塔前面のシールドにダメージがあり、後部甲板も陥没している
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