「JR各社が時間帯別運賃を検討」つまりどういうこと?(2/3 ページ)
「ラッシュ時間帯は割高に、終電時間も繰り上げ」の導入を検討していますが、それはなぜ……?
「同じルートなのに異なる料金」、旅客機では普通に導入
「同じ路線でも値段が変わる料金体系」とはどういうものか。一般的に導入されている旅行・航空業界の料金やチケットを想像すると分かりやすいです。
例えば航空機チケットは、同一の会社、行き先でも便や申し込む方法によって料金が変わります。早朝の発着便は通常より安い料金になることが多く、需要の多い土曜、日曜、連休初日などは高くなります。需要予測に合わせた料金設定です。旅行商品やホテルなどもそうですね。
また、特急列車も「時期別」に料金を分けています。特急列車の普通車指定席料金は「通常期」「繁盛期」「閑散期」などと分かれており、JR東日本の特急列車も繁盛期は通常期プラス200円、閑散期はマイナス200円などと、少しですが差があります。こちらも需要予測に合わせています。
海外では例えば、ロンドンの地下鉄がピーク/オフピークで運賃を変える制度を取り入れています。
ロンドン地下鉄は距離別に1から6までのゾーンに区切ったゾーン別運賃を採用しますが、ロンドン市内の公共交通機関で使える交通ICカード「オイスターカード」利用者はオフピークの料金が設定されます。
具体的には、平日の6時30分~9時30分、16時~19時をピーク時間としてこの時間を割高な料金にし、また紙のきっぷを購入する場合は「常に」オイスターカードのピーク時間料金よりも割高な料金設定にしています。
日本にも交通系ICカードでは紙のきっぷを買うより安い「ICカード運賃」が既にあるので、交通系ICの利用を前提にした実現の具体性はそれとなく見えていると考えられます。
導入はいつ頃になるのでしょう。「時間帯別運賃はこれまでの運賃体系から大きく変える仕組みのため(国への変更認可申請、JR各社や接続する他鉄道会社との大掛かりな調整などで)実現には多少の時間はかかりそう」などの声もあります。JR東日本は「検討を始めたところである」として開始時期を明言していませんが、同様の考えを示したJR西日本は会見で「(終電繰り上げは)来春(2021年春)の実現を目指す」としたと報道されています。
鉄道運賃単体で考えるのではなく、複数の移動手段や周辺サービスをまとめて1つのサービスとして捉える「MaaS(Mobility as a Service)」(関連記事)などの推進とともに、鉄道や移動の在り方もこの先大きく変わるかもしれません。皆さんはどう思いましたか?
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