愛は引き裂かれたままなのか――ダンブルドアとグリンデルバルドの30年 「ファンタビ」ジュード・ロウとマッツ・ミケルセン、インタビュー(1/2 ページ)
シリーズ3作目にして直接対決が実現。
映画「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」が4月8日から公開。表題通りダンブルドア先生が話の中心となり、今シリーズの敵役“グリンデルバルド”との数十年におよぶ切っても切れない絆が描かれています。
難役ダンブルドアをひょうひょうとした調子で演じるのは前作から引き続きジュード・ロウ。一方でグリンデルバルド役はコリン・ファレル、ジョニー・デップから引き継ぎ、“北欧の至宝”と称されるデンマーク出身俳優マッツ・ミケルセンが演じることとなりました。新たな局面を迎えた物語について、ジュード、マッツに加え、主人公ニュート役エディ・レッドメイン、新キャラ、ユーラリー役のジェシカ・ウィリアムズ、そしてデビッド・イェーツ監督に話を聞きました。
つえバトルの新境地 ダンブルドアとグリンデルバルドの戦い
「ハリー・ポッター」シリーズでは誰からも尊敬されるホグワーツ校校長として、主人公ハリーら若い魔法使いたちを導いてきたアルバス・ダンブルドア。しかし物語終盤では絶対的な良い魔法使いの象徴と思われていたダンブルドア先生の完璧ではない一面が次々と明かされ、ハリーを惑わしました。新作では弟アバーフォースと故人になっている妹アリアナ、そして前作ラストで出自が明らかになったクリーデンスまで加わり、ハリーが驚いた以上のダンブルドア家の“秘密”を知ることとなります。
そしてこの秘密に深く関わっているのが強大な闇の魔法使い・グリンデルバルド。アルバスとグリンデルバルドの友情を超えた関係はこれまでの作品でも触れられていましたが、今回の作品ではロマンスと呼べる密度で示され、いつになく人間らしい弱さを見せるアルバス・ダンブルドアを目の当たりにするはずです。
ーー 今作はタイトルが象徴するように、ダンブルドアを中心としたストーリーです。特にグリンデルバルドとの愛憎入り交じった関係が掘り下げられていますが、どのようにアプローチしましたか?
ジュード・ロウ(以下、ジュード) 30数年前、2人の間に何があったのかという関係性をきちんと振り返って理解するには、自分自身もある年齢に達してないとできないものだと思う。今の年齢(49歳)になったからこそ演じる役柄への洞察を生んでくれた。おそらくは初めて挑戦するタイプの役柄なんじゃないかな。
ダンブルドアがグリンデルバルドから離れてどんな人生を送ってきたのか。別々の道へ歩みだす一方で、自分の中にずっと存在し続け、多くのことに影響を与えている。そんなこともある年齢に達していないと理解できない。
私は、ダンブルドアの心のうちを探る作業がとても好きだ。人とのかかわり、つながりにはたくさんの愛があり、そこには同時にたくさんの後悔もあるという考えがこの映画の核になっている。2人は別々の道を歩む決断をお互いに尊重していたが、それは現在の彼らの正反対な姿を映しているのではないか。そこには俳優たちがいろいろと解釈できる要素がたくさんある。
ーー 深い……! 2人がつえを交えるシーンはセクシーとすら感じましたが、どのように作り上げたのですか?
ジュード 君があの特別な魔法のつえのシーンを取り上げてくれたことがとてもうれしいよ。あのシーンは、つえでの戦いを新しい領域まで引っ張り上げなければいけない、と挑んだものだった。それに気が付いてくれて、私はとてもうれしいね。セクシーワンド(※つえ)バトル!
エディ・レッドメイン(以下、エディ) セクシーワンドバトル!(ツボにはまって笑い続ける)
ジェシカ・ウィリアムズ 今の質問は最高だと思う。あの戦いのシーンにはすごい緊張感が漂っていて、全編通じて目を見張るようなダイナミックなシーンだし、とても深い面もある。2人の意図したところは完璧に作用していた。だからとてもいい質問だなって。
マッツ・ミケルセン(以下、マッツ) 思うに、ダンブルドアとグリンデルバルドには“血の誓い”というお互い戦えない理由があった。(誓いにしばられて)物理的に戦えないという、魔法の世界での理由だが。
けれど魔法界ではなく現実世界の物語だったとしても、あの2人は戦えないだろう。互いの目指すところに邪魔が入り障害になっている。それでも最終的に、もし自分が彼を殺してしまっていたら、全ては無に帰してしまう。もう取り戻すことはできない。誓いの有無を問わず、戦えなかったはずだよ。
「ようやく子どもに自慢できる役が」 マッツ・ミケルセン演じるグリンデルバルド
ーー 倒すといいながらも強い未練をうかがわせる2人です。グリンデルバルドを演じてみていかがでしたか?
マッツ 俳優として子どもに自慢できて誇れるような役柄はなかなか回ってこなくて(笑)、でも今回は別。子どもたちがともに成長し夢見てきた物語。悪役だろうがヒーローだろうが、「今度出演するんだよ」と伝えればもう大喜びで飛びついてくる。そんなことが私にも起こったんだ。
撮影現場では、はしゃぎ出したいファン心を抑えなければならない。何が厄介って、目にするもの全てが感動的なんだよ。衣装もそう、全てさ。
特にあの魔法のつえ。どの出演者も自分のつえが最強だと主張したがって自分もついムキになってしまう(笑)。小道具だってことは分かっている。でも胸のうちでは「このつえこそが一番なんだ」なんてつぶやいている。「お前ら何とでも言え、このつえこそが最強なんだからな」ってね。
むちゃぶりされてもずっと好き 主人公ニュートとダンブルドアの絆
主人公ニュートはダンブルドアの命でチームを結成。第1作からおなじみとなっているマグルの親友ジェイコブに、そりの合わない兄テセウス、名門一族出身のユスフに、米魔法学校の教師ユーラリー、そして助手のバンティという個性的ながらデコボコの面々を率いることになります。
ーー ニュートとダンブルドアの関係はいかがでしょうか?
エディ このシリーズに出演する中で最高なことは、長年尊敬してきた俳優と共演してスクリーン内外で友情と絆を築けることだ。以前から知り合いではあったけれど、ジュードが参加した第2作から夢みたいだった。2人の関係は師弟のようであり、兄弟のような。一騎打ちでもできそうな関係。それも偉大なる愛を持ってね。
ジュード そんなこと言われてどう反応すればいいのか(笑)。ただ、エディは大切なことを言ったね。演じていく中で俳優同士としての僕らの信頼関係が、どう発展していくか。認識と理解が深まり互いのファンとしての資質を育んでいく。互いに尊敬できる関係性を持つだけじゃなく、ダイナミックな関係性を持った役柄を演じられてとても幸運に思う。
ーー 全5作とされているシリーズも3作目を過ぎ、ニュートの成長を感じます。
エディ 主人公として面白いのが、ニュートは内向的でシャイで心優しい人物。魔法動物に囲まれている方が幸せなタイプ。一方で彼は信じられないほど勇敢で強く、ダンブルドアを信頼している。何も知らせずにとんでもないミッションを次々と課されてもなおね(笑)。
ジュード (笑)。
エディ 密接な関係があるのだろうね。僕は物静かで心優しい彼の性格が好き。そんな彼が今作では仲間を集めてチームを率いることになり、メンツははみ出し者だけど強い信念があるものばかり。ちぐはぐなチームだけどニュートへ信頼を寄せるところもとても気に入っている。ニュートが自分だってチームを率いることができるんだとおのれを信じきるところも、人の心を引き付けるんじゃないかな。
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