「大学に行く勇気をもらえて感謝している」 “ラスト数回だけ出席した学生”が残した授業の感想がジンとくる(1/2 ページ)
こちらこそ、勇気をありがとう。
心がほっこりする日常の一場面を切り取ったツイートを、イラストともにご紹介する企画「すてきな実話」。今回は体調の悪い学生さんが、出席カードに残したとある感想が話題です。
「大学に行く勇気をもらえて感謝している」
某大学で動物解剖学を教えていた時、ラスト数回だけ出席した学生さんがいた。その子が最後の出席カードに書いてくれた「しんどくてなかなか大学に来れなかったけど、もっと早く講義を受けにくればよかった。面白かった。大学に行く勇気をもらえて感謝してる」という感想は、今でも私に勇気をくれる。
心が折れそうな時に「体の中にある凄い構造・凄い働き」がメンタルを支えてくれる気持ちはとてもわかる。まずは知ること。全てはそこからだと思う。
個人的には、体の構造を知ることで、時折怒る体調不良を「敵からの攻撃」ではなく「味方からの救難信号」に思えるようになったのもよかった。解剖学の知識がなくても日々の生活に特段の支障はないだろうけど、自分の体は生まれてから死ぬまで一生一緒にいる数少ない存在だから、きちんと知って、敬意と愛情をもって接していけるといいよねって思っています。その学生さんが今どうしているのかは知らないけど、楽しく笑っていてくれるといいな。
学問や科目を「役に立つ/立たない」と分類して議論するのをよく見るけど、人生は、「一見して役に立ちそうなもの」ばかりで構成されてるわけじゃないよねって思う一つのきっかけだったな。「なくても支障はないものに救われる日」もある。
(郡司芽久(キリン研究者)さんのツイートより)
今回のツイート主はキリン研究者の郡司芽久さん。ある大学で動物解剖学を教えていたとき、最後の数回だけ講義に出席してきた学生さんがいたとのこと。講義が終わり、出席カードを確認しているとそこには「なかなか大学に来ることが叶わなかったけれど、講義がとても面白かった。大学に行く勇気をもらえて感謝している」というメッセージが。このツイートに対し、Twitterでは「先生も生徒も素敵」「一人の人間同士だってことですね」といった反響が寄せられています。
郡司芽久さんは今回の件に対し、心が折れそうなときに体の中にある構造やすごい働きを講義で知ったことが学生さんのメンタルを支えてくれたのでは、と推測。また、「解剖学の知識がなくても生活に支障はないだろうけれど、自分の体はきちんと知って経緯と愛情を持って接していけるといいよね」とも語っています。
学問や科目を役に立つかどうかで判断されがちな昨今ですが、「なくても支障はないものに救われる日もある」と郡司芽久さんは語っています。確かに、何がどう助けになるかなんてなかなか分からないものですよね……。
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