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台風から身を守るには 2019年台風19号を振り返り教訓とすべき点

大きな爪あとを残した令和元年東日本台風(2019年台風19号)が、大型で強い勢力で伊豆半島に上陸して、ちょうど1年。教訓を生かすため当時を振り返りながら、今後の台風への備えやコロナ禍での避難のポイントなどをまとめました。

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東京都など初めて「大雨特別警報」が発表された所も

 令和元年東日本台風(2019年台風19号)は、10月6日に南鳥島近海で発生しました。一時「大型で猛烈な」台風に発達した後、日本の南を北上。12日19時前に「大型で強い」勢力で伊豆半島に上陸した後、関東地方を通過しました。

 台風19号は「大型」だったため、台風の中心が接近する前から、発達した雨雲がかかり続けました。さらに大量の水蒸気を含んだ状態で接近・上陸したことや、地形の効果などによって「長い時間、雨が強まった」というのが特徴でした。

 このため、関東甲信や東北を中心に、103地点で24時間降水量の観測史上1位(1位タイを含む)を更新し、広い範囲で記録的な大雨になりました。中でも、神奈川県箱根町では、12日の日降水量が、平年10月の降水量の約3倍にあたる922.5ミリに達し、全国の観測史上1位になりました。なお、箱根町の降り始めからの総雨量は1000ミリを超え、年間降水量(平年値)の約3割の降水量を観測しました。

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 記録的な大雨により、多くの河川で水位が上昇し、氾濫危険水位に達しました。千曲川や多摩川、阿武隈川など大きな河川でも氾濫が発生した結果、甚大な被害が生じました。

 この大雨に対し、静岡県、神奈川県、東京都、埼玉県、群馬県、山梨県、長野県、茨城県、栃木県、新潟県、福島県、宮城県、岩手県の合計13都県に「大雨特別警報」が出され、平成25年に特別警報が設定されて以来、史上最多の発表となりました。このうち、静岡県、神奈川県、東京都、埼玉県、群馬県、山梨県、長野県、新潟県、福島県、岩手県の10都県では、初めての「大雨特別警報」の発表でした。

記録的な暴風・高波・高潮も

 記録的だったのは、大雨だけではありませんでした。

 台風の接近に伴い、関東の沿岸部を中心に、記録的な暴風となりました。12日の最大瞬間風速は、江戸川臨海で43.8メートル、羽田空港では43.7メートルと、ともに観測史上1位でした。都市部でも風が吹き荒れ、東京都心の12日の最大瞬間風速は41.5メートルと、観測史上2位でした。

 また、波も高くなり、静岡県の石廊崎で13メートル、京都府の経ヶ岬で9 メートルを超える記録的な高波が観測されました。

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 さらに、干潮と満潮との差が最も大きくなる「大潮」で潮位が高いうえに、台風による高潮が加わり、関東から静岡県の沿岸を中心に、潮位が高くなりました。神奈川県の小田原や、静岡県の御前崎では、過去の最高潮位の値を更新しました。

台風シーズンは まだ続く

 台風の発生数は、平年ですと8月がピークですが、10月以降も油断はできません。平年の発生数は、10月は3.6個、11月は2.3個と、この先も台風シーズンが続く恐れがあります。さらに、過去、最も遅く上陸した台風は1990年11月30日14時頃と、11月でも台風が上陸した例もありますので、まだまだ台風対策が必要です。

 台風が接近・上陸する前に、ぜひ、行っていただきたいチェックポイントを挙げておきます。

  1. 最新のハザードマップで、浸水しやすい場所や避難経路などを確認しておきましょう。
  2. 暴風で電柱が倒れたり、電線が切れて夜間に停電になったりすることがあります。懐中電灯を準備し、点灯するか確認しておきましょう。
  3. 断水になった場合に備えて、飲料水を確保するのはもちろん、浴槽に水を張るなど生活用水も確保しておきましょう。
  4. 避難場所で、数日間、過ごすことを想定し、非常用持ち出し品の準備や、食料の確保をしておきましょう。
  5. 水害に備えて、雨どいや排水溝、側溝を掃除し、水はけを良くしておきましょう。
  6. 屋外に置かれている、飛ばされやすいもの(物干し竿、鉢植え、ゴミ箱など)は、しっかり固定するか、室内にしまうなどの対策をしましょう。
  7. 暴風で飛ばされてきたもので、窓ガラスが割れないよう、窓は鍵をかけ、雨戸があれば閉めましょう。

 また、普段から、避難場所や避難経路を確認しておくのはもちろん、家族で、緊急の場合の連絡手段と、その方法を話し合い、集合する場所などを決めておくのも大切です。

非常持ち出し袋にプラスして! 新型コロナウイルス感染対策グッズ

 台風の際には、指定避難所に、大勢の方が集まってきます。そんな中、水などが入った「普段の非常持ち出し袋」に加え、新型コロナウイルス感染対策には、次の物を用意しておくのが、おススメです。

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  1. マスク(できれば複数枚、用意しましょう。災害後の復旧作業時にも役立ちます)
  2. アルコール消毒液
  3. ハンドソープ・固形石鹸(なるべく避難所で共有しないよう、家族用または自分用を持参しましょう)
  4. 使い捨てのビニール手袋(ドアノブなど、大勢の人が触れるものから、接触感染を防げます)
  5. 除菌用アルコールティッシュ(水が不足した場合、手洗いの回数を少なくできます)
  6. 体温計(自治体で用意できない場合もあります。できれば一人一本用意しましょう)
  7. キッチンペーパー(タオルを共用せずに手を拭くことができるだけでなく、輪ゴムやヘアゴムと組み合わせれば、簡易マスクを作ることができます)

 コロナ禍ではありますが、自分の身や、大切な人の身を守るため、新型コロナウイルス対策も心掛けながら、安全に行動できるうちに、避難(移動)してください。

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