「垂れたお尻」「ポルノ行き」“SNSでの悪口”や“裸姿”をドレスに刺繍、伊音楽祭が騒然 ディオール手掛ける(1/2 ページ)
視聴率は62.3%だったとのこと。
イタリアのサンレモ音楽祭(現地時間2月7日から11日に開催)に登場した、企業家でインフルエンサーのキアラ・フェラーニが着用したドレスが話題に。ディオールによって制作された4着のドレスは、SNSでキアラに向けられた悪口が刺繍(ししゅう)されたものや、裸体が描かれドレスが透けているように見えるものなど、衝撃的な作品ばかりとなっています。
1着目は、SNSでキアラに対して反感を持つ人々が書き込んだコメントを白のドレスに黒のパールで刺繍した「ヘイト・ドレス」。Instagramでは、ドレスを着ながら挑戦的に中指を立て不敵に笑った写真を公開。「彼女の見た目や身体、そして何よりも女性として、母親として彼女が自由に感じることへの批判」をそのまま着てステージに立つと述べられたドレスに刺繍されたのは、「吐きそう」「おっぱいも整形したらどう?」「じきにポルノ行き」など、開放的な彼女への身もふたもない批判コメントばかり。それらのコメントをスクリーンショットした画像や、後ろを向いたキアラのお尻部分へ「フォトショップじゃん。垂れたお尻がリアル」と受け取った悪口が適所に刺繍されている画像もシェアするという徹底ぶりです。
次に、“まさか!”とメディアや視聴者が騒然となった「恥知らずのドレス」は、女性の権利、女性身体をどのように扱い見せるかということを自分で決められない問題に対し一石を投じたという作品。
ベージュのチュールドレスに裸体のだまし絵を刺繍し、まるで透けるドレスが身体にピッタリ張り付いているかのようにバストトップや凹凸、筋肉のラインなどの細かな陰影もリアルに表現されています。歴史上はじめて恥を感じるように仕向けられたイヴを表現しているとしてキアラの着用画の2枚目にはルーカス・クラナッハの「アダムとイヴ」からイヴの絵を投稿し、「暴力と禁忌に苦しむ世界中の女性、自分の身体が恥である、欲望の対象でしかなく罪を誘うといわれている全ての女性たちの声を伝えたい」とその衝撃的なデザインに込められたメッセージを写真とともに投稿しました。
キアラはこのドレスを着用し、音楽祭の壇上で「ずっとこの先、あなたを誇りに思うと約束する。私がすることは全てあなたのため、私がかつてそうだった少女のためにするのです」とわが子へ向けた手紙を読む形でスピーチも披露しています。
3枚目となる「鳥かご」は女性が陥りやすいジェンダーの固定観念から新しい世代を解放するという意味が込められており、ラインストーンが刺繍されたジャージー素材のジャンプスーツの上にチュールを張ったパニエを着用。未来の女性である少女に託す希望であり母から娘への願いだというコンセプトであるため、キアラは娘のヴィットーリアと一緒におそろいで着こなしお披露目しました。
そして「マニフェスト・ドレス」と名付けられたドレスはブラックドレスに「Pensati libera(自由に考える)」と刺繍されたストールをまとうデザイン。女性が家父長制によって社会に課された役割から自由に踏み出しそうというメッセージが込められており、起業家であるキアラ自身も自分の成功に罪悪感を持たないと決めているといいます。
毎年イタリアの総合放送チャンネル「Rai 1」で放送されるサンレモ音楽祭。キアラが登場した第2夜は、ドレスがどのくらい貢献したかは不明ですが1000万人以上が視聴し、視聴率は62.3%だったとのことです。
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