コラム

クルマの「オルガン式ペダル」って何がいいの? 何が違うの?(1/2 ページ)

ちょっとあこがれのオルガン式。

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 突然ですが、あなたのクルマのアクセルペダルは「上から」生えていますか? それとも「下から」生えていますか?


ドイツの高級スポーツカーメーカー「ポルシェ」は伝統的にオルガンペダルを採用する

 上から吊り下げられているペダルは「吊り下げ式」と呼ばれます。多くはこちらだと思います。

 一方、床から生えているペダルは「オルガン式」。「オルガンペダル」などと呼ばれます。名の通り、楽器オルガンの足踏みペダルのような形をしています。吊り下げペダルに対してオルガンペダルは何が違うのでしょうか。

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オルガンペダルは自然に操作でき、細かなコントロールがしやすい利点がある

 オルガンペダルは、かかとを支点とした足の動きと、ペダルの支点と回転方向が一致するので、無理なく自然に操作できる利点があります。吊り下げ式より細かなアクセルコントロールがしやすいとされます。一方、コストは吊り下げ式より嵩みます。


オルガン式アクセルペダルのイメージ(出典:マツダ

 オルガンペダルは走りや操縦性を重視した車種に向けた“上級志向”の装備といえ、高級車やスポーツカーに採用例が多いようです。ただ、操作性の利点からオルガンペダルを積極的に採用するメーカーも存在します。国産メーカーではマツダがそうです。スポーツカーの「ロードスター」(関連記事)はもちろん、コンパクトエコカーの「MAZDA2(旧車名:デミオ)」(関連記事)に至るまで、オルガン式のアクセルペダルを採用しています。

 マツダ車は「人馬一体」「意のままに操れる」の感覚を大切にしているので、多少コスト高だとしてもこだわって採用しているようです。長距離を走っても足が疲れにくいといった効果、理想的なドライビングポジションが得られることで結果として安全性も向まる効果なども謳っています。


マツダ「アテンザ」のオルガン式アクセルペダル

 一方、大多数の「吊り下げ式」についても、コスト面で有利な他に、吊り下げ式の方が操作しやすいという人もいます。これは昔から慣れ親しんでいることが理由でもありそうですが、つま先側の足の裏半分で踏む吊り下げ式の方が、かかとを支点にブレーキとアクセルを踏み換える操作がしやすく、ストップ&ゴーを繰り返す街乗りに向いている──といった意見もあります。

 なお、近年多発して社会問題化した「踏み間違え事故」はその多くが、自身はブレーキを「踏んだつもり」のまま、それでも止まらないので(アクセルを)「もっと踏んだ」こと、つまり事故が起こるまで「踏み間違えていたことに気が付かない」まま発生しています。衝突軽減ブレーキ機能の標準化や後付けキット(関連記事)の早期一般化が望まれつつ、ブレーキもアクセルも同じ「踏む」動作だから、(どちらの方式であれ)間違えるのは必然だ──という“自家用車基本設計や操縦方法のそもそも”にまで踏み込んだ解決策や案も出てきています。

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 吊り下げペダル、オルガンペダル、皆さんはどちらが好みでしょうか? EVや自動運転が当たり前になった時代には別のペダルが登場したり、あるいはまったく別の操作方法になっているのかもしれませんね。


(参考)足を右に傾けるとアクセル、踏むとブレーキという操作形態を提案する、ナルセ機材の「ワンペダル」(出典:ナルセ機材Webサイト

(参考)小型EV「FOMM ONE」は、アクセル操作をハンドル左右のパドルレバーで、指で行う。ブレーキは一般車と同じ足操作ペダルで操作系を完全に切り分けた。「新しい乗りものということで、誤操作を防ぐため、操作対系を完全に分ける思い切りのよい設計ができた」(FOMM)とのこと。こういった考え方もアリだ

(参考)古いシトロエン(1968年式シトロエン・DS 21 Pallas)の独特すぎるペダル構成。右にオルガン式アクセルペダル、中央の丸い半球がブレーキ“ボタン”。見た目通り、硬いゴムまりを踏んでいるかのような感触なのだそうだ
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