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戸惑うほどの日本好き “サウジ”で日本アニメが急上昇しているワケ(1/3 ページ)

640億ドル(8兆6000億円)をエンタメ産業に投資するサウジが日本アニメに投資する意外な理由。

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 砂漠と油田とラクダ。女性は真っ黒のヒジャブとニカブで目元以外を隠して外出。お酒はご法度で外国人が泊まるホテルでも提供されない。あるいは王族が外遊する際の高級リムジンの車列――サウジアラビアについては、どこかステレオタイプなイメージしか浮かんでこない人も多いのではないだろうか。

 日本から見るサウジアラビアは漠然としたイメージでしかないが、取材に訪れてみると驚くほどの親日国ぶりに戸惑う。“親日”という言葉ではうまく表現できないほど、滞在中、常にサウジ国民から日本への好意を感じ続ける。そんな国だったのだ。


撮影に興じるサウジの人たち。後ろには『NARUTO』暁のメンバーたちの姿も

日本人というだけで好意的に接してくれる街

 訪れたのはメッカ巡礼へと向かう際に立ち寄られることが多いサウジ第二の都市ジェッダ。イスラム教徒向けに発行される巡礼ビザで、最低でも年間1000万人以上を越える巡礼客の多くが立ち寄る街だが、アジア人はほとんど見掛けない。

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 それだけに目立つのだろう。街中のスーパーマーケットで商品を物色し、イベント会場を歩いているだけで声をかけられ、レストランから出ようとすると別のグループ客から記念写真をねだられる。最初はからかわれているのではないか、と戸惑うほどだった。

 しかも、声をかけてくる人たちはみんな目をキラキラさせ、笑顔を浮かべながら明るく「日本の方ですか?」と尋ねてくる。そんな声にうなずくと、次に出てくるのは日本の文化が大好きで、「いつか日本を訪問したい」と話し始める。中には日本語を使って、どれだけ日本が好きなのか想いを伝える人もいたほどだ。

 彼らが口をそろえるのは、日本の習慣や日本人の人柄、(動画などで見る)街の雰囲気や日常生活の様子、それに日本コンテンツや古くからの日本文化も大好きということ。

 しかも、決してそれらは社交辞令ではない。

 今回、サウジを取材訪問した理由は、国家事業として進められているエンターテインメント産業育成プロジェクトを視察するためだった。

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国家プロジェクトにも組み込まれる“日本カルチャー”

 ジェッダでは5月中旬から“ジェッダ・シーズン”という街全体を挙げての巨大イベントを40日にわたって開催していた。海外から著名アーティストを招聘(しょうへい)し、ライブコンサートや劇場での演劇が連日行われ、巨大な屋外型テーマパークまで建設。テーマパークや各所のシアターなどは、エンターテインメント産業が発展した他国からイベンターを招き、国を挙げてのお祭りを演出している。


調査兵団になりきりパビリオンを楽しむファンたち

コスプレに興じるサウジの人たち

 そんなジェッダ・シーズンで最大の設備が屋外型テーマパーク「City Walk」だ。この中には、一流レストランからグルメ系ファストフードブランドが本格店舗を出店し、遊園地のような大規模遊具、映画や演劇のシアターなどがあり、中央のイベントスペースには高さ27メートル、横幅80メートル、2100平方メートル(長方形ではない)におよぶ巨大LEDスクリーンが設置され、スクリーンと同期したDJイベントで盛り上がっていた。

 彼らが狙うのは、本物のエンターテインメントをサウジに根付かせること。このため、レストランも全てが一流どころ。招聘(しょうへい)するアーティストやコンテンツも、全てが“ホンモノ”でなければならない。そして、そんな力の入ったテーマパークの目玉コンテンツのひとつになっているのが、日本から多くのコンテンツを呼び込んだアニメビレッジだ。

 アニメビレッジではナルト、鬼滅の刃、進撃の巨人、呪術廻戦、ガンダム、キャプテン翼などのパビリオンが並び、サンリオとアニメイトが、それぞれにグッズ販売するショップを設置。連夜にわたってコンサートやDJプレイ、トークショーなどアニメ関連イベントを開催するステージを備えた。

 日本では実物大、縮小版などさまざまな形でジオラマや立像が建設、撮影の名所になってきたが、サウジ・ジェッダでもアニメビレッジに巨大ジオラマが建設され、現地のアニメファンたちの目を楽しませ、撮影ポイントとして好評を博していた。他にも、全国さまざまなアニメイベントで活躍していたVRゲームなどのコンテンツも、ジェッダに運ばれて設営されていた。このアニメビレッジが予想以上に好評だったため、アニメをテーマにした常設テーマパークの企画について話し合いを始めているという。

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ガンダムとシャア専用ザク、サウジの地に立つ

サンリオのショップ

アニメイトのショップも

 ジェッダ・シーズンは“シーズン”というように、期間限定で建設されるものだ。サウジでは首都リヤドで開催する”リヤド・シーズン”とともに、毎年、新しく建設される。それがテーマパーク建設計画に発展するのだから、そのスケールの大きさとともに日本コンテンツの人気が伺えようというものだ。

 しかし、多くの読者は拭えない大きな疑問を感じるのではないだろうか? 「なぜ、これほど日本カルチャーが好きなのだろう? そして、僕らはサウジのことをこれほど知らないのだろう?」と。

動画で見るJeddah Season 2022
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