約3000冊の“本の集合体” Podcast人気番組「奇奇怪怪」、ポップアップ「圧と密」が異様な空気を代官山蔦屋書店で放っていることについて
こんな光景、本屋で見たことないぞ。
HIP HOPグループ「Dos Monos」のラッパーTaiTanさんと4人組バンド「MONO NO AWARE」のボーカル玉置周啓さんによるPodcast番組「奇奇怪怪」の書籍『奇奇怪怪』(石原書房)が8月17日に発売。同日から、刊行記念ポップアップが代官山蔦屋書店で開催されています。
「奇奇怪怪明解事典」として2020年5月に開始した「奇奇怪怪」は、Spotifyで独占配信されているPodcast番組。TaiTanさんと玉置さんが、さまざまなカルチャーや社会現象の謎を忖度なしに掘り下げる雑談が人気で、2021年3月には「JAPAN PODCAST AWARDS 2020」Spotify NEXT クリエイター賞を受賞。2022年1月には、500ページ超、本文三段組、函入りというまさに“事典”のようなデザインの初書籍『奇奇怪怪明解事典』を発売し、版元である国書刊行会史上最高の予約数を記録した他、同年秋からTBSラジオ「脳盗」がレギュラー放送されました。
番組名を「奇奇怪怪」へと改めてから発売された第2弾の書籍『奇奇怪怪』は、“少年ジャンプ”的な漫画雑誌風のデザインに。巻末解説には、ギャグ漫画家の藤岡拓太郎さんによる短編漫画も収録されています。「「圧と密」Supported by JOHNNIE WALKERと題したポップアップでは、代官山蔦屋書店1号館の1階ブックフロアに約3000冊もの本が幾重にも積み重ねられた巨大な展示がされており、巨大モニュメントのような本の集合体に、リスナーのみならず、書店に訪れたさまざまな客層をも取り込もうという異様な空気感を放っています。
なお、購入者が売り場の本を取り出すたびに、展示内の隠しコンテンツが次第に現れるしかけも用意されています。
TaiTanさんへインタビュー
――番組2冊目となる書籍が発売されました。1冊目の辞典風の装いから一新されましたが、今作『奇奇怪怪』のコンセプトを教えてください。
TaiTan “百科事典から漫画雑誌へ”です。前作の『奇奇怪怪明解事典』は、事典風の装丁で重厚な書籍を目指したのですが、今作は、番組の中身が大きく砕けてきたので、方針を変えて、漫画雑誌の軽やかさを目指しました。判型からデザインから、紙質までこだわり抜いているので、ぜひ実際に手に取って読んでもらえたらうれしいです。
また、漫画雑誌風という装丁でいくと決めてから、誌面に実際の広告を入れたいと思っていました。コミュニティー内のリスナー個人や企業、ブランドから広告を公募した結果、10社以上から集まりました。そのおかげで、制作費の工面ももちろんしやすくなったし、お金の面だけではなく、さまざまな広告が漫画雑誌という企画を強固にしてくれたので、とてもポジティブな効果がありました。事前に制作費を補填(ほてん)するものづくりのやり方としてクラウドファンディングなどがあると思いますが、今回の僕らの企画はクリエイティブ物に直接寄与する形で実施できたので、そこが新しい本のつくりかたとしてユニークでしたし、変なノイズが制作過程に発生しなくて健康的でした。
――書籍に収録されている中で、TaiTanさんが好きな回はなんですか?
TaiTan 『プロ野球経営全史』について話している回です。
――2022年に開催された初の展示会「品品(ピンピン)」でも、大量の段ボールが詰まれた今までにないような展示方法でした。今回のポップアップ「圧と密」Supported by JOHNNIE WALKERはどういったテーマで、参考にした表現はありましたか?
TaiTan 代官山蔦屋さんから、何か一緒にやらないかとお声がけいただき、その一環で思い付いた企画でした。今回の本を刊行するにあたり、どうやって宣伝しようかと思いあぐねていたのですが、本って究極的には、本自体やその表紙が広告になるはずだよなと思い至りまして。つまり、本は1冊だけではただの商品ですが、それが2、3、4、5冊……と積み重なっていくと、次第に本が商品だけではなく、マテリアルとして一つの物体をなすようになる≒本が本自体の広告をしだすフェーズに入るなと思ったのです。だとしたら、書店に納品できる限界まで本を卸して、それをそのまま展示作品化してしまうのがいいのでは、と考えました。その結果、できたのが「圧と密」Supported by JOHNNIE WALKERです。3000冊もの本を一カ所に積み上げて、書店では絶対見たことのない規模の本の山をつくりました。まるで書店の中に建立されたモノリスのような、そんな完成をイメージしました。
結果、発売後に売り場を観察していると、僕らのことなど知る由もないような方が興味を持って写真を撮ってくれたり本を買ってくれたりしていて、とても効果的だったなと思っています。さらに、本を1冊ずつ取っていくと、隠しコマンドが次第に明らかになる構造にもなっており、購入するのが楽しいとみんなに思ってもらえるしかけにもこだわりました。
――そうした物作りに際して、TaiTanさんは「こういう表現がしたい」ものを形にするとき、どういう手法で周囲と思考を共有しますか?
TaiTan めちゃくちゃ言葉で考えますし、伝達することが多いです。なので、よくうるせーなと思われています。
――さまざまなフェーズを経ている「奇奇怪怪」ですが、今後やってみたいこと、または既に構想が決まっているものがありましたら教えてください。
TaiTan 玉置くんはただの友達なので、友達と一緒にいろいろなメディアを駆使して、軽やかにふざけれたらきっと面白いだろうなと思うので、そういう生き方がしたいです。
『奇奇怪怪』(石原書房)
ラッパーのTaiTan(Dos Monos)、音楽家の玉置周啓(MONO NO AWARE / MIZ)の二人が、映画・音楽・小説・漫画などのコンテンツから、生活の中で遭遇する違和感とワンダーの裏に潜む経済の謎まで縦横無尽に語り尽くす、Spotify Podcastチャートで最高順位第1位を記録した、人気ポッドキャスト番組『奇奇怪怪』。
2022年にポッドキャスト番組としては異例の500ページ越え・本文三段組み・函入りという造本で書籍化され大反響を呼び(国書刊行会より刊行)、版元史上最高予約数を記録。同年秋にはアニメ化やTBSラジオでレギュラー番組『脳盗』が開始されるなど、領域を超えて広がりをみせる同番組が満を持して刊行する書籍版第弐集。
前作の百科事典的装いから漫画雑誌的デザインへと変貌を遂げ、書き下ろし序文、語り下ろし跋文、そして巻末解説にギャグ漫画家・藤岡拓太郎氏の短編漫画を併録!文化と経済の森羅万象を「強引に面白がる」ための言葉と思考の実弾が詰まった異形の対話篇。(以上、Yahoo!ショッピングより引用)
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