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プリキュアの後、何見てる? 関東と関西で違いはある? 視聴データから振り返る2020年の「ニチアサ」サラリーマン、プリキュアを語る(2/2 ページ)

視聴データから2020年ニチアサコンテンツを振り返ったら興味深いデータが出ました。

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プリキュアは関西の方がよく見られている

 次に地域別のライブ視聴状況を見てみました。

 「ヒーリングっどプリキュア」の地域別の平均ライブ視聴です(2~11月平均)。

 関東地区が2.58%なのに対し関西地区は2.96%、中京地区では2.97%と、プリキュアは関東よりも関西、中京地区でのライブ視聴が高いことが分かります。

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 これは仮面ライダー(関東2.57%、関西2.83%)、戦隊シリーズ(関東2.16%、関西2.37%)も同様の結果となり、朝日放送系のプリキュア、仮面ライダー、戦隊シリーズは関東地区よりも関西地区、中京地区の方が相対的に良く見られていることが分かりました(もちろん視聴の絶対量は人口が多い関東地区が多いのですけど)。

 「関西人の日曜朝」はプリキュア、ライダー、戦隊が見られる傾向にあるようです。

 逆に、グラフにはありませんがテレビ東京系の「ラブパトリーナ」「プリ☆チャン」「ミュークルドリーミー」のライブ視聴は関東地区の方が高く、東西でニチアサ視聴の傾向が違うことが示唆されました。

プリキュアの世代別ライブ視聴量

 「ヒーリングっどプリキュア」の世代別のライブ視聴量です(2~11月の平均)。

 (Family:家族視聴 BC:13歳未満、 TEEN:13~19歳、M1:男20~34 F1:女20~34、M2:男35~49 F2:女35~49…)

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 このデータは「家族視聴」と「個人視聴」が別でカウントされるので、成人男子が1人で見ている量も分かります。

 プリキュアのライブ視聴は「家族で見る」が最も多く(3.1%)、次いで子ども単独で見る(BC:2.6%)が続きます。これはプリキュアが子ども向けアニメであることからしても当然の結果ではありますが、プリキュアが「ファミリー」の目を意識して制作されていることは媒体インタビューなどで周知の事実であり、実際に「家族での視聴が最も多い」ことはそれを裏付ける結果となっています。

 また20歳以上の「成人」もかなり多くプリキュアを見ていて、特に多いのが「M2F2層(男女35~49歳)」でした。またM1~3、F1~3(男女20~64歳)の層においては「成人女性」よりも「成人男性」の方が相対的にプリキュアを視聴していることも分かります。「ヒーリングっどプリキュア」は成人女性だけではなく成人男性の視聴量も多いのです。

「ガールズ×戦士」の大躍進

 ここ数年、日曜の朝の女児向けコンテンツの中でも注目を集めていたのがタカラトミーの「ガールズ×戦士」シリーズです。かつては「魔法少女ちゅうかなぱいぱい!」「美少女仮面ポワトリン」などの東映不思議コメディーや、実写版の「美少女戦士セーラームーン」などがあった「女児向け特撮」という分野を再発掘し、人気が急上昇中なのです。

 その人気の程は「ライブ視聴」にも現れています。

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 「プリキュアシリーズ」や「キラっとプリ☆チャン」のライブ視聴量がここ3年「ほぼ横ばい」なのに対し、「ガールズ×戦士」シリーズだけは、年々ライブ視聴量が増加しています。日曜朝の子ども向け番組の中では最も勢いがある、といっても良いでしょう。

 現在放送中の「ポリス×戦士 ラブパトリーナ!」は来春の映画公開も決定し、まさに絶好調なようです。「ガールズ×戦士シリーズ」は(もちろんいないわけではないですけど)いわゆる「大人ファン」の割合が少なく、ファミリー層、子ども層の視聴割合が高い、というデータもあります。

 この「ファミリー層に強い」というのが「ガールズ×戦士」の強みの一つであると思われます。

 バンダイナムコグループも2021年1月に「実写」を取り入れた「アイカツ!」シリーズ最新作「アイカツプラネット!」の展開が始まります。タカラトミーのブルーオーシャンであった「女児向け実写」分野にバンダイが参入することにより、この分野も大きく盛り上がりを見せていくことが予測されます。「アイカツプラネット!」は「ラブパトリーナ」を脅かす存在になるのでしょうか。

新型コロナの影響

 2020年世界中で猛威を振るった新型コロナ禍は、日曜朝の女児向けコンテンツにどのような影響を与えていたのでしょうか?

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 「ヒーリングっどプリキュア」も2020年4月26日~6月21日まで、コロナ禍の影響により「再放送」を余儀なくされました。

 その再放送期間はライブ視聴、再生視聴ともに大きく数字を落とすこととなり、その後「本放送が再開しても、数字を戻すことなく低いままの水準」を維持してしまいました。

 再放送により一度視聴の習慣が途切れてしまうと、そのまま戻ってこない視聴者も多く、特に「プリキュアを録画で見ている層」は一度視聴習慣が途切れてしまうと戻ってこないことが顕著に表れています。「再放送」はプリキュアの視聴量的には悪い影響を与えてしまったようです。

 プリキュアの再放送は「玩具の販促スケジュール」にも大きな影響を与えていたりと(参考:新プリキュア「キュアアース」登場も、プリキュアの玩具の売れ行きが不調だった理由)、本当にコロナ禍に振り回された1年となってしまいました。

 ビョーゲンズと今もなお戦い続けているプリキュアたちに声援を送りたいと思います。

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コロナ禍の影響を大きく受けてしまった「ヒーリングっどプリキュア」(画像はAmazon.co.jpから)

2021年もニチアサコンテンツを

 2020年の日曜朝の「女児向けコンテンツ」を「視聴量的」に見てみたところ、

  • やはりプリキュアのライブ視聴が強い
  • プリキュアからライダー、戦隊と流れて視聴する層が多い
  • プリキュアとデジモン、ワンピースを見る層は異なっている
  • プリキュアは関東よりも関西、中京圏の視聴量が多い
  • プリキュアはファミリー視聴が主だが、大人も見ており特にM2F2層の視聴が多い
  • 「ガールズ×戦士」シリーズのここ数年の盛り上がり方がすごい
  • 新型コロナによる再放送は視聴量的に悪い影響が出てしまった

……といったことが見えてきました。

 今や大げさな表現でもなく、日本人の日曜日の朝にはアニメや特撮などの「ニチアサコンテンツ」が根付いています。

 データ的にもこの時間帯は「ファミリー視聴」が多く、この先も日曜朝のコンテンツはニュースバラエティーの他は「子ども向け」「ファミリー向け」のアニメや特撮が続くことと思われます。「親子2代、3代で一緒にニチアサを楽しむ」時代ももう到来してきています。休日くらい、頭を空っぽにして日曜朝の子ども向けコンテンツを思いっきり楽しみましょう。

「ヒーリングっど プリキュア」
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション

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