ニュース

「地獄を味わってる」オーストリア発ロシア風パンクバンドが解散 軍事侵攻以降ネット攻撃止まず、「戦争と無知の犠牲者」と話題に

メンバーにはロシア人とウクライナ人も。

advertisement

 オーストリアのウィーンで2005年に結成されたスカ・パンク・バンド「Russkaja」が2月3日、FacebookとInstagramで解散を発表しました。「ロシアン・ターボ・ポルカ・メタル」と称し、ロシアの伝統的音楽を取り入れた同バンドのサウンドは、2022年2月から続く同国のウクライナ侵攻をきっかけにネットで攻撃を受けてきました。同バンドは一貫してロシア政府を批判する姿勢を貫いています。


真っ黒な画像が心情を表す(画像はRusskajaのInstagramから)

 同バンドのInstagramアカウントへは真っ黒な画像が投稿され、「ファンの皆さんへ。ついにRusskajaは解散を決めました」と発表。続けて「戦争が続いているため、ソ連のシンボルや言語を風刺的に使った私たちのイメージやスタイルは続けられなくなったのです」とその理由を明確につづっています。

 また、バンドの音楽について「かつては楽しかったけれど、今は苦しいだけのものになった」とコメント。バンドとしては常に平和を訴え、ライブでの第一声で「おい、モスクワ、このクソみたいな戦争をやめよう!」と叫んでいたにもかかわらず、歌詞の一部を抜き出してやり玉にあげられることも。誤解から新曲をリリースするたびにネット上では批判の声が殺到してしまい、自分たちの意思とは反対に「親ロシア」「ロシア人テロリスト」というレッテルを貼られたといいます。

advertisement

 そして「私たちはスタッフや関係者の身の安全を気遣っており、ツアーやライブで暴力的なことが起こるいかなる危険も冒さない」とこのまま音楽活動を続けていくことに身の危険も感じていたことも吐露。自分たちにとってバンドはただの“バンド”ではなく「自分たちの存在そのものだった」とし、この決断により「自分たちの子どもを葬り去るような地獄を味わっていることをご理解ください」とファンや関係者へ理解を求めています。


7人メンバーで構成されていた(画像はRusskajaのInstagramから)
時代とともにいろいろな意味が付与されてしまう

 同バンドのボーカルはモスクワ出身、ベーシストはウクライナ人でした。ウクライナ侵攻が始まった直後、「残念ながら現在のロシア政府はヨーロッパ最大の成果、“自由”を奪い去ってしまった。ロシアは戦争をはじめ、私たちはそれに抗議し“NO”と言う」とロシア政府を強く非難する声明を発表していました。「抜き出して紹介され誤解を受けた」とされる、「ロシア人が上陸した」などの歌詞は書き換えられることになりました。

ウクライナ侵攻を非難する声明を発表していた

 「メンバーの誰も、今の時代に戦争、死、犯罪、流血を連想させるものを表現したくない」と解散発表で述べていたRusskajaは同時に「お別れの贈り物」として7枚目となる新アルバム「TURBO POLKA PARTY」をリリース。YouTubeなどのコメント欄ではこの最後のアルバムに「ありがとう、あなたたちの未来に幸あれ」「もうひとつの戦争と無知の犠牲者、Russkaja安らかに」「最高のバンドだ。彼らが解散する理由はわかるけど、名前を変えて別の音楽を作り続けてほしい」などの言葉が並んでいますが、一部からは現在もなお「ロシア人は帰れ!」といった攻撃が続いています。

関連キーワード

ロシア | 解散 | ウクライナ | 戦争 | 音楽 | アルバム | 風刺

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  5. 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  6. 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  9. 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
  10. 父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】