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「moon」だけじゃないラブデリックの名作、「UFO -A day in the life-」を今こそレスキューしてほしいどうかしているゲームの世界

「moon」に続くラブデリック第2作として1999年に発売されました。

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 ライターの文章書く彦(@waniwave)さんがピックアップした、珠玉の「どうかしているゲーム」を気まぐれに紹介していく不定期連載(連載一覧)。第2回は、Switch版「moon」発売にちなんで、ラブデリックが生み出したもう1つの名作「UFO -A day in the life-」を取り上げます。

「UFO -A day in the life-」タイトル画面

ライター:文章書く彦

主にPCゲームや海外ゲームが好きな陽気で楽しいゲームライター。どこかで美少女ゲームの連載を行ったり「ゲーム占い師」として活躍中。ライター業の傍らインターネットの片隅で「ワニウエイブ」としてラッパー/作曲家としての活動も行っている。ここ一年ぐらいはVTuberに激ハマりし1日に10時間ぐらい「にじさんじ」の配信やアーカイブを見るなどしているよ。 Twitter:@waniwave

「moon」に続くラブデリックの第2作目

 9月5日放送の「Nintendo Direct 2019.9.5」の中で突如Switchへの移植が発表され、古のちょっと厄介なゲーマーたちを大歓喜させた伝説のゲームmoon。それからというものインターネットの各所では古のゲーマーたちが水を得た魚のように「moon」がいかに優れたゲームなのかということについて語りまくっている光景が散見されるようになりました。え? 「そんな光景見たことないぞ」って? あるんだ! そこは飲み込んでください!(関連記事

 そんな「moon」を作った伝説のゲーム制作会社「ラブデリック」は、実はたった3本しかゲームを残していません。そして、今回紹介するのはそんなラブデリックの第2作目である「UFO -A day in the life-」(以下UFO)です。

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 「UFO」では、プレイヤーは地球に墜落した宇宙船の搭乗客たちをレスキューしていくことになります。宇宙船の名前は「ダイマ・オー」。本作が発売されたのは1999年ですから、これはノストラダムスの大予言と引っ掛けてあります。

 今を生きる読者の皆さんの中にはご存じない方もいるでしょうからちょっとだけ説明すると、かつて人類の間では、(今考えてみればどこの誰なのかもよくわからない)ノストラダムスといううさんくさいヒゲ面のおっさんの「1999年に恐怖の大魔王が地球を滅ぼす」という予言が大流行していたんですよ。愚かなことですね。予言は一部オカルトマニアの間だけではなく、テレビでも特集が組まれたりしていましたし、マンガの題材になったり、ポップカルチャーに大きい影響を及ぼしていました。そして、本作では「地球に墜落した宇宙船」を「恐怖の大魔王」に見立てているというわけです。

 さて次に、本題の「宇宙人をレスキューする方法」について説明します。レスキューといっても、ヘリコプターやロープなんかをつかった命がけの方法じゃないですから安心してください! コスモスキャナーというカメラのような装置で宇宙人の姿を撮影すればよいだけです。

 と……いうと簡単そうですが、宇宙人たちの姿は地球上では電磁波やフロンガスの影響で視認することができません。つまり目に見えない宇宙人の写真をなんとかして撮るというのが「UFO」というゲームの内容です。

 宇宙船が墜落したのは地球人たちがアパートと呼ぶ住宅施設です。アパートはわれわれにとってはとてもなじみ深い和室風の内観ですが、実はどこかに宇宙人が潜んでいます。まったくどこにいるか分からず、途方にくれてしまいますよね。でも大丈夫、宇宙人がいるところにはなんらかの「現象」がおこるのです。注意深く室内を観察していればその現象に気付くことができるでしょう。例えば一見何もない空間にネズミが集まっていたら……怪しいですよね?

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 怪しいと思ったら、そこにフォーカスを合わせて勢いに任せてコスモスキャナーで写真を撮りましょう。写真を撮れる回数には上限がありますが、同じ部屋には何度でも訪れることができますので最初のうちはあまり気にしなくても大丈夫です。

 十分に写真が撮れたら拠点に戻り、マザーとよばれる多分AI的な存在に写真を見せます。写真にしっかり宇宙人が映っていればここで確認することができます。写真はただの宇宙人の写真ではなく、特徴的な瞬間を捉えた「ばっちシ~ン」である必要があります。「ばっちシ~ン」を規定回数写真に収めることができたら、ようやくレスキューとなるわけです。ただ助けるだけなのに大変ですね!

 と、いうことで首尾よく最初の宇宙人「リトルマンボ」のレスキューに成功しました。リトルマンボは人間が想像する典型的な宇宙人であるところの「リトルグレイ」っぽい風貌ですが、リトルグレイとは違いマンボを踊ります。集まっていたネズミたちは、彼のダンスを見ていたわけです。宇宙人たちは「moon」に登場するモンスターたちと同じく粘土細工風の質感になっており非常にかわいいので「全種類見つけてやろう!」という気持ちになること請け合いです。

 宇宙人をレスキューすると、新たな場所や新たな時間帯がアンロックされます。アパートは全部で8室(下一桁が“4”の号室が存在しないところ、芸が細かいです)、それに加えて廊下という9ゾーンから成り立っています。ちょっとタイムマシン的な仕組みになっているのか、同じ部屋の同じ時間帯に再訪すればまったく同じ現象が起こるようになっているので、何度でもレスキューに再挑戦することができます。

 ……察しのいい読者諸君であればここまで説明して分かったかと思いますが、「UFO」というゲームはあんまり他に類がないタイプのゲームです。ラブデリックのゲームは3作品全てが変わったゲームですが、本作「UFO」はその中でも特に異色作と言っていいでしょう。

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 個性豊かな宇宙人たちが登場する「UFO」ですが、本作の面白い点はそこだけではありません。というのも、宇宙船が墜落したアパートに暮らす人間たちも非常に個性豊かで、興味深い生態をしているからです。例えば105号室の住人は、長い金髪にサングラスという特徴的な外見で、部屋には白いピアノがあり、自分の絵を画家に描かせるほどのナルシシストっぷり。……恐らくYOSHIKIがモデルでしょう。顔がよく特徴を捉えており、似ています。本物のYOSHIKIがこんなボロアパートに暮らしてるわけがないですから彼の存在自体がちょっとしたジョークになっています。

 101号室は、苦学生風の青年と両親による家族3人暮らしです。一見普通の家庭のようですが、時間を追うごとにだんだんと複雑な事情が見え隠れしてきます。本筋である「宇宙人をレスキューする」というゲーム内容とは関係ないのですが、アパートの住民たちによる人間ドラマは非常に作り込まれており、ときにレスキューそっちのけで眺めてしまうなんてことも。このゲームの最大の魅力になっています。他の住民もみな興味深い人物ばかりなのでグイグイと世界観に引き込まれていきます。

 非常に独特なプレイ感を持つ「UFO」。ラブデリックのゲームの中でも特に悪ふざけがギャグが多く、そしてかなりの難易度を誇ることからあまり一般向けとはいえず、現在「moon」ほどの人気があるとはいえない作品ですが、僕はかなり好きなゲームです。

 「moon」のSwitch移植を期に本作「UFO」やラブデリックの最終作である「L.O.L」もなんとか遊びやすい形になればどれだけいいことか……! 宇宙人だけじゃなく、こういう昔の変なゲームもどんどんレスキューしてほしいです! よろしくお願いします!

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