ニュース

米セレブ300人が“AIフェイク規制”法案を支持 1月にはテイラー・スウィフトの偽ポルノで騒然「ディープフェイクから人権を守る」(1/2 ページ)

カーディ・Bやスティーヴン・タイラーも。

advertisement

 2月2日付の米USA Today紙への広告に、300人近いアーティストや俳優が署名した公開書簡が掲載。これは1月10日に下院へ提出された、“AI偽造禁止法(No AI FRAUD Act)”を支持するものです。


署名したアーティストら(画像はThe Human Artistry CampaignのInstagramから)

“AI偽造禁止法”を支持する声

 “AI偽造禁止法”は、フェイクの声やアーティストの外観などを同意なくAI生成することを規制する法案。

 エンターテインメント業界の連合体でありAI使用に対する基本原則を示す団体「The Human Artistry Campaign」によって掲載された公開書簡には、21サヴェージ、カーディ・B、オフセット、ベット・ミドラー、スティーヴン・タイラー、ミッシー・エリオット、エルヴィス・コステロ、コモン、アリッサ・ミラノ、ボーイズIIメン、パリス・ジャクソンら、ミュージシャンを中心とした第一線で活躍するアーティストの名前がずらりと並びます。

advertisement

 さらに米USA Today紙の広告へはブラッドリー・クーパー、ケヴィン・ベーコン、キーファー・サザーランドら俳優の名前も多数見られました。そして「あなたの声、顔、イメージ、アイデンティティー」「No AI FRAUD Actはあなたの声や外見の基本的人権を守り、合意のないディープフェイクから全ての人を守ります」というメッセージも掲載され、法案が全ての人に必要なものであることを訴えています。

 現在アメリカでは「パブリシティー権」によって無許可でアーティストらの声やイメージを商業利用しないよう規制されていますが、これは州法であり連邦法ではないため、連邦レベルでの基準が求められています。


1月にAIによる偽ポルノ動画が拡散されたテイラー・スウィフト(画像はテイラー・スウィフトのInstagramから)

これまでもさまざまな議論を呼んだAI利用

 AIの出現から、エンターテインメント業界ではそれがアーティストにとって助けとなるのか脅威となるのかといった議論は常に行われてきました。

 有名音楽プロデューサーで人気DJのデヴィッド・ゲッタら、表立ってAIを利用し本人に似せた声などを積極的に作っていく人もいれば、AIの悪用やアーティストが仕事を奪われる未来を案じる人も。2023年にハリウッドで起こった脚本家と俳優による大規模なストライキでは、AIの利用に対する規制は大きなテーマとなっていました。

 2023年4月に、カナダのラッパーであるドレイクとシンガー・ソングライターのザ・ウィークエンドによる“コラボ曲”「Heart on my sleeve」がリリースされたことでこの議論はさらに加熱することに。同楽曲にはアーティスト本人は一切かかわっておらず、「ghostwriter」と自称する人物が無許可でAIを使って制作したものでした。

advertisement

 また、2024年1月下旬にはAIで制作されたテイラー・スウィフトの偽ポルノ動画がSNSで拡散。X(Twitter)で瞬く間に広まった後、一時的に検索不可にするなどといった措置が取られたものの、動画はすでに4700万回閲覧される状況に。当然ながら全てのSNSでの拡散を完全に制御することも、保存された画像や動画を回収することも不可能な状態でした。

 この出来事はホワイトハウスでも重く受け止められ、カリーヌ・ジャン=ピエール大統領報道官は「もちろん議会は何らかの立法措置を取るべきだ」とコメント。こういった、アーティストの著作権や肖像権、またいち個人としての尊厳を傷つける事件までが起こり、多くの人が憂慮した未来が現実になってしまったことで、早急な対策を求められています。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  5. 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  6. 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  7. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  9. 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  10. 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」