ニュース

映像制作経験のない監督が7年かけ作り上げたヤバい映画「JUNK HEAD」レビュー(2/3 ページ)

製作期間7年のストップモーションアニメ映画「JUNK HEAD」のヤバさと魅力を語る。

advertisement

 そして、中盤で誰もが戦慄するであろう、あの「史上最狂に気持ち悪い食事システム」を考えた堀監督はどうかしている(褒めてる)。観賞後にはG(全年齢)指定であることを二度見してしまった。

 それでもさまざまなピンチが訪れるエンターテインメントとして楽しいし、人形なのである程度グロさは軽減されているので、本当に(字幕の漢字が読める年齢の)子どもから大人までおすすめである。

(C)2021 MAGNET/YAMIKEN

 そんな良い意味での悪趣味さがたっぷりの反面、キャラクターはめっちゃキュートであったりもする。主人公を神様だとあがめている「3バカ兄弟」は、「今日は食べ物がないんだーごめんねー」などと気の抜けた話し方をしており、性格そのものもボケボケでなんともいとおしい。中盤から登場する「女の子」も心からその身を守りたくなるだろう。

advertisement
(C)2021 MAGNET/YAMIKEN

 それでいて、クズいキャラもいるというのもうれしい(?)ポイントだ。中盤から登場する六角精児にそっくりなキャラは、誰もがその言動を見て「地獄に落ちろ☆」と思えるだろう。そして、その期待に十二分に答えてくれるので心から笑顔になれた。

(C)2021 MAGNET/YAMIKEN

 そんなわけで、肉体損壊描写に「グロい!」とおののき、主人公の境遇に「ひどい!」と同情し、しかもとぼけたキャラに「かわいい!」と萌えたりもできる、そんな風に感情がぐっちゃぐちゃになるのがこの「JUNK HEAD」なのだが、それこそが最大の魅力でもある。こんな映画は、他には存在しない。

(C)2021 MAGNET/YAMIKEN

 そして、広大(に見えることがすごい)なディストピア世界の冒険の果てにもまた、とんでもない感動が待ち受けていた。見終われば、誰もがさらなる「JUNK HEAD」の世界(続編)に期待し、そして「お疲れさまです!」とねぎらいの言葉をかけたくなるだろう。

「JUNK HEAD」エンディング曲「人類繁盛」。中毒性抜群である。

5月公開の「クー!キン・ザ・ザ」も要チェック!

 「JUNK HEAD」の堀監督は、1986年のソ連製作の映画「不思議惑星キン・ザ・ザ」を、もっとも好きな映画として挙げており、そのタイトルと同じフォントが予告編で使われているようだ。

 「不思議惑星キン・ザ・ザ」は知る人ぞ知るカルト的な人気を誇るディストピアSF映画であり、そのとぼけたコメディー描写、宇宙船の造形のレトロ感などは、なるほど「JUNK HEAD」に通じるところがあった。作風に大きな影響を与えていることは間違いないだろう。

advertisement

 そして、その「不思議惑星キン・ザ・ザ」を、なんと27年の時を経て同じ監督がアニメ映画化した「クー!キン・ザ・ザ」が、2021年5月14日より公開される。

 「JUNK HEAD」と合わせてこの「クー!キン・ザ・ザ」を見て、その共通点を探してみるのも、きっと面白いだろう。一風(どころじゃない)変わったアニメ映画を期待して、ぜひ劇場へ足を運んでほしい。

ヒナタカ

参考記事:自主制作のコマ撮りSFアニメ「Junk Head 1」がヤバい! - KAI-YOU.net

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 母犬に捨てられ山から転げ落ちてきた野良子犬、驚異の成長をみせ話題に 保護から6年後の“現在”は……飼い主に話を聞いた
  2. 砂が入り交じった汚い石 → 磨いたら……? “まさかの正体”に仰天! “200万円相当”の成果に「すごい」「私だったら気が狂う」【豪】
  3. 「すごっwww」 愛知県まで乗り換えなしで行ける都道府県を調べてみたら……驚きの結果が1000万表示 「日本の中心は愛知ってコト!?」
  4. 約2センチの「まりも」を本気で育てたら2年後…… 想像をはるかに超えた“衝撃の姿”に「こんなに大きくなるの!?」「成長条件知らなかった」
  5. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  6. 四角いハギレを全部つなげていくと…… プロの大胆リメイクで“便利グッズ”完成!「目からウロコ」「配色かわいい」
  7. 沖縄の離島で夜の海を歩いたら…… “まさかの生物”に遭遇しまくり大興奮! 「巨大生物祭りですね」「高級食材いっぱい」
  8. “無給餌”で育てたメダカが2年後、驚きの姿に→さらに半年後…… 放置しておいたビオトープで起きた“奇跡”に「ロマンを感じる」
  9. 寝たい柴犬→お気に入りのクッションに“まさかの”先客が…… 激しい奪還戦に「卑怯なりw」「容赦ないwww」
  10. 自宅のウッドデッキに住み着いた野良の子猫→小屋&トイレをプレゼントしたら…… ほほ笑ましい光景に「やさしい世界」「泣きそう」の声