日本橋から始まる、東海道“味な旅”!:東海道新幹線東京駅「日本橋 幕乃内」(1200円)
毎日1品、全国各地の名物駅弁を紹介! きょうは東海道新幹線、東京・品川・新横浜駅の「日本橋 幕乃内」です。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
昭和39(1964)年のオリンピックとゆかりのあるニッポンの新幹線。改めて、新幹線の旅を楽しんでみたくなりました。じつは、東海道新幹線の主要駅で販売されている駅弁には、それぞれの地域限定となっているものがあります。今回から3回にわたって、東海道新幹線の東京・名古屋・新大阪各駅の“ご当地駅弁”に注目しながら、新幹線の“旅気分”を楽しんでまいりたいと思います。
東海道新幹線のご当地駅弁・東京編(第1回/全3回)
前回、昭和39(1964)年のオリンピックと合わせて語られるのが、新幹線の開業です。世界で初めて最高時速210kmで営業運転を行い、当初の「ひかり」は東京~新大阪間を4時間、翌年からは3時間10分で結びました。現在は最新鋭のN700S新幹線電車をはじめ、東海道新幹線区間の最高時速は285kmとなり、最速の「のぞみ」は2時間21分で東京~新大阪間を結んでいます。
新幹線とともに、オリンピックの遺産として挙げられるのが首都高速道路。なかでも、日本の道路の起点・日本橋の上に高速道路が架けられたのは、高度経済成長時代ならでは。いまでは「日本橋の空を取り戻そう」と、首都高速道路の地下化工事が始まっています。新たな技術や発想を取り入れて、昔からあるものを大事にしながら、進化を続けていく、“持続可能な社会”とは、そういったものなのかもしれませんね。
そんな新たな時代の空気を感じて東海道新幹線を旅するなら、お供に選びたい駅弁は、「日本橋~幕之内~」(1200円)かもしれません。東海道新幹線主要駅で販売されている「ジェイアール東海パッセンジャーズ」の駅弁のなかでも、令和元(2019)年8月に登場したこちらは東京・品川・新横浜の各駅で販売しています。蓋の表の四辺には、五行説由来の東西南北を表す「青・白・赤・黒」の色が使われ、旅立ちを意味しているそうです。
【おしながき】
- ご飯
- 銀鮭の塩焼き
- 玉子焼き
- 牛肉とごぼうのすき煮 枝豆
- 天ぷら(蓮根、しし唐)
- 焼き豆腐~江戸前海苔の餡かけ~
- 煮物(がんもどき、里芋、椎茸、人参、蕗)
- あさり煮 葱煮
- 油揚げ入り小松菜煮
- 紀州南高梅の梅干し
ジェイアール東海パッセンジャーズによると、容器仕切りの上から2段目の部分を日本橋に見立てたのだそう。ここには江戸前海苔の餡がかけられた焼き豆腐が入っています。豆腐は白飯・大根とともに「江戸三白」に数えられた食材で、「江戸の三味」の1つに数えられる天ぷらとともに江戸情緒を感じさせる作り。その上には竹皮柄の敷物を挟んで、幕之内の主役・鮭の塩焼きがドーンと載っています。敷物を竹皮柄としたのも、当時、旅で持ち歩く食事は、一般的に竹の皮で包まれていたことにちなんでいるそうです。
江戸の旅の始まりは日本橋であることから、「東京から旅をスタートするときにぜひお召し上がりいただきたい」と考えて作られたという「日本橋~幕之内~」。東京駅を出て、どのタイミングで「駅弁」を開けるかは、それぞれのこだわりがあると思います。私は、神奈川・静岡の駅で下りるときは乗ったらスグ、名古屋以遠へ旅するときは多摩川を渡っていただくことが多いもの。アナタは、どのタイミングで駅弁をいただきますか?
(初出:2021年7月5日)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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