すかいらーく、ジョナサン店舗で店長がパワハラ 骨折と全身打撲が労働災害に認定される 被害者「毎日が苦痛だった」(1/2 ページ)
被害者「これまでの人生で経験したことのない怖さでした」。
すかいらーくグループが運営する「ジョナサン芝公園店」で、社員のAさんが店長(当時)から継続的にパワハラを受けていた件に関連して、総合サポートユニオンは「骨折」と「全身打撲」 について三田労働基準監督署が労働災害であると認定し、療養補償給付を支給したと発表しました(関連記事)。
Aさんがパワハラの被害に遭ったのは、2020年9月から2022年4月までの約1年半。「死ね、殺されてえのか」「土下座だな」などの暴言を吐かれるだけではなく、殴打されて右肋骨(ろっこつ)を骨折するなどの傷害事件も発生していました。未払いの長時間残業も多くあり、同組合の調査によると、残業が月190時間におよぶ月もあったようです。
右肋骨を骨折したのは2021年8月10日、東京都による緊急事態宣言中の出来事でした。当時はアルコール販売自粛が要請されていたため、毎朝、注文用のタブレッ トの設定を変更して注文停止にする必要があったものの、担当のアルバイトがその作業を忘れました。そのため、客がアルコールを注文し、取り下げをお願いして謝罪する時間が発生し、伝票用紙をムダにしてしまいました。
当日の午後3時ごろ、店長はミスをしたアルバイトの管理はAさんの責任であるとして、ネクタイを引っ張って控室に連れて行き、Aさんを壁に押さえつけて右あばらを拳で一発殴りました。Aさんは 帰宅後に痛みが強くなり、翌日、病院を受診したところ右肋骨を骨折していたことが分かりました。Aさんは2日間の休みの後、痛み止めを服用して、サポーターを巻きながら出勤しています。
また、全身を打撲したのは2021年10月25日のこと。担当のアルバイトが宅配の端末のシステムの設定を誤り、Aさんが指導しました。午前11時ごろ、その指導方法が悪いとして、店長は冷蔵室で配送品の片付け中のAさんの左太腿(ふともも)を蹴り、バランスを崩してAさんは狭い冷蔵室で後ろに腰をぶつけ、倒れ込んだ拍子に棚に肩を強打してしまいました。Aさんはしばらく痛みで立てず、当日は足を引きずりながら勤務したといいます。翌日、病院を受診したところ、両肩、左太もも、腰の打撲傷であると診断されました。
Aさんは今回の労災保険の支給を受けて、「骨を折られたときは、これまでの人生で経験したことのない怖さでした。これからもこの店長と働かなければならないと考えると毎日が苦痛でした。今回、労災が認められて良かったです。素直にホッとしました。相談して良かったと思います。労災の被害にあった方には、1人で考え込まずに相談してほしいです。精神疾患の労災申請も予定しているので、こちらも認めてほしいと考えています」とコメント。
ジョナサン芝公園店での未払いの長時間残業などについては、すでに三田労働基準監督署がすかいらーくレストランツ(ジョナサン芝公園店)に労働基準法違反があったとして是正勧告を出しています(関連記事)。
サポートユニオンは現在、会社に慰謝料や未払い残業代を請求して、団体交渉中です。さらに、パワハラによる精神疾患の労災申請、店長による傷害・暴行について刑事告訴を予定しています。
なお、ジョナサン芝公園店における店長からAさんへのパワハラなど、詳細については記者会見のレポート記事をご確認ください。
【労災相談ホットライン】
- 労災相談ホットライン
- 日時:2022年8月 28 日(日)13時~17時
- 電話番号:0120-333-774(通話無料・相談無料・秘密厳守)
- 主催:労災ユニオン
※サポートユニオンの支部である「労災ユニオン」は今回の件を受けて、職場の暴力被害を含む労災相談ホットラインを実施します
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