告白文化は日本独特のもの? ヨーロッパと日本の恋愛スタイルの違いとは(2/2 ページ)
オランダに3年間住んでみて経験したヨーロッパの恋愛文化
ヨーロッパ人からすると不思議な告白文化
日本だと、付き合う前にキス以上のことをしてしまうと「遊ばれているのでは?」と思う人もいるのではないだろうか。恋愛の形は十人十色だが、大まかな傾向として「相手を大事に思っているなら慎重になるはず」と考える日本人が私の周りには多い。
しかし、ヨーロッパにいる友達からは「デーティングしないでどうやって相性を見極めるの?」と聞かれる。「付き合ってから、身体の相性が悪かったら困るよね?」とも言われた。
日本人の私的には「曖昧な関係で不安にならないのか?」とか「遊びなのか、そうじゃないのかどうやって判断するのか」とかと気になる。
これをオランダ人の友人たちに聞いたところ「スペシャル・アンテナがあるよ」と言われた。遊びなのかそうじゃないのか、なんとなく判断できるアンテナを持っているらしい。
オランダ人はハッキリ物事を言うので、トラブルを防ぐために「この関係は遊びにしたい」と事前に言う人もいるそうだ。真剣交際を前提としていても「デーティング期間は相性を確かめる」という共通の前提があるため、不安には思わないらしい。
「日本人は空気を読む」「何を考えているのかわからない」と言われることがある。しかし、恋愛に関してはヨーロッパの人たちは、白黒はっきりさせずに空気を読むことを好むように感じる。パートナーに昇格するまではグレー。これまで日本以外の国の恋愛観に触れたことがなかったので、衝撃だった。
デーティングを体験してみた
ヨーロッパエリアの人々の恋愛観に対する好奇心もあり、オランダに来てから何人かの男性とデートしてみた。前述したように私は移民の立場なので関わる人々に偏りがあるかもしれないが、その点はご了承いただきたい。
カフェやバーでのデートからスタート
アムステルダムのカフェで仕事をしていたら、「君は日本人? 僕、日本に行ったことがあるんだ! いい国だよね」とブルガリア人の男性に話しかけられ、連絡先を交換したことがある。
後日、カフェでお茶して街を歩いた。日本と同じだが、ヨーロッパでもまずは軽くお茶をしたりバーでお酒を飲むのが初回デートとしては定番のようだ。
彼は日本に行ったときにものすごくチヤホヤされたらしく、「日本人女性は軽い」「すぐヤらせてくれる」と思っている節があった。
少し話題が逸れるが、たまに「日本人の女性って海外でモテるんでしょ?」と言われることがある。私は、これについては2パターンあると思っている。
本当に本人が魅力的でモテているケースと、「日本人はちょろい」と思われているケースだ。実際、自国だと女性に相手にされない男性が日本人女性(黄色人種)に狙いを定めていることがあり、そういう人は「イエローフィーバー」と呼ばれているらしい。海外にいる/行く機会がある日本人女性は要注意だ。
アプリと出会い
アプリ「Tinder」で知り合ったポルトガル人と半年ほどデーティングしたこともある。最初は親切で丁寧な人だなと好印象だったのだが、どうも関係性をはっきりさせたがらないことに4カ月目くらいで気付いた。「あなたはpotential girlfirend(ガールフレンド候補)」とずっと言われていた。こうして改めて文章にしてみると「はあ?」って感じだ。
この点についてオランダ生活の先輩(日本人女性)に「それはコミットメント・フォビアだね」と言われた。関係性をはっきりさせたくない、コミットメントを避ける男性のことをそう呼称するらしい。
ブルガリア人の女友達には「そいつはやめたほうがいい。時間がもったいない。デーティングアプリはクソ野郎に遭遇する確率も高いから、友達に紹介してもらう方がいいよ」と言われた。実際、デーティングアプリには妻子がいるのに偽って登録している男性なども少なくないようだ。
ただ、合理的というか、アプリやインターネットを介した出会いへの抵抗は小さいように感じる。あるオランダ人の友達はインターネット経由で知り合った女性と結婚している。「僕はTinderは使わない。遊び目的の人も多いから。彼女と出会ったサイトはチャットで会話をスタートして、会うまでお互いの写真を見ないんだよ」と言っていた。
恋愛の相談に乗ってくれるコンサルサービスもある!
私が入居しているシェアオフィスにはデーティングのコンサルティングサービス(女性向け「MannenBrein」/男性向け「AttractionGym」)を展開する男性たちがいる。
オランダだけではなく、フランスやドイツなど他国にも出張セミナーに行くほどで、国にかかわらず、みんな恋愛に悩みを抱えているんだなぁと感じた。実際、どんな悩みを抱えているのかを聞いてみた。
男女に共通するのは、「自信のなさ」。男性は「女性に話しかけるのが怖い」「なんて話したらいいかわからない」などの悩みを抱えていて、それに対してはビデオコースを提供している。
ただ、そこからさらに「デートの実践」という大きなハードルがあるから、デートの予行練習なども行っているそうだ。オランダは特に女性が強いので、繊細な男性にはありがたいサポートのように感じる。
女性の多くは会話には問題がないが、関係性の作り方に課題を抱えている人が多いそうだ。真剣な交際を望んでいるのに、相手の男性はそれに対してコミットしないなどが悩みとして多いという。自分に自信がないがために、相手は遊びなのに関係を切れないそうだ。デーティング期間のように曖昧な関係があるからこそ陥りやすい悩みのような気もする。
以上が、筆者が実際にオランダに3年間住んでみて経験したヨーロッパの恋愛文化だ。他にも、パートナーのために花束をプレゼントしたり、人前でもナチュラルにキスをしたり、大切な人に対する愛情表現を惜しまなかったりとさまざまな違いがある。
恋愛に関してはグレーな期間があると書いたが、その根底には長く付き合うために相手をよく知ろうとする姿勢がある。相手をよく知らないまま付き合い、傷つけ合うような結果になったらお互いにとってマイナスだからだ。日本とスタイルは異なるかもしれないが、本質的に大切なところは同じであるように感じる。
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