ニコニコの復旧、1カ月以上かかる見込み 開発チームが自発的に3日で作った縮小版「ニコニコ動画(Re:仮)」を公開(1/2 ページ)
ニコニコ動画などを運営するドワンゴは6月14日、サイバー攻撃によりサービスを停止している件について、復旧まで1カ月以上かかる見込みと発表しました。
6月8日未明からニコニコ動画などニコニコサービスや親会社のKADOKAWAのWebサイトなどが停止しており、原因は大規模なサイバー攻撃と発表されています。
被害状況
原因は、KADOKAWAグループ企業が提供するデータセンターがランサムウェアを含むサイバー攻撃を受けたこと。相当数の仮想マシンが暗号化されて利用不能になり、「ニコニコ」などWebサービスのシステムが停止したといいます。
発覚後も攻撃が繰り返し行われたため、サーバーの電源ケーブルや通信ケーブルを物理的に抜線し封鎖したことから、グループ企業が提供するデータセンターに設置されているサーバーはすべて使用不可となったとドワンゴは説明しています。さらなる感染拡大を防ぐため、社員の歌舞伎座オフィスへの出社を原則禁止とし、社内ネットワーク、社内業務システムも停止しているとのこと。
ニコニコ動画のシステム、投稿された動画データ、動画の映像配信システムは、パブリッククラウドサービスで運用されていたため被害は受けていない報告。
個人情報・クレジットカード情報などの漏えいは現時点では確認されていないものの、引き続き調査を進めるとしています。
KADOKAWAでは国内における紙書籍の受注システム、デジタル製造工場・物流システムの機能を停止しており、このため受注停止、生産量の減少と物流の遅延に伴い、出荷数量が減少しているといいます。また運営するオンラインショップで商品の受注不能や出荷の一部遅延が発生しているほか、経理システムへの影響で一部の取引先への支払いに遅延が生じる可能性があるとのこと。
復旧見込み
復旧には、封鎖したサーバーの中身を1つずつ確認して、無事なデータを救出し、救出したデータを使って安全な環境下でニコニコ動画とニコニコ生放送のシステムを再構築するといった作業を要するため、1カ月以上かかる見込みとドワンゴは説明。再開できるサービスから順次再開していく予定としています。
KADOKAWAでは、事業活動の根幹である経理機能の立て直しと、売上規模が大きい出版事業の製造・物流機能の正常化を最優先の取り組み事項とし、6月末をめどに、安全なネットワーク、サーバ環境の構築と基幹システムの復旧を目指すとしています。
ニコニコではサービス停止中の措置として、新バージョン「ニコニコ動画(Re:仮)」(にこにこどうが りかり)を公開。開発チームが自発的に3日で作り上げたもので、「ニコニコ」のサービス最初期(2006年)と同じ、動画視聴やコメントといった基本的な機能のみを備えた動画コミュニティサイトとなっています。現時点では主に2007年の人気動画を中心に一部の動画が視聴できるとのこと。
補償
7月末まで、ニコニコ生放送・ニコニコチャンネルを利用した、ニコニコ公式の生放送番組・チャンネル生放送番組を中止に。番組中止とサービス停止に伴って、プレミアム会員・ニコニコチャンネル有料会員の月額会費、N予備校の月額会員料、チャンネル運営者への収益分配、クリエイター奨励金の分配に関して補償を予定しているといいます。
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