最終回直前考察「あなたの番です」 二階堂と黒島の愛も翔太との友情も壊れないでほしい、菜奈ちゃんへの愛も信じたい　3条件を満たす解決ルートを推理（1/2 ページ）

　毎週日曜日10時30分から放送のドラマ「あなたの番です」最終回直前である。ここまで我々をもてあそびスリリングに展開してきた「あなたの番です」だ。正座待機、そして見て、楽しむ。楽しむために、考察していく。

交換殺人ゲームで引いた紙、書いた紙

　最終回直前、交換殺人ゲームで引いた紙書いた紙をまとめてみる。

参加者	書いた紙	引いた紙
101久住	袴田吉彦	細川朝男
103田宮	こうのたかふみ	ゴミの分別のできない人（波止陽樹）
104石崎	石崎洋子	吉村
201浮田	赤池美里	赤池幸子
202黒島	早川教授（波止陽樹）	織田信長（赤池美里）
203シンイー	タナカマサオ	袴田吉彦
301尾野	白紙	石崎洋子
302手塚	細川朝男	こうのたかふみ
304北川	児嶋佳世	白紙
402榎本	管理人さん	山際祐太郎
403藤井	山際祐太郎	タナカマサオ
302赤池	赤池幸子	児嶋佳世
管理人床島	？	？

　だが、早川教授を引いた人はいないし、織田信長を書いた人もいないのだ。

「202黒島　　早川教授　織田信長」。この2つが、確定していない。怪しい。

　実は黒島は、元カレの波止陽樹の名を書き、田宮が引き、田宮が彼を殺したと考えると「交換殺人ゲーム」的には矛盾しない。

　また、小さく書くというトラップをしかけた浮田は、黒島が「赤池美里」と書いた紙を引いたと考えている。

　黒島は、波止陽樹の名を書き、赤池美里を引いたのではないか。

　もうひとつの謎は、石崎が引いた「吉村」だ。

　吉村という人物はいない（西村の誤記説がある）。

二階堂忍も、黒島沙和も、黒幕じゃない

　19話直後考察で、黒幕は尾野幹葉（奈緒：301号室）説を披露した。

　展開的に、これしかないと思うんだよなー。

　ネット上の考察では、黒島ちゃん黒幕説が主流だ。だが、予想を裏切り続けてドキドキ・ワクワクさせてくれた「あな番」がそんなことするかね？　とも思うのだ。

　「観客が望むものを、観客が予期しない形で与える」という作劇の基本を考えると、黒島沙和が黒幕説は、あまりにも悲しい結末だ。

　二階堂忍（横浜流星：304号室）と黒島沙和（西野七瀬：202号室）のウブな恋愛で、視聴者に感情移入させる。そしてAIが黒島が犯人だと指し示す。だが、二階堂忍（横浜流星：304号室）は黒島を愛しているがゆえに、犯人じゃないと潔白を証明しようとする。という展開で、後半の主人公のひとりである二階堂忍に手痛い失敗をさせて、しかも愛を失わせる。こんなに後味の悪い展開を、視聴者は望んでいるだろうか。

　19話のラストで、二階堂が手塚翔太（田中圭：302号室）に渾身のチョークスリーパーをかける驚愕のラストで、みんな「えええ！」となった。二階堂の裏切り!?

　19話で、黒島沙和（西野七瀬：202号室）のアリバイを証明した松井先生が死んでいることが判明。黒島の周りにいる男がつぎつぎ死んでいるのだ（松井先生、波止陽樹、内山達生、みんな死んでる）。AIも黒島が89％で犯人だと示す。

　この19話は、「二階堂さん、黒島さんが犯人であってほしくない！」「ふたりの愛が壊れないでほしい！」「二階堂と翔太の友情が壊れないでいてほしい」という思いを強めるために、二階堂・黒島が犯人であるかのような状況を次々と出してきたわけだ。

　この状況を最終回で大逆転して「よかったー、二階堂さんと黒島さんの愛が守られた」としなければ、カタルシスが生じない。「観客が望むものを、観客が予期しない形で与える」ということにならないのだ。

　なので、ネット上で主流となっている黒島犯人説は違うと思うのだ。

最終回の展開予想

　では、どう展開するか。19話直後考察でも書いたが、より詳しく記してみよう。

　以下、最終回の展開予想である。

　翔太が目を覚ますと拘束されている。犯人をおびき寄せようとしたホテルの707号室。

　隣には拘束された黒島がいる。ふたりにつなげられた点滴の袋の中身は塩化カリウム。

　翔太側の塩化カリウムにはマジックでゾウさんの落書き、黒島ちゃん側にはキリンさんの落書きが描かれている。（「ゾウさんですか、キリンさんですか」の奇妙なセリフの謎は、あまりにもヒントがなくてわからないので、こんな感じかなーという憶測である）

　一方、管理人殺しを疑われている西村淳(和田聰宏：204号）。管理人日誌を見せて、管理人と榎本がトラブっていることを示して、自分の無実を主張する。

　707号室。二階堂が現れる。その後ろには尾野。「しーくんと一緒」とか言っている。（尾野ではなく、江藤祐樹（小池亮介：404号室）という説もありえる。そもそも、二階堂と手塚翔太の視点からみると、怪しい人物に江藤が入っているのは少し不自然なのだ。にもかかわらず、江藤にも挑発の手紙を送っている。江藤が707号室に来る必要があるからだろうか）

　二階堂が、尾野に聞く。「これで、いいんだろう？」そうよ、と尾野。

　「そうして、ゾウさんですか、キリンさんですか、と問うわけだな」（予告編で二階堂の声でゾウさんキリンさん言っていると聞こえるのはこのときの声）。

　尾野、喜んで「そう、本当の愛があるかどうかのチェックでーす。しーくん、やっと分かってくれたんだね」。

　菜奈ちゃんが泣いていた映像、場所は病院。入院していた翔太と、拘束された菜奈に、同じように塩化カリウムの点滴がつけられていて、同じように尾野が質問していたのだ。

　理解してもらえたと思った尾野が喜々として犯行を告白したところで、二階堂が手配していた警察が入ってきて、尾野を逮捕。

　ちなみに主題歌 「STAND-ALONE」（Aimer）のミュージックビデオに出演しているのは、尾野幹葉を演じる奈緒だ。彼女と、彼女に似た少女（彼女の幼少のころと推測される）が、カメラを持って街を彷徨うのだ。

　尾野幹葉の両親は行方不明になっていることが、19話で判明した。尾野幹葉の両親がいないことと、手塚菜奈×細川朝男は何か関係があるのではないか。

　二階堂が、翔太と黒島を拘束したのは、尾野の犯行である決定的証拠をつかむため、そして翔太に人殺しをさせないため、黒島の潔白を証明するためだったのだ。

　そして最後。ストーリーテラー竹中直人が再び登場する。この大量殺戮の発端となった床島の死がたんなる事故だったことが語られて幕を閉じる。

　構造的には、こういう展開なのではないか。