楽天、“送料無料”に「法令上の問題はない」とコメント 公取委調査には協力する一方、予定通り開始する構え
賛同するお店の声なども公取委に伝えていくとのこと。
「楽天市場」での一定の金額以上の注文について送料を無料にする方針を楽天が打ち出し、公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで調査に着手した問題で、楽天は2月7日、「法令上の問題はないものと考えているが、調査には全面的に協力する」というコメントを発表しました。
現在は公取委の調査中ですが、送料無料化は予定通り3月18日に開始する計画だとしています。
楽天は、楽天市場での3980円(税込)以上の注文で送料を無料にする「共通の送料無料ライン施策」を導入する方針を発表。楽天は、店舗によってまちまちな送料を一律化することで分かりやすくし、ユーザーの利便性を高めると説明していますが、送料を負担することになる店舗側からの反発も起きていました。
独占禁止法は、事業者に対し不公正な取引方法を用いてはならないとしており、事業者がその地位を利用して取引相手に不当に不利益を与える「優越的地位の乱用」もその1つです。楽天によると、公取委は関係法条として、不公正な取引を禁止した独禁法19条を示しているとのことです。
公正取引委員会の杉本和行委員長は2月5日、一般論と断った上で「独占禁止法違反の疑いがあれば調査し、違反であれば厳正に対処する」と述べています(時事通信の記事)。
楽天は、
本施策は、楽天市場全体で表示を統一することで、お客様にとっての価格表示のわかりやすさを向上させ、より簡単にお買い物が楽しめる環境を創出することにつながるものです。当社は、本施策がさらなるお客様数の増加、購買頻度の向上につながり、ひいては出店店舗様の中長期的な事業成長に資するものと考えております。
──と説明。公取委から調査開始について正式に連絡を受けており、調査には全面的に協力するとした上で、
同時に公正取引委員会に対し、本施策に対する当社の考え及びご賛同いただいている出店店舗様、お客様のお声を誠心誠意お伝えし、ご理解を得られるよう努めてまいりたいと考えています。
──と、公取委に理解を求めていくとのことです。
「GAFA」など巨大プラットフォーマー問題について公取委が実態調査をしたところ、国内事業者からは楽天への不満が多かった(関連記事)という経緯もあり、公取委は関心をもってこの問題の調査を進めるものと思われます。楽天の三木谷浩史会長兼社長は最近、出店者向けのイベントで「流通総額が十数%上がると確信している」と送料無料化の断行を訴えたとのことですが、日本経済新聞は2月5日付の社説で「人手不足で物流費が上昇するなか、送料の低さで利用者を引き寄せる競争は、持続可能とはいえないのではないか」と指摘、楽天の施策について「強引ではないか」と批判しています。
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