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「聖剣伝説 レジェンド オブ マナ」のHDリマスターを遊んだら軽く感情が暴走したので全力でお勧めする今日書きたいことはこれくらい(1/2 ページ)

武具作成だけで延々遊べるゲーム。

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※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 夢中になって遊んでたらちょっと書くのが遅くなってしまいました……。

 この記事は、基本的には聖剣伝説 レジェンド オブ マナ HDリマスター(以下、LOM)超面白いから、昔遊んだ人も未経験の人も今だからこそ遊ぼうぜ!」という趣旨の記事なんですが、記事が大きく3段階に分かれており、後半に行くほどしんざきの感情成分が多めになって文章から冷静さが失われていくという、あたかも急な下り坂を転がり落ちるような構成になっております(※前半が冷静なわけではない)。ご承知おきいただけると幸いです。

ライター:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ、三児の父。ダライアス外伝をこよなく愛する横シューターであり、今でも度々鯨ルートに挑んではシャコのばらまき弾にブチ切れている。好きなイーアルカンフーの敵キャラはタオ。

Twitter:@shinzaki

 お品書きは以下の通りです。

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  • 1:LOMの魅力についてざっと説明する(未プレイの方向け)
  • 2:PS版経験者として、HDリマスター版を遊んだ感想について簡単にまとめる(プレイ経験があり、今回の移植の出来を知りたい方向け)
  • 3:LOMの主要シナリオについて感情だだもれで語り倒す(1回以上のLOMクリア経験があり、LOMのシナリオについての他人の感想が読みたい人向け)

 2まではほぼネタバレなしで書くんですが、3以降は当然のことながらネタバレが容赦なくたたきき込まれた内容のため、LOM未クリアの方にはおすすめできない内容となっております。ご承知の上、みなさまのLOM習熟レベルに合わせた段階までお読みいただけると幸いです。

 なお、例によってしんざきが好きに書かせていただいているだけであって、特にPR記事ではないです。ご承知おきください。

1:LOMの魅力についてざっと説明する

 LOMというゲームは、一言でいうと「多少好みは分かれるが、ハマるとどこまでもズブズブとはまってしまう底なし沼のようなアクションRPG」だと表現できます。

 このゲームの最大の特徴が、冒険の舞台を自由に形作っていく「ランドメイクシステム」であることは議論を要しないでしょう。ゲームを始めた当初、プレイヤーの目の前に現れるのは何一つオブジェクトが存在しない白紙の地図のようなフィールドと、古ぼけた木製のポスト。そのポストをフィールドに置くと、突如ポストが輝き始め、フィールドにプレイヤーのマイホームが現れる。

 ここからLOMの、まるでいくつもの童話を組み合わせて織り上げられているかのような、不思議な物語が始まります。

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 ランドメイクシステムは、「アーティファクト」と呼ばれるアイテムを自由に配置して、そこに出現したフィールドで発生したさまざまなイベントをクリアしていくことで、さらに新しいアーティファクトを獲得していくというシステム。「自分であれこれ考えながらフィールドを作っていく」という、これ自体面白いんですよ結構。

 どんな順番でどこにフィールドを配置していくかはプレイヤーの裁量次第で、それを反映したように、ゲームの進め方も極めて自由度が高いものになっています。プレイヤーは、気になったアーティファクトを置いて出現したフィールドで、次から次へと展開するLOMのシナリオを体験していくことになります。

 LOMというゲームには大きく3つのメインシナリオがあるのですが、ただゲームをクリアするだけなら、この3つのシナリオのうちどれかを追い続けていればクリアできます。「聖剣伝説」シリーズの例にもれず、アクションの難度もそこまで高くはなく、また敵の強さも(通常モードなら)それほどでもないため、クリア自体にはそこまで苦戦しないバランスになっています。

 さまざまなフィールドを巡って、LOMの世界に隠されたいろいろな要素を見つけ出していく、その過程は宝探しのような楽しさをプレイヤーに提供してくれます。

 アクションも、ベルトスクロールアクションのようなアクション性は薄いものの、さまざまな武器と武器ごとのコンボ、そこから繰り出せるさまざまな必殺技は、慣れれば慣れるほど爽快感が増していく良質なものです。しんざきのお気に入り武器はです。青龍好き。

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 とはいえ、言ってしまうと、LOMって若干遊びにくい部分もあるんですよ。

 極めて高い自由度と引き換えに、イベントは結構あちこち探し回らないといけなかったりしますし、シナリオ進行上もちょこちょこ進め方が分かりにくいところがあります。マップとマップのつながりが分かりにくい部分もあったり、アビリティや必殺技の習得条件が手探りだったり。そういう「今の視点で見るとちょっと遊びにくい」部分はちょこちょこあります。これでも、あのころのRPGの中で比較すると相当遊びやすい部類だとは思うんですけど。

 ただですね、ただですね、まずそのシナリオの出来が、メインシナリオもサブシナリオも全部ひっくるめて、どれもこれもものすごーーーーーくすばらしいんですよ。登場人物も、彼らが喋るセリフも、彼らを包み込む世界観も、何もかもが本当に奥深く、いとおしい。

 七賢人。草人。コロナとバド。瑠璃と真珠姫。ラルクとシエラ。ダナエとエスカデ。海賊ペンギンたちとバーンズ、ドミナの住人たちやジオの生徒たち。

 彼らが発する言葉、彼らの行動。哲学的なものもあればとっぴなものもあり、一見するとまるで統一感がないように見えるんですが、例えばゲームをクリアした後にあらためて振り返ってみると、全てが一つ残らず「LOMの世界」に完全にマッチしていて、実は一つたりともLOMのピースになっていないものはなかった。

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 この「ジグソーパズルの完成形を細部から観はじめて、徐々に視点を引いていくことで全体の姿が分かる」とでもいうような感覚は、ぜひ一度味わってみていただきたいと思うばかりなのです。セリフの一つ一つが宝石のようで、フィールドをあさりまわってでもLOMの世界に触れたくなってしまう。そういう魅力が、LOMには大量に封入されています。

 絵本のような美麗なグラフィックが、LOMの世界に完全マッチしていることも指摘しておかなくてはいけないでしょう。ドミナの町のマップ画面とか、本当「絵本の中に入り込んでその中で冒険している」かのような美麗さなんですよ。グラフィックモードで見られるイラストも超美麗です。

 シナリオ以外でも、例えば「武具作成」システム、ペットの育成やゴーレム作成などの寄り道・やり込み要素、いろんな場所に隠されているサブイベントやサボテンくん日記のようなコンプリート要素などなどなど、とにかく「深すぎ」「詰め込み過ぎ」という言葉がふさわしい、どこまで行っても遊び尽くせないようなボリュームが、シナリオクリアの向こうに待ち受けています。

 特に武具作成システムについては、誤解を恐れずに言えば「これ作った人はちょっと思考がおかしい」と断言できるすさまじい奥深さでして、本気でやり込もうと思えばこれだけで数十時間使ってしまうようなシロモノです。ひと昔前のMMORPGかよって感じです。

 武具の「主原料」を使って武具を作って、それに「副原料」を使っていくことで強化していくシステム。武具にある8つの属性の強弱関係。特定条件で副原料を使うことで発動する「シークレットパワー」と、それを付けたり外したりしていくことで天井知らずに上がっていく武具の攻撃力。

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 このゲーム、いわゆる攻略本的な位置付けとして『アルティマニア』という本が出ておりまして、電子版でも復刊しているんですが、これ実際見ると電話帳みたいなぶ厚さです。当然武具作成についてもかなりの尺が割かれているのですが、数十ページを費やして書かれている情報、当然有用だし重要なデータだらけなんですが、それでも「基礎知識」というレベル。これを基礎としてさらに思考と試行を重ねないと、強い武器はなかなか作れなかったりします。

画像:しんざき撮影

 そんだけ大掛かりなシステム、さらにゲーム中拾えるアイテムの9割以上は武具作成用の副原料だというくらいリソースが割かれているのに、「ただクリアするだけなら武具作成になんか一切手を出さなくてもクリアできる(ラスボスまでは店売りの武器で十分)」というこのバランス、本当に何考えてんの?(褒め言葉)という感じです。

 ちょっと武具作成のチャートを練ると、ラスボスがワンパンで倒せるような武器が簡単に作れちゃったりするんです。明らかに強力な武器用に調整されているノーフューチャーモード、わざわざこんなモード作らないと使いどころがないんですよ。それでも、研究を重ねて自分のチャートを作って、狙い通りにシークレットパワーが発動して強力な武器ができると、本当に脳汁出るくらい気持ちよくって、うっかりするとこれだけで数十時間費やしちゃったりするんですよ。

 こういう、「掘り下げればどこまでも掘り下げることができる」システムこそがLOMの真骨頂でして、シナリオの素晴らしさがそれを強烈に彩っている、といえるでしょう。

 あともう一つ強調しておきたいんですが、下村陽子さんの手によるBGM、これもう本当に「神曲以外存在しない」と断言できる、一から十まで素晴らしい曲ばかりですので、ちょっと試しにSpotifyとかで聞いてみてほしいんです。

Spotifyなどで聞けます(画像はSpotifyより

 「滅びし煌めきの都市」や「ホームタウンドミナ」なんかが特に有名なんですが、個人的には「風歌う、その旅路」とか「悠然なる歴世」あたりのダンジョンBGMがもう本当狂おしいほど好き。あの雄大なのにどこか寂しさも混じったBGM、本当名曲ばかりのスクエニゲーBGMの中でも最高峰だと思います。

 そしてもちろん、最後にたどり着いた場所で高らかに、そして伸びやかに織り上げられる「Song of Mana」のメロディ。透明感と疾走感を両立させたその歌声は、エンディングを鮮やかに彩ってプレイヤーの涙腺を崩壊させてくれます。こればっかりは本当、とにかくゲームを一周クリアしてエンディングを見てみてください、としか言いようがありません。

 ということで、まずは「そこに沼があるじゃろ?」という誘導については全力でしておきたい次第なのです。

 ちなみに、アルティマニアは電子版で復刻されているので、LOMにハマったらこちらのご参照もお勧めいたします。その恐るべき情報密度に驚がくしていただけるのではないかと思います。あと収録されてるイラストやCGがどれも好きすぎる。

2:PS版経験者として、HDリマスター版を遊んだ感想について簡単にまとめる

 前提として、しんざきのLOMプレイ経験は下記のような感じだとご承知ください。

  • PS版LOMについては100時間以上を費やしており、クリア回数についてはよく覚えておらず、武具作成もかなりやり込んだ
  • PSPでのアーカイブス版もそれなりにやったがこちらは数周程度
  • SwitchのHDリマスターは取りあえず1周クリア、まだ武具作成はちょっと触っただけ

 上記くらいの状態で、今回の「HDリマスターについての感想」を箇条書きにしてみます。

  • プレイ感についてはほぼ違和感が仕事しないレべル
  • 画面も広くなって見やすくなっている。HD版なのにキャラクターのドットがあんまり変わらないのはどうかという意見も見掛けたが、個人的には悪くない印象
  • フォントもそこまで違和感ないけどな、と思っていたら原作再現フォントのアップデート予定が発表された。こだわりがすごい
  • どこでもセーブ機能はかなり便利で、セーブ出来ないマップや状況もあるものの、今まではポポイ像を探さないといけなかった場面でも即セーブできるので、後述のノーエンカウントとも合わせて周回が捗る
  • 敵とのエンカウントをオフにできるモードもひたすら便利。カニ踏みとかで試行回数を気軽に稼げるし、ジャングルで迷子になっても快適に過ごせる
  • ただし当然、序盤からノーエンカウントを利用していると戦闘回数を稼げず、アビリティや必殺技が育たないのでその点は注意
  • 注意点として、ノーエンカウントや2Pコントロール有無の選択が意図せず切り替わりやすく、どこでもセーブした後など「気付いたら勝手にノーエンカウントになっていた」ということが時々ある。これによってイベントが進行しなくなるマップもあるので、バグと勘違いされる例がある模様。「おかしいな?」と感じたら設定の確認を推奨
  • ミュージックモードは本当に最高すぎて泣ける
  • アレンジは全体的に「ほぼ原曲のイメージを残したまま、音色だけを豊かにしている」という感じ。違和感なく名曲の嵐を楽しめて好印象すぎる
  • OPのアニメで妙に女主人公の下半身がカットインしてくるところはさすがに笑った
  • ただし真珠姫はOPアニメでも大変にかわいい
  • 武具作成はまだそこまでやりこめていないのだが、ところどころ調整されていている模様。外出技などが使えなくなっている他、発動するはずのシークレットパワーが発動しなかったことなどもあったため、副原料のステータスなどもいじられている可能性あり(北米版に準拠しているっぽい、との説も見掛けたが未確認)
  • 「リング・りんぐ・ランド」遊べるのはいいのだが、さすがに今やると遊びにくい。できれば高速周回モードとか欲しかった。これで副原料集めとか正直キツい
  • 鏡の破片欲しい……
  • ノーエンカウントで多少緩和されているとはいえ、原作を忠実に再現しすぎて遊びにくい部分もそのまま、というのは賛否が分かれるかもしれない(イベントの見つけにくさ、一部マップのルートの分かりにくさ、イベント進行の途中経過が把握しにくいことなど)
  • バランス調整については、「ヘルモードやノーフューチャーモードで、仲間やペットの強さが置いてけぼりにされる問題」だけ、できればなんとかしてほしかった
  • あとノーフューチャーのラ・バンは本当勘弁して欲しい(それでもだいぶ調整されてる気がする)
  • とはいえ全体的には「LOM好きな人なら買って損なしと断言できる、未経験の人もぜひ」と言い切れる出来

 ――上記の通りです。よろしくお願いします。

※次ページからストーリーのネタバレが含まれます

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