野鳥の夫妻がジェスチャーで会話する姿に「コミュ力すごい」「感動」「可愛すぎる…」 日本人学者の世界初の発見が話題(1/2 ページ)
今後の研究にも期待が膨らみます……!
身近な小鳥のシジュウカラが翼でジェスチャーをすることを、日本の動物言語学者が世界で初めて発見し、その様子を捉えた動画がX(Twitter)で話題に。「素晴らしい」「ワクワクする」「よくこの行動は見ますが、そういう意味だったのか!」など驚く声が上がり、記事執筆時点で88万件以上表示されています。
日本の研究グループが世界で初めて発見
東京大学の先端科学技術研究センター鈴木俊貴准教授と杉田典正特任研究員による研究グループが発見したのは、シジュウカラが翼の動きによって「お先にどうぞ」という特定のメッセージを伝えていること。一夫一妻のシジュウカラは、オス・メスで協力してヒナに餌を運ぶ際、入り口が狭い巣に入る順番を決めるためにジェスチャーを使っていることが明らかになりました。
鈴木さんのX(Twitter:@toshitaka_szk)では、シジュウカラの実際の動画も投稿され、「翼をパタパタとふるわせる動き」によって相手(受け手)に「お先にどうぞ」と伝える姿を見ることができます。
研究は2023年5月~6月、長野県北佐久郡の森に巣箱を仕掛け、それを利用して繁殖したシジュウカラのつがい8組を対象に観察を行いました。その結果、オス・メスが餌やりのために同時に巣箱の近くにやってきた場合に、そのうちの1羽が翼を小刻みに前後にふるわせると、もう1羽が先に巣箱に入ることが確認されました。
ジェスチャーを行うのは“ほとんどの場合がメス”という興味深い結果も
また翼をふるわせるのは、ほとんどの場合がメスだという面白い結果も出ています。なお、親鳥が単独で餌やりに来た場合は上記のジェスチャーは一度も見られなかったとのこと。
これまでジェスチャーは人間や類人猿などの限られた動物でしか見つかっていなかったとして、鳥が翼でジェスチャーすることは世界初の発見だとしています。
「ジェスチャーの進化をひもとくヒントになるかもしれません」
シジュウカラの言葉を解明したことで知られる動物言語学者の鈴木さんは、今回の発見から「人類と同様、鳥類も2本の脚で立つので、その間、翼(腕に相当)は自由です。ジェスチャーの進化をひもとくヒントになるかもしれません」とコメント。動物のジェスチャーのさらなる研究によって、人類の言語の起源や進化、また動物たちの思考・会話の内容の深い理解などにつながることが期待されます。
Xではユーザーから「面白い…! 巣箱の動画などを見ていて、確かにバッティングしないのが不思議でした」「何度か見た事あった。雛でもないのに、エサでもねだっているのかな? と思ったらなるほどそういう事」などの声が寄せられた他、「餌をくわえてると、声でコミュニケーションすると落としちゃうから、翼で『ジェスチャー』するようになったのかしら」なんて声も上がっています。
今回の論文「The ‘after you’ gesture in a bird(鳥の“お先にどうぞ”のジェスチャー)」は、学術雑誌「カレントバイオロジー(Current Biology)」のサイトに掲載されています。
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