朝ドラ「おちょやん」で話題に 「まえだまえだ」から役者へ成長した前田旺志郎の魅力(1/2 ページ)
現在は現役大学生に。
子役としてデビュー後、兄弟コンビ「まえだまえだ」を2007年に結成し、お笑い番組「エンタの神様」や「M-1グランプリ」に出場した前田旺志郎(まえだ おうしろう)さん。現在、俳優として活躍しており、NHK連続テレビ小説「おちょやん」や12月3日から公開された映画「彼女が好きなものは」、舞台「愛するとき 死するとき」など多数の作品に出演しています。
特に、朝ドラ「おちょやん」で演じた寛治は注目を集めるきっかけに。その他、ドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」「夢中さ、きみに。」「DIVE!!」、映画「うみべの女の子」「彼女が好きなものは」などの青春作品で演じたムードメーカー的な学生役は、教室にスッとなじむ安心感があります。一方、映画「キネマの神様」では内気な青年・勇太役として物静かながらも物語のキーパーソンとして重要なポジションを務めました。
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「まえだまえだ」から現役大学生へ
兄・航基さんを追いかけて芸能界入りした旺志郎さん。「まえだまえだ」結成後、史上最年少のお笑いコンビとして「エンタの神様」に出演し、「まえだまえだです!」という元気なあいさつとともに、お茶の間に知られるようになります。
「僕という人間を知ってもらえたという意味でも『まえだまえだ』としてM-1グランプリに出場したとき(2007年)が人生の転機です。それがなければ今こういうお仕事はできていないと思うので」
「兄の影響はすごく大きいです。事務所の養成所に入ったのも、兄が先に入っていたのを追いかけて入りましたし、M-1グランプリに出場したのも兄の負けん気の強さみたいなところから始まりました」
お笑いコンビ「まえだまえだ」として旺志郎さんを見ていた視聴者にとっては、あどけない7歳当時の印象が強く残りますが、現在は慶應大学に通う21歳の現役大学生。受験期間は俳優活動を一時休止して大学進学への選択をしました。
「大学に合格したときは、人生で一番うれしかったです。I期で落ちたときは、『どうしよう……』と思って本当に頭を抱えて悩みましたけど、塾の先生が『もし落ちても、一浪したらいいんじゃない?』と相談に乗ってくれました。一浪という言葉がすごく怖かったんですけど、冷静に考えてみたら『人より1年遅れたからといって、そんなに大した差はない』と。それから、そこまで思い詰める必要はないな、落ち込んでいる時間があったら前に進もうと思いました」
俳優としての原点「奇跡」、あのときの演技を「いつか超えたい」
俳優としては、2011年に是枝裕和監督の映画「奇跡」に兄弟で主演に抜てき。脚本を子どもたちに渡さず撮影を進行した監督の手法は自然体な演技を引き出し、国内外の映画賞にノミネートされるなど高く評価されることに。旺志郎さんにとっても自身の演技の基準となった作品になりました。
「今まで出演した作品で思い出深い作品は『奇跡』。自分の中にずっといます。演技について右も左も分からない状態だったからこその良さみたいなものがすごく詰まっていて、今お芝居をしている中で『奇跡』を超えられるのか、というのは自分の中で課題です。いつか、あのときの演技を超えたいです」
以降、俳優として経験を重ねた旺志郎さんは、NHK連続テレビ小説「おちょやん」などにも出演し、作品にとって欠かせない存在に。12月3日から上映された映画「彼女が好きなものは」でもその魅力は輝きます。
同作は、浅原ナオトさんの長編青春小説『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』を、神尾楓珠さん主演で映画化したもので、前田さんは主人公<純>の幼なじみ<高岡亮平>を演じており、ネットでは「この手の青春映画、いや全ての映画の頂点に達するほどの『マジでイイやつ』で彼の行動1つ1つに泣きそう」といった声が寄せられるなど、立役者として存在感を放ちました。
「僕が演じる高岡亮平は、とにかく本当にいいやつ。ムードメーカーでありながら周りに気がつかえて、根っからの優しい気持ちを持っているできた人間だと思います」
「どういうシーンであっても、亮平らしく明るさを損なわないように丁寧に演じることは意識しました。センシティブな内容になっていくので、どうしても最初のころは演技が暗くなりがちだったのですが、監督から『それで亮平らしさがなくなってしまうのは違うんじゃないか』と話し合って、そういう時こそ亮平の明るさがあれば、見てくれている人も何かしらのメッセージを受け取ってくれるんじゃないかなと」
「共演した三浦りょう太(※「りょう」=けものへんに寮のうかんむりがない形)くんが撮影のときすごく緊張していたので、心配していたのですが、撮影が終わったときに『俺旺志郎くんを見ていろいろ変わったよ。これから頑張ろうと思うんだ』と言ってくれたのはうれしかったです。その後、別のオーディションで『憧れの俳優さんは前田旺志郎くんです』と名前を出してくれていたみたいで、『年下の役者の名前を出すなよ!(笑)』と思いましたが、すごくうれしかったですね」
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