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「夢や希望もありゃしない世界」 窪田正孝×西野亮廣インタビュー、“バッシング社会”で生き抜くために(3/3 ページ)

「大人になるにつれ、なくしていくものの方が多い気がしていて」。

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「安心感が強かった」 芦田愛菜さんとの収録

――“ゴミ人間”のプペルを窪田さんにオファーした理由を教えてください。

西野: プペルとルビッチのお2人に関しては、いろんな意味で「勝ったな」と思っています。コロナ禍のご時世とあまりにもシチュエーションが重なったので、みんなが映画を見るときに、プペルとルビッチの言葉を2020年に経験した何かと重ね合わせて見るんだろうな、て。

 例えば、ルビッチだったら星を見ようとしているし、プペルは「いけるいける」って言うし。その2人の言葉にうそくささみたいなものがあったらダメだと思ってて、そこはスタッフ満場一致でそりゃあそうだよねって。結論、何かっていうと、プペルっぽい人に(笑)。

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――(笑)。

西野: 役者さんに対する言い方として正しいのかは分からないですけど……。たぶん演じられすぎちゃうとダメなんだろうっていうのはあったので。(窪田さんが)プペルっぽいじゃないですか?(笑)

窪田: あっ! そうなんですか?

西野: こんな状況下でも前に行こうとする強さがあるということ。むちゃくちゃかっこいいし、声もとにかくかっこいいんですが、バラエティー番組に出られているときに、「やめてくださーい」みたいな“オネエ”が入った瞬間が(笑)。

窪田: あはは(笑)。ありました?(笑)

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西野: でもそれがすごく良かったんですよね。それが想像していたプペルの姿と重なったので。そういう人が最後パッて締めてくれると、グッてくるじゃないですか。やっぱオネエが良かったかもしれない。

窪田: そこでしたか(笑)。

―― 窪田さんは、映画「モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ」以来二度目の声優挑戦でした。俳優でのお芝居との違いは感じましたか?

窪田: お芝居の場合はせりふの掛け合いをして、いろんな形が変わっていくけど。声優は普段体現しているものではないし、相手の声が答えとして出ているから、そこに帳尻を合わせていく風にやっていきました。

―― 収録はどうでしたか。

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窪田: 5~6時間くらいひたすらずっと1人で、スケジュールの都合上、一緒に収録できたのは(芦田)愛菜ちゃんだけでした。愛菜ちゃんとは初対面だったんですけど、いきなり2人でブースにこもって。真ん中にアクリル板のパーテーションがあって、あとはもうやるだけ! っていうスタンス。それまでずっと1人だったから、愛菜ちゃんがいてくれたことが僕にとっては安心感が強かったんですよね。

――事前に芦田さんとは打ち合わせなどはされていなかったんですか?

窪田: 全然。かわいらしい姿で来られて「初めましてー!」って台本持ってやりまーす! みたいな。

 ただ、プペルは“ゴミ人間”というキャラクターで、完成されている形態ではない。ルビッチこそがプペルの“核”だと僕は思っているから、何か彼によって導かれて、彼が成長すればその成長にプペルも引っ張られると思っていたので。愛菜ちゃんが的確な声でルビッチ像を作ってくれるから、そこに乗っかっていく中で、プペルがどんどん人間っぽくなっていった印象がありました。

窪田正孝、役者としてのスタンスは「現場の中で演じることが全て」

――現代社会を投影している作品ということでお聞きしますが、今の時代は嫌でもネット上の書き込みが目に入ってくると思います。お2人は普段SNSでエゴサーチなどはされますか?

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西野: 僕はします。Twitterは自分がつぶやくことはあまりないですが、人が何を見ているのかなー、どういうことを考えているのかなーっていうところで結構使いますね。

 いまさら悪口をいわれたとしても、何とも思わないですし、人は今これに興味持っているんだっていうのを知りたいだけですけど。だからといって、世間の声に合わせることはしないですが、ただそれだけですね。

――なるほど。窪田さんは?

窪田: 僕は全くしないですね。僕は現場の中で演じることが全て。編集されたら、僕らは“具材”でしかないと思っていて、監督がそれをどう編集して音楽を入れて、人の目に映るものとするのかに委ねています。カメラ側に写っているものに興味がなくて、むしろ僕はその現場で起きたことを自分の主観でしっかり記憶しておきたいという思いがあります。

――最近でいうと、主演を務めた連続テレビ小説「エール」も見ていなかったんですか?

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窪田: あまり見ていなかったですね。でも、現場のことははっきり覚えていて。ただ、自分が出ていないシーンは気になって見たりします。「奥さん(二階堂ふみさん)どんな芝居しているんだろう?」とか。そういうのはすごく気になっちゃいますね。

――面白いですね……! では最後に、コロナ禍で今作はどのように受け止められてほしいか、受け止められると思うかをお聞かせください。

西野: 2020年は本当にコロナ禍なしでは語れないと思うので。それでいうと今作はシチュエーションがかぶってしまっている世界。みんなこの2人と同じように大変な思いをして、それでも「いくぞ!」ってやっちゃうこの姿が、今大変な思いをされている方の“エール”になればうれしいです。

窪田: ありがとうございます(笑)。僕は、大人の人にこそ見てほしいなと思いました。先ほど西野さんのお話も本当にそうなんですけど、大人になるにつれ、なくしていくものの方が多い気がしていて。折り合いをつけちゃったり、しょうがないって勝手に線引きしちゃったりするじゃないですか。

 だから今そうやって、例えば、SNSなどで個々が発信していることを僕はすごく良いことだと思う。僕はやらないけど、見るのはすごく好き。そういうツールで、人と人とがつながっていくことがすごいこと。昔から共通していることって、人と人がいれば必ず何かが生まれるというか。相手の顔を見ることや会話で、必ず何かの感情が生まれていくと思うんです。

 コロナ禍ですごく閉ざされて、距離ができることがあっても、向き合える人がいるということで、どれだけの人が救われたんだろうって。ステイホームのとき、それぞれいろいろな感情があったと思うけど、その集大成というか。この年末にプペルを上映できるのはすごく意味があるんじゃないかと思うので、幅広い層というより、僕は大人の人にこそ見てほしいなと思いました。

――ありがとうございました。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル」製作委員会
配給:東宝=吉本興業

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