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「FR」にピクンと反応クルマ好き トラックやハイエースも「FR」、路線バスは「RR」、そのワケは?

どの駆動方式が好きですか?

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 「FR車」というとスポーツカーを思い浮かべるクルマ好きは多いことでしょう。


「FR」のクルマといえば……? 写真は2021年秋にフルモデルチェンジする、FRスポーツカー・トヨタ「GR 86」

 近年の乗用車は多くがFF(フロントエンジン・フロントドライブ)です。前にエンジンがあり、前輪を駆動させる方式。4WD車もFF車ベースのものが多いです。一方、FR(フロントエンジン・リアドライブ)車は前にエンジンがあり、後輪を駆動させる方式。スポーツカーや高級車など、普段使いの利便性よりも運転特性や走行性能を追求したクルマが採用します。

 でも日本のFRスポーツカー、一時期と比べるととても少なくなりました。目立ち、かっこよく、運転そのものが楽しく、憧れる。おカネがあるならば欲しい。だけれど現実には……、家族に許してもらえたり、金銭面で維持する余裕があるならば……いった趣味領域の存在でもあります。

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待ってください、ワタシも「FR」です(画像:三菱ふそう)

 というわけで2021年現在、街でいちばん身近でよく見かけるであろうFR車は、実はトラックかもしれません。トラックの世界はFRが主流です。同じく身近な大型バスはRR(リアエンジン・リアドライブ)です。後ろにエンジンがあり、後輪を駆動させる方式。ポルシェ 911(関連記事)と同じです。

「何のために、誰のために」あるのかを最適化した納得の構造

 乗用車の多数派が前輪駆動のFFであるのに対して、なぜトラックやバスは後輪駆動が多いのでしょう。

 大型車が後輪駆動なのは「トラクション(タイヤが地面に伝える駆動力)」のため。駆動輪にしっかりと重さを掛けることで動力が地面へ効率的に伝わります。軽いとタイヤが空回りしてしまいます。トラックは積荷で重量配分がリア寄りにもなります。加速時の荷重移動と相まって、後輪駆動の方が都合が良いのです。


大型車は後輪駆動が都合がよい。ただ、バスはFRでなく「RR」が主流(画像:三菱ふそう)

 多くの荷物や人を乗せる車両として後輪駆動が有効なのはトラックもバスも同じです。では、なぜトラックとバスはエンジンの搭載位置が違うのでしょう。

 トラックの役目は「荷物を運ぶ」こと。最も重視する「荷台、荷物(積載量)」にステータスを多く割り振ります。荷台が広ければその分より多くの荷物を積めます。積載や荷下ろしの作業がしやすければ物流の効率も上がります。そのためデカいエンジンは積載量に影響しないよう車体の前部へ置きます。

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 トラックの運転席の位置がとても高いのは、エンジンの上に運転席(キャビン)が乗っている構造だからです。最も重要な「荷物を積むこと」以外を前部へギュッとまとめた感じです。

 同じ「荷物を運ぶ」が主目的であるワンボックスバンのハイエースなどもFR(か4WD)です。また、小さな軽トラックは「農道のポルシェ/林道のフェラーリ」などと愛されるようにリアエンジンやミッドシップ(車軸間にエンジンを搭載する方式:MR)の車種もありますが、リア駆動なのは同じです。

 対して、バスは「乗客」を運ぶための乗りものです。バスの乗降口がトラックの運転席のようによっこらしょと飛び乗るほどに高い位置にあっては乗客は大変です。乗客が容易に乗り降りでき、かつ多く乗せられるよう、車内を広く、床面をなるべく低くして天井高や容積を多く確保したい。そのためエンジンは、その中で確保できるスペースである最後部に載せます。バスの後部席がちょっと高くなっているのはそのためです。


バスは乗客を乗せて運ぶことが主目的。その役目を踏まえて最後尾にエンジンがある

 なお、ボンネットバスなどと呼ばれる昔のバスはトラックと同じFRで、エンジンも前にありました。しかしRRにすることで、床下を通すドライブシャフトなども不用になり、その分床を低く車内の乗客スペースをより広く確保できるようになりました。

 昨今はさらに低床面で、段差が少なく乗り降りしやすい「ノンステップバス」が一般的になり、さらには燃料電池とモーター駆動で排気ガスがなく、騒音・振動が少ない乗り心地を実現する「燃料電池バス」(関連記事)も走り始めています。

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 それは「誰のために、何のためにあるのか」を追求し、進化してきた機能美。皆さんはどの駆動方式が好きですか?


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