ようやく会えるぞキュアヤムヤム　「デリシャスパーティプリキュア」1カ月の放送延期がもたらす商業的な影響とは？：サラリーマン、プリキュアを語る（2/2 ページ）

テレビ放送の登場と玩具の販売時期にズレが生じる

　テレビ放送と玩具の販売が密接にリンクしているプリキュアにおいて、この1カ月のテレビ放送のズレは玩具販売にも大きな影響を与えるものと思われます。

　子どもたちはテレビアニメで活躍するからこそ、玩具を欲しがるのです。特に初期の3人の玩具はスタートダッシュに大きな影響を与えてしまいます。

　今回のキュアヤムヤムも、テレビには登場できないまま「ミラクル変身!おしゃべりメンメン」などの関連玩具は予定通り発売となったため、バンダイ玩具公式Twitterでは苦肉の策として「謎に包まれたキュアヤムヤム…！」との表現もされました。

　また、アニメで登場しないまま武器アイテム「ハートジューシーミキサー」も4月2日に発売され、ここでも玩具販売とテレビ放送のズレが生じることとなりました。

　「テレビ番組での活躍」が事実上の玩具のお披露目となるプリキュアにおいて、テレビ放送と玩具販売のズレは大きな影響を与えます。

　2020年「ヒーリングっど・プリキュア」（・はハートマーク）においても、新型コロナ禍の影響で4月26日から9週にわたり再放送となりました。それに伴い追加プリキュア「キュアアース」が玩具の販売時期とアニメ初登場にズレが生じ、上半期の前年比で12億円もの売り上げ減につながるなど大きな影響が出てしまったことがあります。

　玩具業界誌『トイジャーナル』によると「デリシャスパーティプリキュア」は番組開始から関連商品の販売も好調に推移していたようで、この不正アクセスによる中断は復調を見せていた玩具販売にも水を差す形となり、おそらくですが玩具関連だけでも十数億円以上の損失が出かねない状態となっています。

全45話に短縮か？

　また、この不正アクセスによる1カ月の延期はアニメ自体の今後の展開にも大きな影響を与えます。中断してしまった分を1カ月延長して放送するのか？　短縮するのか？　はプリキュアファンには気になる所かと思います。

　これまでの例から見ても、バンダイのおもちゃ販促スケジュールは変わることはないと思われます。それを踏まえると、おそらくですが5話分の延長はなく例年通り2023年1月末で終了し「全45話」となる、といったあたりが可能性的には高いのではないでしょうか。

　この先、「追加プリキュアの登場」や「秋の映画関連」などにストーリーを合わせる必要もあるため、アニメ本編も「本来予定されていたエピソードの組み換えや削除」などの形がとられる可能性が高いものと思われます。

　（過去「ヒーリングっどプリキュア」においても、新型コロナによる再放送の影響により話の組み換えが行われ、「Yes!プリキュア5」との連動回が無くなってしまったことが明かされています）。

日常こそが奇跡

　プリキュアシリーズは新型コロナ、不正アクセスと次から次へと問題が出てきてしまい、ここ3年は満足に想定しているスケジュール通りの放送ができていません。

　プリキュアに限らずスーパー戦隊や仮面ライダーのような、玩具販売とテレビ番組放送が密接にリンクしているニチアサのビジネスは、新型コロナなど外的な要因に弱いことが露呈しました。

　そんな中、プリキュアシリーズは2022年から「各種見放題配信サービス」による見逃し配信など、新しい時代への対応も始まり「テレビ放送だけに頼らないスタイル」へと変わろうともしています。

　アニメーションは「1話制作するだけでも数カ月と数千万円がかかる商品」です。そんな状況でプリキュアシリーズはこの18年間、東日本大震災で1回休止になっただけで、後はずっとスケジュール通りに約900話が制作、放送されてきました。

　むしろこのことの方が奇跡だったのかもしれません。毎週のように子どもたちがプリキュアを視聴できることは、日常でもあり、ある意味奇跡の連続なのです。

　放送再開に向けて必死に動いてくれた全ての関係者に感謝しつつ、まずはキュアヤムヤムの初変身を祝福したいと思うのです。

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　現在放送中の「デリシャスパーティプリキュア」は、プリキュアシリーズでは初のAmazon Prime Video、NETFLIX、dアニメストアほか各種見放題配信サービスでも見逃し配信中です。

「デリシャスパーティプリキュア」
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション