コラム

「ひのとり」デビューで引退へ さよなら往年の新スナックカー「近鉄12200系」を追う(2/3 ページ)

でも、まだ乗れる……! 「狙って乗る方法」も紹介します。【写真26枚】

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旧塗装をまとった12200系のレトロ感がたまらない

 今回は12200系を追うべく、大阪上本町駅から9時50分発宇治山田行き特急に乗り、大阪線(大阪上本町~伊勢中川)の大和八木駅まで向かいました。

 9番ホームで待っていると4両編成の12200系が入線してきました。12200系はオレンジ色と紺色の旧塗装のまま、有終の美を飾るようなそぶりも見せずに活躍しています(2020年3月現在)。


12200系の、オレンジ色と紺色の旧塗装がまたいい

なお、12200系以外の一般特急車は黒色、黄色、白色を組み合わせた新塗装となっている

 先頭車の中央にある種別行先表示機も方向幕のままです。「特急」という文字が誇らしげです。

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 大阪上本町方の先頭車にはパンタグラフが2基あります。2丁パンタを振りかざしながら時速100キロ以上で疾走する12200系の姿は現在でも多くの鉄道ファンを惹きつけています。


「特急」の文字が誇らしい12200系の種別行先表示機

大阪上本町方の先頭車にはパンタグラフが2基ある

 側面には製造当初からある行先表示機がそのまま使われています。「宇治山田ゆき」。”ゆき”だけひらがなが使われており、何だかかわいらしいです。

 号車案内もサボ(看板)が使われています。近鉄特急は全車指定席なのでサボの下には「全席指定」と書かれたステッカーも貼られていました。

 宇治山田方2号車の扉の横には車内販売準備室があります。筆者が乗車した12233編成には製造当初からスナックコーナーはありませんでした。


側面にはレトロな行先表示機がある

現在でも号車案内はサボが使われる

2号車には車内販売準備室がある

細かな配慮がうれしい12200系の車内

 12200系の車内は1990年代以降にリニューアルされ、デビュー当時の21000系「アーバンライナー」並のレイアウトとなりました。ベージュ系の配色と間接照明とも相まって落ち着いた雰囲気です。

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落ち着いた雰囲気の12200系の車内

 近鉄特急車の伝統として、肘置きから小テーブルが出てくる座席を備えます。シートは2020年現在の「アーバンライナー」が採用するような、リクライニングと同時に座面が前後に動く「ゆりかご型シート」ではなく、一般的なリクライニングシートです。


12200系のシートは「ゆりかご型シート」ではない

肘置きから出る小テーブルは近鉄特急の伝統だ

 一見すると足元にフットレストがないので狭く感じます。しかし座席下のヒーター部に足が置ける(“逃げ”がある)切れ込みがあります。足元はまったく窮屈ではありません。


一見するとフットレストがないので足元は狭く感じるが、そうではない

ヒーター部に切れ込みがあり窮屈ではない

 12200系の客室内には荷物置場もあります。大型の荷物があっても問題なく乗車できます。他には禁煙マークが目立ちます。近鉄特急では2020年2月1日に喫煙車が廃止され、喫煙室の整備が進んでいます。しかし12200系は間もなく引退のため、喫煙室は整備されません。

 扉のすぐ近くには洗面台があります。しかし蛇口がなく、自動センサーのような部品も見当たりません。どうやって水を出すのでしょう……。実は、洗面台の下にあるフットレバーを踏むことで水が出ます。

 トイレは洋室トイレと和室トイレを設置します。トイレも登場時からはリニューアルされていますが、やっぱりレトロなタイル張りです。トイレ内の小さな洗面台も足踏みレバー式でした。

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客室内には荷物置場がある

扉のすぐ近くに洗面台があるのが興味深い

洗面台の下にあるレバーを踏んで水を出す仕組み

トイレはレトロなタイル張り

 2号車の車内販売準備室はシャッターが閉まっていました。2020年2月現在、近鉄特急の車内販売サービスは観光特急「しまかぜ」など一部の列車にとどまっています。12200系ではもう使われないのでしょう。

 そして12200系の扉もまた珍しい「折り戸」です。扉が開く際は扉近くには立たないようにしましょう。


残念ながら車内販売準備室のシャッターは閉まっていた

12200系のドアは折り戸だ

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