「CAT 4WD 走行2m キーレス」 中古車情報誌に載った“子猫の里親募集広告”が話題に 出版社と広告主に話を聞いた(2/2 ページ)
あたたかい広告。
“幸せになりや”って子猫たちを見送ってました
滋賀県の自動車整備工場「株式会社 岡野自動車」。広告を出稿した当時は、社長夫妻お2人で経営していたとのことです。前社長夫人の岡野さんに話を聞きました。
――19年前の雑誌がTwitterで話題になっていることについて、どう思われましたか?
19年前の記事に今頃火がついたことを、何か喜ばしく思います。7年前に亡くなった主人(前社長)に状況を報告いたしました。
――中古車情報誌に里親募集を出稿したのはなぜですか?
当時は主人と2人でほそぼそと修理販売を営んでおりまして、雑誌に掲載する車がなかったのと、たまたま(家の)猫がよく出産して、何とかこのかわいい子猫たちを誰かにもらっていただけないかと思い、当時の担当の方に相談してみました。
担当の方も猫好きで、快く引き受けてくださいましたが、動物愛護に引っ掛かるかもしれないという懸念もあり、1度だけ載せてみようとなりました。
掲載の内容は主人と相談しながら、4WDにしようかとか距離は数メートルにしようか、など考えました。
――子猫の里親募集の広告への反響はいかがでしたか?
初回掲載の際はすごい反響で、雑誌配布当日から“猫まだいますか?”の電話が1日に何件もありました。その後も反響があったので年に2回ほど、子猫が産まれたときに載せていたと思います。2回目からも、早い時は2~3日でもらわれていきました。掲載後1カ月は問い合わせが続き、数カ月たって忘れた頃に“まだ猫いますか?”という電話もよくありました。
――当時、子猫たちを譲渡する時はどのようなお気持ちでしたか?
子猫の譲渡が無料だということに驚かれ、“本当にただでいいんですか?”とよく聞かれましたが、かわいがってくださるなら結構ですよと言ってました。皆さんうれしそうに帰られるのをみると“幸せになりや”って心の中で見送ってました。
――里親さんが決まった子猫たちの、その後はご存じですか?
しばらくは“こんなになりました、ありがとうございました”と写真をもって立ち寄ってくださる方もいましたし、市内の方でしたら仕事で訪問すると“こんなに大きくなったんですよ”って猫の話に花が咲くことが多かったです。
残念ながら、今現在は分かりませんが、おそらく約20年もたっているので寿命が来てるかと思います。
――会社の公式Instagramで看板猫「モコ」ちゃん(12歳、♀)の写真を拝見しました! 猫ちゃんがお好きなんですね。
一時期はおうちに猫ちゃんがいない時期もありました。でも寂しくて息子(現社長)の友人から譲ってもらうこともありました。
Instagramに載っている「モコ」は、母猫がいなくなったため、私が赤ちゃんの頃からお世話した子猫のうちの1匹です。モコは自分のことを人間と思っているようで、お客さまが来ると私たちより先にお出迎えしていたり、猫好きのお客さまの膝の上に乗ったりして、かわいがられています。
(了)
現在よりも猫の里親を探すのは大変だったであろう19年前、産まれた子猫たちにどうか優しい飼い主さんをと、中古車情報誌に広告を載せることを思い付いた岡野さん、そしてそれを快く受けいれたZONEの担当者さん。
“少し緩い”時代だったからこそできた異例の広告掲載ではありますが、そこにあるのは、猫を思う人たちの優しさと絆。その絆のおかげで子猫たちは新しい飼い主さんが見つかり、その後もあたたかな人生を送ることができたのでしょうね。
1つのツイートから知ることができた、19年前の人たちの絆。その時代ならではの、心があたたまる出来事でした。
画像提供:株式会社ZONEさん/岡野自動車(@okano_car)さん
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