東京駅の名物ご当地駅弁が、醤油味から味噌味にリニューアルされた理由:東京「深川めし」(950円)
東京駅を代表するご当地駅弁「深川めし」。日本食堂時代から30年以上の歴史があるロングセラーですが、2021年9月にリニューアルされました。その背景には……?
【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します
東京駅を代表するご当地駅弁「深川めし」。日本食堂時代から30年以上の歴史を誇るロングセラーです。とくに日本ばし大増製造の「深川めし」は、2010年代以降、より伝統の味に近づけるための取り組みが積極的に行われています。今年(2021年)9月から登場した新しい「深川めし」では、醤油味から味噌味へ大きなリニューアルが行われました。この背景にはいったい、どんな理由があるのでしょうか?
駅弁味の陣2021・気ままに味めぐり(第3回)
「陸橋」の名で親しまれ、太宰治ゆかりの場所としても知られるJR三鷹駅近くの跨線橋。昭和4(1929)年築の歴史ある橋からは、中央・総武線直通各駅停車の車両を中心に、さまざまな車両が見られます。ちょうどスカイブルーの帯を巻いた地下鉄東西線直通列車が、出庫して行きました。中野から地下に入って、高田馬場・大手町・日本橋・浦安を経由し、西船橋で再び総武線に合流。朝夕は津田沼まで直通する列車もあります。
このスカイブルーの電車が通る門前仲町周辺は、漁師のぶっかけめしがルーツとされる「深川めし」が有名です。数ある東京駅の駅弁のなかでも、江戸・東京らしさを感じさせてくれるのが、駅弁の「深川めし」(950円)。「日本ばし大増」が製造し、駅弁屋・祭をはじめ、「JR東日本クロスステーションフーズカンパニー」の売店で販売されている「深川めし」が、9月22日からリニューアル発売されました。
【おしながき】
- 茶飯 海苔
- あさりの深川煮
- ごぼう炒り煮 ゆでわけぎ
- 玉子焼き
- 蒲鉾
- 蕗煮
- 大根醤油漬け
平成25(2013)年から「ぶっかけめし」風の食感になっていた日本ばし大増の深川めし。今回、醬油から味噌による味付けに大きく変わりました。日本ばし大増によると、深川めしは本来、味噌味が多かったのだそう。そこで、あさりの深川煮に伝統の調味料・江戸甘味噌を使って、より原点に近づけるリニューアルを実施。生姜風味を効かせることでサッパリとした食感に仕上げました。また、一緒に煮込んでいたごぼうも、別に調理したごま油の炒め煮とし、もうひと手間。さらに、茶飯にもあさりの旨味を炊き込んで「あさりの美味しさを感じてもらえる逸品になった」と開発者の方も胸を張ります。あさり一本に絞り込んだことからも、味への自信が伺える新しい「深川めし」。生姜の香りに食欲をそそられていただけば、まるで江戸の風に吹かれているような気分になりそうです。
リニューアルされた日本ばし大増の「深川めし」も、現在開催中の「駅弁味の陣2021」に出陣中です。この秋、東京駅から新幹線に乗って、どこかに出かけようか考えている方も多いと思いますが、旅の始まりはやっぱり駅弁から。東京駅を発つときは、やはり地元の味をしっかり味わって出かけたいですね。
(初出:2021年10月20日)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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