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「昔家にあったやつ!」 タイガーの「懐かしすぎる」炊飯ジャーに反響 食卓の「昭和レトロ柄」ヒットの裏側(1/2 ページ)

食卓にもレトロブームの波。

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 令和の今、日本を席巻しているレトロブーム。その波は調理家電や食器など、食卓にも押し寄せています。ねとらぼ編集部は、「昭和レトロ柄」を商品デザインに採用したメーカーに話を聞きました。

タイガーが復刻販売した花柄の炊飯ジャー

 「昔家にあったやつ!」「懐かしすぎる」「かわいい」――。6月下旬、調理家電大手・タイガー魔法瓶(以下、タイガー)が販売している炊飯ジャーのデザインが、Twitter上で話題を呼びました。丸々とした形のジャーには赤とオレンジのストライプが描かれ、「炊飯/保温」の2種類しかないボタンも、どことなく昭和な雰囲気を感じさせます。

タイガーが復刻販売したストライプ柄の炊飯ジャー

 タイガーは創立100周年を記念し、「レトロ柄復刻シリーズ」と題した調理家電などを6月21日からオンラインショップ限定で販売。炊飯ジャーやホットプレートといったアイテムのほか、昭和の時代にはなかった電気ケトルなど、全8商品がレトロ柄で販売されています。柄はストライプと、1970年代に流行した花柄(ポピー)が用意されました。

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 シリーズの展開理由について、タイガーの広報担当者は6月30日、ねとらぼ編集部の取材に「当社の歴史を語るうえで避けては通れない、1970年代~80年代にさまざまな商品群に広く展開され人気をいただいた『花柄』と『ストライプ柄』をぜひ復刻したい、という思いで企画をスタートさせました」と説明します。1970年代~80年代は、それまで魔法瓶や保温水筒を中心に販売していたタイガーが、炊飯ジャーや電気ポットなどの家電も手がけるメーカーに転換した節目の時期でした。

タイガーの「レトロ柄復刻シリーズ」

 今回のシリーズでは、主に最新の機能性を持った製品をレトロ柄にして販売する形が取られました。一方で、炊飯器だけは「最新式の炊飯器(液晶があるタイプ)だとこのレトロ柄がマッチしなかった」ことから、レトロな見た目に合わせた、保温と炊飯のみのシンプルな機能を採用したといいます。

 シリーズは4月に予約が始まると、2カ月で合計約3000件を受注。6月にTwitterで炊飯ジャーのデザインが話題になった際には、公式ページへのアクセスが通常の5倍以上に伸びるなど、大きな反響があったとしました。担当者は「今後もご購入いただいた方の感想を見て、興味を持っていただける方が増えれば」と伝えました。

「古くさいんじゃない?」上司の懸念乗り越え大ヒット「昭和レトロ」食器

 「昭和レトロ」を売りにした食器が大ヒットしたメーカーもあります。1819年創業のガラスメーカー・石塚硝子は、2018年11月から、レトロな柄を採用したガラス食器シリーズ「アデリアレトロ」を製造しています。

石塚硝子のブランド「アデリアレトロ」

 「アデリアレトロ」は、同社が手がけるガラス食器ブランド「アデリア」のうち、昭和の頃に生産されていたデザインを復刻したシリーズです。「野ばな」「アリス」といった花柄から、動物園の動物を描いた「ズーメイト」など個性的な柄も含め、全部で15種類のデザインを展開しています。現在はコップやグラス、デザートカップなどが販売されています。

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アデリアレトロの15種類の柄(アデリアレトロブランドサイトより)

 石塚硝子の広報担当者によると、商品化のきっかけはある若手社員たちの気付きでした。2018年、20代の女性社員がSNSを見ていると、約40年前に廃番となった当時のアデリア製品が、Instagramでコアなファンに共有され、盛り上がっているのを発見。ここから、当時のデザインを復刻したグラスを販売しようと、若手社員たちは発案します。

 ブランド特設サイトの「開発秘話」によると、初めの企画会議では上司から「古くさいんじゃない?」などと言われ、一度は提案を却下されたといいます。それでも、社員が地道な市場調査を重ねて再提案した結果、テスト販売が認められます。しかし、当時のデザイン画が社内に残っていなかったことから、SNSで「再会チャレンジ」と称したヴィンテージグラス収集を実施。フォロワーから借りたグラスのデザインを模写して、販売に至りました。

 その結果、2018年11月から2023年6月の期間で累計136万個を売り上げる大ヒットを記録。広報担当者は「この価格帯(中心価格帯800円~1500円)のガラス食器では異例のヒットといえる数量です。今までは、1シリーズで年間10万個も売れればそこそこヒットした、という感覚でしたので、その勢いに驚いています」と振り返ります。

人気ダントツ柄の「野ばな」

 現在展開されている15種類の柄のうち最も人気なのは「野ばな」で、販売数は「ダントツ」だといいます。広報担当者はアデリアレトロファンとのファンミーティングの開催や、ブランドライセンスによるガラス以外のコラボ商品の開発などを行うことで、今後もブランドを強化していきたいとし、「近年レトロブームと言われさまざまなメディアに取り上げられていますが、一過性のものではなく一つのジャンルとして継続していくカルチャーとして確立していきたいと考えております」と伝えました。

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