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「わんだふるぷりきゅあ!」“肉弾戦なし”でも売上好調 新変身アイテムは「キッズコスメ」で展開サラリーマン、プリキュアを語る(2/2 ページ)

わんぷりの「肉弾戦を描かない作風」は、売り上げに影響があったのでしょうか?

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「キュアニャミー」「キュアリリアン」の変身アイテムはキッズコスメ

 さらに、わんぷり玩具のチャレンジングな姿勢は続きます。

 この先、「キュアニャミー」「キュアリリアン」が仲間になるのですが、その変身アイテム「シャイニーキャッツパクト」が「Pretty Holic(プリティホリック)」で展開されました(※プリティホリックは2021年から展開しているプリキュアの新ブランドで、最初は「キッズコスメ」が発売され大好評を博し、以降シリーズの更新とともに「お菓子」や「ステーショナリー」にも幅を広げて展開しています)。

 つまりシリーズ初の「キッズコスメ」が変身アイテムとなったのです。

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キッズコスメでの展開となる変身アイテム「Pretty Holicシャイニーキャッツパクト」(出典:Amazon.co.jp

 変身アイテムを電子玩具ではなく「キッズコスメ」として販売する、という思い切った戦略は、これまでの変身玩具とは異なる2つの注目点があります。

 一つは「光らない、音が鳴らない」変身アイテムとなること、もう一つは「対象年齢が6歳以上」となることです。

光らない、音が鳴らない変身アイテム

 これまでのプリキュアの「変身アイテム玩具」は、光や音で変身シーンの掛け声や音楽が入り、子どもたちへ変身への導入を促していました。しかし今回の「シャイニーキャッツパクト」は光りませんし、音もなりません。

 代わりに実際にアイカラー&チーク、リップでお化粧遊びができます。キュアニャミーの変身シーンもこのコスメを使用した変身となっていて、これは子どもたちの「なりきり遊び」を大きく変えてしまう可能性があります。


実際のお化粧品(アイカラー&チーク、リップ)として使用できます(出典:Amazon.co.jp

 また、電子玩具ではないことによりコストも下がり、先行の「ワンダフルパクト」の4730円よりも安価な定価3355円(※玩具量販店での実売価格は3000円前後)とプリキュアの変身アイテムとしてはかなり安価な部類となることも特徴の一つです。

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シャイニーキャッツパクトの対象年齢は6歳以上

 ただ、プリティホリックはキッズコスメという性質上、対象年齢が「6歳以上」となっています。そのためプリキュアのメインターゲットである3~5歳の幼稚園児、保育園児は、この「シャイニーキャッツパクト」で遊ぶことができないのです。

 「ネコをモチーフとしたお姉さんプリキュア」は、おそらく幼稚園児、保育園児にも絶大な人気が出ることが予測されます。

 そんなプリキュアの変身アイテムを「5歳以下の子どもが遊べない」という仕様にしたことは大きなチャレンジになるものと思われます(しかし、同時発売のキュアニャミー、リリアンの武器おもちゃ「アミティーリボンタンバリン」は対象年齢3歳以上なので、3~5歳の幼稚園児はこちらのタンバリン玩具、小学生にはシャイニーキャッツパクト、というすみ分けがされるようです。タンバリンの方にはキャラの変身音声が収録されています)。


シャイニーキャッツパクトは「対象年齢6歳以上」

 


ニャミー、リリアンの武器アイテム「アミティーリボンタンバリン」は対象年齢3歳以上です(出典:Amazon.co.jp

プリキュアを見ているが玩具を買わない小学生に向けて

 かつて、キッズコスメ「プリティホリック」が発売されるときに、バンダイの関係者は「6~9歳はプリキュアのアニメは見ているけど、玩具を購入していない層」と分析され、プリティホリック(キッズコスメ)はその層に向けた戦略商品として展開していく、と語っています。

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キッズコスメ商品のメインターゲットは6歳以上。小林氏は「6~9歳のプリキュア視聴層は多いものの、玩具購入となるとそのほとんどが3~5歳。6~9歳は番組を見ているけど、玩具をほとんど購入していないのでそうした層にアピールしていきたい」と語る。
『月刊トイジャーナル 2021年2月号』(東京玩具人形協同協会)P9

 キッズコスメの変身おもちゃ「シャイニーキャッツパクト」も、そんな小学生をプリキュアに取り込む戦略商品となっていくものと思われます。

 幼稚園児にはキュアワンダフル、フレンディの「ワンダフルパクト」で遊んでもらい、小学生には、キュアニャミー、リリアンの「シャイニーキャッツパクト」でお化粧ごっこをして遊んでもらう。そんな変身アイテム2本柱での商品展開によりプリキュアのターゲット層を広げていく戦略なのかもしれませんね。


「キュアリリアン」は一体誰が変身するのでしょうか?

「戦わないプリキュア」は売上に影響せず

 わんぷりの「戦わないプリキュア」という作風は玩具、関連商品の売上には影響せず、むしろキャラクター商品の売上は好調に推移していることが分かりました。

 初夏の主力商品となる新プリキュア「キュアニャミー」「キュアリリアン」の変身おもちゃ「シャイニーキャッツパクト」をキッズコスメで展開する、という新しい挑戦がどんな影響をもたらすのか楽しみですね。

 プリキュアは常に、新しいことにチャレンジし続けています。

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 大きなお友達としては、早く4人目「キュアリリアン」の変身シーンも見たいですよね。キュアリリアン、一体誰が変身するのでしょうか?

(C)ABC-A・東映アニメーション

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