オスカー俳優、「暴動を扇動」で仏政府が解散させた環境保護団体に“絶対的支持”表明 コメント欄は反対意見で大荒れ(1/2 ページ)
マリオン「本当の犯罪者は誰?」
「TAXi」シリーズへの出演や「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」(2007年)でのアカデミー主演女優賞受賞などで知られる仏俳優のマリオン・コティヤールが6月25日(現地時間)にInstagramを更新。政府によって解散させられた環境保護団体「Les Soulèvements de la Terre」への支持を表明しました。
仏政府報道官は6月21日、同団体が閣僚会議によって解散させられたと発表。理由について「このグループは思想によって解散させられたのではない」とし、活動形式や方法が問題視されたことを説明していました。またジェラルド・ダルマナン内務大臣はTwitterで、閣僚会議に提出された解散決議書を示し「この団体が呼びかけ、そそのかした特に多数の暴力行為については一切の正当性がない」とツイートしています。
これを受け、マリオンはInstagramに自身の顔写真と長文コメントを投稿し、団体への「絶対的な支持」を表明。「私たちの国で起こっていることは極めて深刻で、私たちは『本当の暴力はどこにあるのか?』『本当の犯罪者は誰なのか?』という問いを投げかける必要があります」と切り出しました。そして何か抗議デモが行われると、警察に荒々しいやり方で逮捕されたり、催涙ガスを使われたりといった、体制側からの暴力も存在していると指摘。「事態の緊急性に見合った政府の行動を求める人たちは、今日、“犯罪者”“エコテロリスト”などのレッテルを貼られているのです」と述べました。
一方で、大手の多国籍企業や銀行は化石燃料へ巨額の投資を続けており、その結果、地球の温暖化加速や世界中で災害を引き起こしているとし、こうした地球環境を危うくする行為は「より暴力的で深刻、犯罪的といえるのではないでしょうか?」と疑問を投げかけたマリオン。さらに今回の政府による決定を「脅し」と呼び、それを行使して「私たちを黙らせることはできない」として、「今日、私たちの国では自由が危ぶまれています。これは当然のことながら、人々の憤りを買うものです」と政府による団体の解散は自由を奪うものと危険性を訴えました。
同団体は先鋭的な抗議活動を繰り返しており、コンクリート工場の占拠やセメント工場への押し入り、土地の破壊などで企業側は多額の損害を受けるといった自体も起きていました。仏ドゥー=セーヴル県で3月35日に行われたデモでは警察とデモ隊の激しい衝突により、多数の負傷者が発生しこのデモのあと、28日にダルマナン内務大臣は同団体の解散の手続きを開始。同団体について内務大臣は、「暴動を呼びかけている」と非難しており、暴力を伴う抗議デモが何度も繰り返されているとしています。
解散手続きが開始されるきっかけとなったデモが行われた同時期、フランスでは年金の支給年齢引き上げに対する激しい抗議デモも始まっていました。抗議デモはもちろん認められている権利ではあるものの、一般の市民はデモが増えるほどに、交通機関の混乱、道路の封鎖、建物の破壊など一定のストレス下に置かれる状況になります。
マリオンの投稿ヘ、コメント欄では「『今日、私たちの国では自由が危ぶまれています』と言っていますが、あなたはどこの星に住んでいるんですか、マダム? 本当に自由を奪われている人たちのところへ行って言ってくださいよ」「まじめな話、あなたが支持してる人たちは全てを壊し、引き裂いて、台無しにしているんです。環境保護は大切だけど、やり方がある」「あなたは地球の環境を守ろうとしているみたいに言ってますけど、1年に私の一生分よりもたくさん飛行機に乗るのは誰? 私は今の政府に賛成しているわけじゃないけど、法と秩序を守ろうとする人たちを攻撃するのはいただけない」など多くはマリオンの主張に反対するものであふれました。
しかし中には、「ここのコメントを読むと、自分自身が聖人でなければ環境を気遣うことはできないようだ。だから世界は暗黒へ向かうんだ」と環境保護を訴える人物に資格を求めるようでは、世の中はより良い方へ進まないとする意見も散見されています。同じく先日俳優からの引退を発表したアデル・エネル、ノーベル文学賞受賞者のアニー・エルノー、映画監督で活動家のシリル・ディオンも同団体への支持を表明しています。
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