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「間違ってもヤバい敵となんて戦いたくない」 映画「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」ピーター・パーカー役、榎木淳弥インタビュー(1/2 ページ)

「作品にはあえて思い入れを持たないようにしている」と榎木さん。

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 映画スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームが1月7日から全国公開されます。トム・ホランドが主演を務める3部作最終章にして集大成となる同作は、それぞれ監督の名前にちなみ「ライミ版」「ウェブ版」と呼ばれる過去の「スパイダーマン」2シリーズに登場する敵役たちが越境参戦。地元ニューヨークやクラスメイトの平和を守ってきたこれまでのシリーズとはひと味違う展開が公開前から話題になっています。

「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」

 “親愛なる隣人”と愛されてきたスパイダーマンことピーター・パーカー。吹き替え版では過去作同様に、榎木淳弥さんが担当しています。インタビューでは「作品やキャラクターへの思い入れはあえて持たないようにしている」と繰り返し強調していました。

 気合いや愛着が空回りして緊張を招き失敗した過去の経験から、今回もフラットな気持ちで収録に挑んだと話す榎木さん。“演技に余計なエッセンスを加えたくない”ため過去シリーズも鑑賞せずに挑んだからこそ、ヴィランたちに抱いたフレッシュな印象も聞かせてくれました。

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榎木淳弥さん

「もう宇宙人とも戦っていますし、戦い尽くした感はあります」 3部作完結への思い

 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)版スパイダーマンの吹き替えを榎木さんが担当するのは、初登場「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」から数えて6作目。2016年から5年の付き合いとなります。


スパイダーマンを演じるトム・ホランド

ーー 今回でトム・ホランド主演のMCU版3部作も最終章。ホランド本人は卒業とも継続とも明言はしていませんが、榎木さんとしてはいかがでしょうか?

榎木淳弥(以下、榎木) ずいぶん長いことやらせていただいたんだなと。あまり実感はなく「5年もやっていたんだ」という気持ちです。完結とはハッキリ言っていないみたいだし、この先どうなるのかは分からないんですけど、僕としては続くのならやり続けたい。本音をいえば、ずっとやっていてほしいです。

 とはいえトム・ホランドさんはいろんな作品をやりたいでしょうから。役者として別の作品に出たい気持ちも分かりますし、続けたい気持ちもあるでしょうし。

ーー もし続くとして今後、どんなスパイダーマンが見てみたいですか。願望があればお聞きしたいです。

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榎木 今回の作品は昔のヴィランが出てくるかなり独特な作りだから、今後はどうですかね。もっとヒロインのMJとの恋愛シーンとかも見てみたい。でももう宇宙人とも戦っていますし、戦い尽くした感はありますよね。もっと強そうなやつ、巨大な敵とか……でももう戦っているのか……。

ーー サノスとかいましたからね。いっそ日常系とかいかがでしょう。

榎木 もう何でも大丈夫です(笑)。日常系も面白いんじゃないかな。


スパイダーマンとNYの空を飛んでいく恋人のMJ

「誰か仲間になってくれないかな」 あえて過去作は見ずに出会った歴代ヴィランの印象

 「ノー・ウェイ・ホーム」には、“ライミ版”ことサム・ライミ監督によるトビー・マグワイア主演の3部作から、グリーン・ゴブリンとドクター・オクトパス。“ウェブ版”ことマーク・ウェブ監督、アンドリュー・ガーフィールド主演の「アメイジング・スパイダーマン」2作からはエレクトロらが参戦。

 かつてない事態を招くきっかけは前作「ファー・フロム・ホーム」のエンディングで全世界に正体をバラされてしまったピーターが、世界中の記憶を消すようドクター・ストレンジを頼ったことからでした。

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ーー ピーターが急に有名になってしまったために生じた痛々しいシーンもありました。榎木さん自身も6年前から主演を含め作品の主要キャラを演じる機会が増えてきましたが、共感する場面はありましたか?

榎木 僕はただの声優なので、四六時中カメラに追い回されることなんてないです(笑)。大変でしょうね。世間のフェイク情報に振り回されてメンタルがやられそう。ただそこで自分が“変わらない”ことが大切なのかな。人に好かれようと無理しないというか。

 例えばインタビューの場で「思い入れはどれくらいありますか?」と聞かれれば、たいていの人は「すごくあります」って答えると思うんです。でも本当はそうじゃない場合だってある。そこでうそをつかずに「思い入れがないのには理由があって、あると逆に作品のためにならないから」ってちゃんと説明できるような自分でいたい。変わらない自分でいたいなと思いました。


スパイダーマンとバレてしまったことで苦境に立たされるピーター

ーー そう考えると、ピーターの取った「みんなの記憶を消す」行動は安直に感じられますね。

榎木 よくないですよね(笑)。それでいろいろ事件が起きちゃってますから。良くないことをやった”と視聴者に思わせたいための展開なのかもしれませんが。

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ーー 榎木さんなら、ピーターはどうしていればよかったと思いますか?

榎木 うーん……もう割り切ってバラエティー番組とか出ていたら人気が出たんじゃないですかね。

ーー アイアンマン、トニー・スタークのパターンですね。「私がスパイダーマンだ」と。

榎木 そうですね(笑)。みんなの好感度を上げていればよかったのかも。


公開前夜イベントでは“BIG BOSS”新庄剛志さんと共演した榎木さん
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