Switch移植が決定した「十三機兵防衛圏」について今から全人類にお薦めします:今日書きたいことはこれくらい(4/4 ページ)
やきそばパンが食べたくなるゲーム。
遊んでいるときの感覚は、「ジグソーパズルを細部から見はじめて、だんだん視点を引いていく感じ」というのが一番近いと思います。特に追想編で提示される数々の「お話のピース」。時系列が複雑に絡み合っていることもあって、プレイヤーは当初、モザイク画を細部から見はじめたような不思議な印象を受けることになります。何かの完成図が向こうに隠れていることはなんとなく分かるのだけど、一つ一つのピースを見るのが面白くってそこまで気にしていられない。
しかし、ゲームを遊べば遊ぶほど、ゆっくりプレイヤーの視点が引いていって、だんだんと、本当にだんだんと「パズルの完成形」が見えてくる。そしてプレイヤーは、ある時点で「あーーーー!!! これそういうことだったのかーーー!!!」という鮮烈すぎる驚きにぶん殴られることになるのですが、実はそれさえまだ「最初の入口」にすぎず、後から後から扉が開くたび、プレイヤーの前には新しい景色が見えていく。
この、「長い上り坂を登り切って、目の前がぱーーっと開けたような感覚」というものは、ぜひ皆さんにも味わっていただきたいと思う次第なのです。
これが、「シナリオ」だけでなく「システム」まで一分の隙もなく連携しているところも特筆すべき点でして。例えば追想編って、「このキャラの続きを遊ぶには、このキャラをここまで進めてきてね」といったアンロック条件が提示されることがあるんですが、これ自体が「お話のヒント」になっている節があるんですよ。「あれ? このキャラ何の関係もなさそうなのに、何でアンロック条件になっているんだ?」というような違和感が、そのまんま「シナリオ上の謎」とシンクロしていたりする。
上記した通り、プレイヤーは「追想編」と「崩壊編」を並行して遊ぶことになりますので、プレイ中「この話がどうやって崩壊編につながるんだ……?」と考えながら遊ぶことになるのですが、その崩壊編の意味も追想編を進めるうちにどんどん変容していきます。ゲームの冒頭で遊んだ、「ロボットに乗った怪獣退治」が、システム上の特徴も巻き込んでどんどん形を変えていく。
追想編はなぜ「追想」なのか。究明編のイベントアーカイブの並び順。「怪獣」とはそもそも何で、なぜ街を破壊しようとするのか。主人公たちはなぜ機兵に乗るのか。さまざまな「システム上の謎」と「シナリオ上の謎」は、プレイヤーにどこまでも深く思考を掘り下げることを要求してきます。
こういった、「シナリオとシステムがタッグを組んで殴りかかってくるプレイ感」というのが、十三機兵防衛圏のコアエッセンスの一つであることは間違いないと思うんですよ。ただシナリオがよくできているだけでなく、「システム自体がシナリオと連動していて、プレイ体験がそのまま謎解きとリンクする」なんてゲームもそうざらにはないと思います。
一方で、こういう「謎」を全然気にしなくてもちゃんとクリアできるしちゃんと楽しめる、というのもまたこのゲームのすごいところで、謎解きが攻略とは全く結びついていないので、ただ「少年少女の会話を楽しみながら遊ぶロボット戦術シミュレーション」としても何の問題もなく遊べます。「考察するもしないもプレイヤー任せ」という部分が非常に大きいんですよね。
序盤~中盤にかけての各キャラクターの掛け合いや絡み具合もまた絶妙で、プレイ中に他の主人公がちらっと登場すると「あーーここでこいつが出てきたーー!!」的に盛り上がるんですよね。シナリオ上はつながりが薄そうに見えたキャラクター同士が思わぬところでつながっていた、というのもゲーム中あちこちで目撃することになりまして、味わい深いポイントになっています。
個人的には、薬師寺恵さんと如月兎美さんのかわいさが恐ろしいレベルに達していると考えておりまして、一方実は思いの質量がゲーム中最重量なんじゃないかという疑惑がある鷹宮さんシナリオの探偵ごっことか、鞍部と柴久太の後から考えると味がありまくる会話とか、焼きそばパン食いたさにひたすら100円が落ちてないか探すことになる比治山シナリオとか、ハンバァグと焼きそばパンどっちがうまいか問題とか、個別のシナリオもじっくり楽しんでみていただきたいわけです。
崎元仁さんによるBGMも最高!
BGMについてもお伝えしたいのですが、このゲーム、とにかく「さらっと聴いている分には耳になじみすぎて聞き流しちゃうんだけど、よく聴くとめちゃくちゃいい曲」というBGMが非常に多いです。
「追想編」では生音中心の、ちょっと懐かしさを誘われるような抒情的な曲が多い一方、「崩壊編」のBGMではがりがりテクノのテンション上がる曲がめじろ押し。
特に「崩壊編」のボス曲なんかは、もう「ここでテンションを上げないでいつ上げるんだ」と言わんばかりの燃えるメロディ。一方、日常編ではまったり聴き続けていられるBGMもあれば、場面に合わせてほろっとなってしまうBGMもあり、これまたいつまで聴いていても疲れないし、飽きない。
そういったBGMが完全にゲームに融け込んでいて違和感がないというのは、実に実に「場面場面に合ったBGM」というのを考え抜かれているなあと感心するばかりです。このゲームのBGM担当されてる崎元仁さんって、例えば「伝説のオウガバトル」とか「蒼穹紅蓮隊」のBGMなんかも作っていらっしゃるんですが、とにかくゲームごとの「色」を出されることにものすごく長けていらっしゃって、作曲の引き出しがものすごく広いんですよね。
個人的には、ゲームのメインテーマでありオープニングでも流れる「Brat Overflow」の透明感のある歌声や、崩壊編wave1のボス曲でもある「-[DEOXYRIBOSE]-」のテンションぶち上がり方も大変好きなんですが、十郎のテーマといっても良さそうな「In the Doldrums」のどこか遠くから聴こえてくるような笛の音がものすごく好きです。
サントラも発売されていますし、恐らくSwitch版でも聴くことができるので、ぜひ「BGM」にも耳を傾けていただければと思うばかりなのです。
まとめ
さて。長々書いてまいりました。
最後に簡単にこの記事で言いたかったことをまとめますと、
- 十三機兵防衛圏は超楽しいので、Switchでも出ることだし皆さん遊んでください
- アドベンチャー好きな人にも戦術シミュレーション好きな人にもお勧め
- けど一番お勧めなのはSF好きな人
- 山のようなSFオマージュがSF好きとしては楽しすぎる
- 薬師寺恵さんがかわいい
- 沢渡美和子さんのまったり癒し具合は異常
- 輪島武美さんも不良モブに見せかけた癒しキャラ
- 千尋の服を買っているときの郷登の表情を観測実況したい
- さりげなく鷹宮編でもなっちゃん編でも重要モブになっている陸上部部員も好き
- 薬師寺恵さんがとてもかわいい
- 相葉絵理花さんの鋭い推理にも目を見張らざるを得ない
というような、本論とあまり関係がない結論が出るわけです。よかったですね。
ということで皆さんSwitch版十三機兵防衛圏予約しましょう。私もしました。よろしくお願いします。
今日書きたいことはこれくらいです。
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