連載

育て屋の前をチャリで往復する時代は終わった? ポケモンガチ勢が語る「過酷すぎた過去作の育成」と「新世代のポケモン育成」芸人ヤマクエの「俺のゲーム愛を笑うな」(1/4 ページ)

カブトの厳選に28時間かけたポケモン廃人が語る。

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 11月15日にNintendo Switch用ソフト「ポケットモンスター ソード・シールド」が発売されました。Nintendo Switchタイトルの中でも記録的ヒットとなった今作は発売から1カ月以上がたった今も人気が衰えることはなく、多くのトレーナーが新しいポケモンたちと共にバトルを楽しんでいます。

 しかし、今もポケモンの対人戦へのチャレンジをためらう人が多いのは事実。そしてその背景には、育て屋さんの前で自転車を漕ぎ続け、何度も何度もタマゴを孵化し、強いポケモンが生まれてくるのをひたすら待ち続ける――そんな苦行に膨大な時間を注ぎ込む「ポケモン廃人」と呼ばれる存在があります。

 なぜ上級者のピカチュウが有利であるはずのギャラドスに10万ボルトを撃てないのか――そんなポケモンバトルの駆け引きを解説した前回記事には、「面白そうだけど、ポケモンは育成の手間がかかるので面倒」といった意見が寄せられました。そこで芸人界最強(自称)のポケモンガチ勢・ヤマグチクエスト先生に、過去作の育成環境と「ポケットモンスター ソード・シールド」における育成環境の違いを解説してもらうことにしました。

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 先生によると、現在のポケモン育成は過去作に比べ大幅に簡略化されており、全く育成しなくてもポケモンバトルができるようになっているんだとか。これを読めばあなたもポケモンバトルの世界に足を踏み入れたくなるはず!

ライター:ヤマグチクエスト(Twitter

笑いを忘れたゲーム好き芸人。中でもRPGやシナリオの思い入れが強く、「伏線」「考察」と聞いただけでよだれが出る。あと野球も死ぬほど好き。一番好きなゲームは「ポケットモンスター」シリーズ。
過去にねとらぼで取材した記事:「ゲームやってない奴って話がつまんなくないですか?」 ガチゲーマー芸人「ヤマグチクエスト」のゲームへの異常な愛情

ポケモンの育成を解説する人と聞き手


ヤマグチクエスト:
プレゼンする人。ガチゲーマーでお笑い芸人。「カブト」の厳選のために28時間ぶっ通しでプレイするほどのポケモントレーナー。なぜかサワムラーを目の敵にしている。


たろちん:
聞き役。ねとらぼ編集部で働いてる元ゲーム実況者。ポケモンは「緑」「サン」しかプレイしていない。「ソード・シールド」を買ったらサワムラーを嫁ポケにしようと思っている。

ポケモンの厳選は何十時間もかけるのが当たり前「だった」


前回は入門編、ということでポケモンバトルの面白さについてお話させていただきました。たろちんさん覚えてますか?


もちろん。ポケモン対戦って思ってたより奥深くて、面白そうだと思った。

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今日はポケモンバトルを始めようと思ってくださった方々に向けて、バトルを語る上で欠かせない「育成」についてお話させていただこうと思います。


あ~……なんとなく聞いたことあるんだけど、育成ってめちゃくちゃ大変なんでしょ?


そりゃあもう。めんどくさいと感じる人も多いと思います。


なんか「廃人」って呼ばれる人たちがいて、その人たちは育て屋さんの前で自転車こいで、タマゴを孵化させて、一番いい個体だけを育てるっていうのを何十時間もかけていろんなポケモンでやってるんでしょ。「こいつじゃない」と貴重な命を投げ捨てながら。


言い返したいんですけど、ほぼおっしゃる通りです。ポケモン対戦をガチでやろうと思ったら、ポケモンの厳選に何十時間もかけるのが当たり前でしたからね、昔は。

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……ん、「昔」は?

「ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア」時代の廃人ロード。昔のポケモン廃人はこの道を往復してポケモンを厳選していた

昔のポケモン厳選は過酷すぎた


現在の育成環境を説明する前に、これまでの育成環境の説明をしますね。最新作の「ポケットモンスター ソード・シールド」は「第8世代」とも呼ばれていますが、ポケモン対戦がより注目され始めたのはネット対戦ができるようになった「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」の「第4世代」からでした。

 これは、今も実況者として活躍している「もこう」さんの「ポケモンバトルレボリューション」の動画がニコニコ動画で注目されたのが大きなきっかけだと思います。少なくとも僕の始めるきっかけはもこうさんでしたし、有名ポケモン実況者の中にも、「もこうさんから影響を受けた」と公言する人がいたりします。

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「厨ポケ狩り講座」ってやつね。ウワサは聞いてる。


今の「ポケモンの厳選はとても時間がかかる」というイメージは、恐らくそのころの「廃人」イメージが先行してしまっているからだと思います。

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へぇ。当時の育成はどのくらい大変だったの?


もう大変なんてもんじゃないんですよ……。基本的なことから説明させてもらうと、ポケモンのステータスには種族ごとに定められた「種族値」・同じ種族のポケモンでも個体ごとに能力が異なる「個体値」・ポケモンを倒すことで能力値を上昇させる「努力値」があり、これらをまとめて「3値」と呼ぶんですが、この中で厳選するべきなのは「個体値」。ポケモンではステータスが最高であることを「V」と呼んでいて、6つのステータス全てが最高の個体を「6V」と呼ぶんですが……。

ヤマクエ先生による「3値」の解説


あ、「6V」は聞いたことある。


僕は「ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー」からネット対戦を始めたのですが、思い通りの「6V」が出るなんてことはほぼありえません。それと、当時は個体値だけでなく性格も特性も厳選する必要があったんですが、どれもほとんど運任せで、思い通りの理想個体を手に入れるのは本当に苦行でした。

ヤマクエ先生による「特性・性格の遺伝」解説


よく分からんけど、大変なんだねやっぱ。

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しかも厳選の手順も本当に大変だったんですよ。育て屋さんにポケモンを2体預けて、目の前を自転車で往復して、「ちょっと来てくれ」と言われたら育て屋さんに話しかけてタマゴをもらって、できる限りタマゴを手持ちに入れて孵化させて、生まれたら個体値を見極めてくれる人に話しかけに行って、良個体でなければポケモンセンターに行って、生まれたばかりのポケモンを逃がすかボックスに預けて、また育て屋さんの前に行って、育て屋さんに声かけてもらうまでまた自転車に乗って往復して……ってのを繰り返して良個体が出るまで粘るんです。


そこまでしないとバトルできないの……?


いや、まだできませんよ。良個体が生まれたあとはレベルを上げて、技を覚えさせて、という作業があって、さきほど説明した「努力値」を稼ぐためにアイテムを一定数投与してから、特定のポケモンを特定の回数倒す必要がありました。これも結構大変で、例えば「攻撃」の努力値を上げるときは「タウリン」を10個与えてから「パワーリスト」というアイテムをもたせて「ワンリキー」を30回倒して、アイテムを外してから更に2回倒さないとベストな努力値にはなりません。ちなみに努力値を最大にすると端数が出て切り捨てになっちゃうので、少しでも多く倒してしまうとその時点でアウトです。なんで最大にすると端数切り捨てになる仕様だったのかは謎ですけど

ヤマクエ先生「ちなみに、ポケモンのステータスはこういう計算式で決まっています」


……。


数日間かけて奇跡的に納得のいくポケモンが生まれて、長い時間をかけて努力値を振ってようやく1体のポケモンができるわけですが、対戦するにはこれを6体分繰り返す必要があるわけですから、当時大学生じゃなかったらこんなことやってなかったですね。

第4世代の育成環境


……なんでそんなことしてたの? ばかなの?


違います。まあ能力値が最大だとバトルのときに計算しやすいという理由もあったんですが、要するにとにかく勝ちたかったんです。もう意地でしたね。


意地でそこまで……。ちなみにヤマクエ先生の中で厳選に一番時間がかかったポケモンは?

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