香川のゲーム依存症対策条例、本当の狙いは「ガチャ規制」? 検討委員が「理解してもらえない。残念」とブログで語る
ネット上では「ガチャ規制が目的なら時間規制は意味がないのでは」など疑問の声が多くあがっています。
「18歳未満はゲーム1日60分まで」などの内容で物議をかもしている、香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)」(関連記事)。条例検討委員会の1人である、香川県議会議員・高田よしのり氏(社民党)は1月26日、自身のブログを更新し、条例の内容について「時間規制」ではなく本来は「ガチャの規制」が主な狙いであったと説明しました。
高田議員はブログの中で、ソーシャルゲームの「ガチャ」による依存症の危険を指摘しつつ、「これは社会問題です」と強く批判。「中高生が簡単に手を出せてしまう現状は恐ろしいこと」「ゲーム会社にも責任がある」「私はゲーム依存症対策は、『ソーシャルゲームでのガチャの問題がほとんどすべて』と言って良いと思っています」と、条例の主眼はあくまで「ガチャに伴う『依存症』対策」であったことを明らかにしました。
しかし、現在公開されている条例の素案(記事末にも全文を掲載)を見ると、「ガチャ規制」については一切盛り込まれておらず、「18歳未満はゲーム1日60分まで」といった“ゲーム全体に対する規制”ともとれる内容になっています。これについて高田議員は、
「私としては条例の中でガチャに伴う『依存症』対策と明確に入れたかったけれども『企業活動への妨害』にも受け取られかねないことから、ガチャの規制など具体的に書けず、腰砕けになってしまいました。残念ながらこれは県条例としての限界です」
――と、時間規制は本意ではなかったと説明。また、こうした配慮・譲歩にもかかわらず「民間の企業活動に公権力が踏み込むこと」などの批判があったことについては、「とんでもないです」「本当に悔しいです」ともつづりました。
一方で「1日60分、休日90分」という時間規制については、「時間規制など、条例にいれても実効性はなく、元よりなじみません」と懐疑的な姿勢も。しかし「保護者に意識して欲しい、家族で話し合ってほしい、この注意喚起を少しでも気にしてほしい。子どものガチャを止めてほしいという思い」から「あえて入れた」とコメント。根拠がないといった指摘があることについては「これ以上長い時間にすれば、逆にその時間までのお墨付きを与えてる結果にもなることから、私は基準として妥当な時間だと思います」との見解を示しました。
高田議員がブログを更新すると、ネット上では多くの反響が。しかし、現状では「論理が歪んでいる」「ゲーム依存じゃなくてガチャが問題なのでは」「この論旨からスマホ・パソコン全般を制限する最初の案が出てくるとは思えない」など、高田議員の主張と、実際の条文との食い違いに「理解できない」とする声が多数。また当初、高田議員がガチャについて書いていた「このお金からは何も生産しません。まさにギャンブルマネーと同じ経済循環しにくい、不健全なお金です」という文章についても批判が寄せられていましたが、その後高田議員は指摘を受け、Twitterで「誰かが儲けると誰かが損をするというお金の流れでは価値を生産しないということを言いたかったのですが、当然お金の流れはそれだけではないし、誤解も与えました。申し訳ありません」と謝罪。現在はブログから当該部分を削除しています。
なお、高田議員はTwitterでのやりとりのなかで、「当然委員ですから関わってはいますが、ブログに書いたことも私の個人的認識であって、県議会の総意ではありません」とも説明。上記はあくまで高田議員個人の考えであり、議会による公式な見解ではないと断っています。
条例は成立すれば4月1日から施行される予定で、現在は香川県ホームページにてパブリックコメント(意見公募)の受付を行っています(2月6日まで)。また、編集部では1月21日以降、検討委員会への取材を申し込んでいましたが、委員長の大山一郎議員(自民党)の公務が立て込んでいるとの理由から、今のところ取材は実現していません。
条例素案
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