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「鳥肌たった」「これこそアート」 SNSで約13万いいねを集めた1枚のイラスト、衝撃の種明かしに反響 作者に制作経緯を聞いた(2/4 ページ)

真相を知るとハッとする。

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発想の源となったのは「絵を描き続けることに対してのつらさ」

――「描けなくなった画家」の絵だと思いきや、実は「AIの絵を前にした画家の絵」でもあることに驚きました! このアイデアのきっかけや、制作の経緯を教えてください

らいすさん: 実はもともと「描けなくなった画家」のアイデアだけが思い浮かんでおり、AI技術を使う予定は全くありませんでした。

 「絵を好きで描いているのに、その好きなものが原因で心を病んでいく」という“絵を描き続けることへのつらさ”というのは昔も今もずっと抱えている気持ちの1つで、あの絵はそんな自分の感情から構成されたものでした。「前から描きたいな」と思っていた作品でしたが、コンセプトは思いつきつつも自分の中でまだ形があいまいで、作品にはできずにいました。

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 それからしばらくして画像生成AIが世間で話題になり、せっかくならこのAIを使って作品を作りたいな、と構想を練り始めました。そこで何となく、日々何か思いつく度にかきためている絵のネタ帳をあさっていると、「描けなくなった画家」の案が飛び込んできて「これだ!」と。「描けなくなった画家」の絵だと思いきや「AIの絵を前にした画家の絵」という作品を思いついたんです。

意外性のあるAIイラストの使い方で話題になった作品

――さまざまな解釈ができるイラストですが、一番伝えたかった思いやコンセプトについて教えてください。また、これからのAIイラスト技術について思うことがあれば語っていただけますか?

らいすさん: 前述の通り、好きだからこそ苦しめられる、そんなさまを描いた作品ではあります。一方で、当時は高クオリティーなイラストを出力するAIが出たばかりのころで「絵の仕事はAIに奪われてしまうのではないか」という意見もあり、AI技術そのものを非難する声が多数見受けられました。

 そこで、「どんなに技術が発達しても、人の心を打つために作品を作り続ける人たちがいることに変わりはない」というコンセプトを込めて、自分がこれまで培ってきた絵の技術とAI技術の両方を駆使し、作品を制作しました。

 AI技術そのものに対しては目をみはるものがあり、今後も発展を続けてほしい素晴らしい技術だな、という考えは昔も今も変わりません。ただ、AIの多大な量の学習が必要な性質上、学習元になっている作品が無断で使用されていたり、誰でもAIに簡単に学習させ出力ができる環境になってきたりと、収拾がついていない状況が現状だと思っています。

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 こういう状況下なのでAIイラストを非難している方は多く、今自分の作品にAIを取り入れるメリットを正直感じていないので、あれ以降はAI技術を使用した作品は制作していません。ただ、自分はAI技術そのものは素晴らしいと思っているので、難しい課題ではありますが、いつか共存できる未来が来ると良いなと感じています。

――投稿がバズった際の心境について教えてください。リプライで寄せられた反応で、印象に残っているものはありますか?

らいすさん: ここまで語ってきてなんですが、実はあの絵は1日で描いた落書きなんです(笑)。コンセプトこそしっかりと練りましたが「熱があるうちに作ろう!」と思いついたその日に描いてその日に出し、突然その落書きが伸び始めたものですから「なになになに!?」と、驚きと困惑でいっぱいでした。正直あの作品が伸びるとは全然思っていなかったので……。

 そんな中「心に刺さった」「共感した」などのリプライがたくさん寄せられて、自分の考えがいろんな人に届いたんだな、といううれしさもありました。でもAIを使った自分だけの技術ではないイラストで、そして落書きだったというのもあり「ああ、自身の作品に対する思いは評価されたけど、絵そのものは評価されてはいないな」という悔しさも強く感じました。

 だからこそ僕は今あの作品のことは正直嫌いですが、いつか自分の実力で、自分の技術を使ってあの作品の評価を超えてやるんだ、という1つの目標ができました。そういう意味では感謝しています。

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――現在も日々イラストを発表されていますが、最近のお気に入り作品や反響が大きかった作品を教えてください。

らいすさん: 最近は商業イラストに専念していることもあり、自身の作品を多くは出すことができていないため、お仕事で制作したものになるのですが、芥田レンリさんという方の楽曲「レンズフレア」のMVで、人生で初めて2Dアニメーションを制作したのが新しく記憶に残っています。

 まさか人生初の2Dアニメーションへの挑戦がお仕事になるとは思っておらず、不安だらけでしたが、芥田レンリさんの素晴らしい楽曲に感化され描き切ることができました。実際に、「レンズフレア」という楽曲は「ボカコレ」という音楽のイベントで上位ランクインするという成果を収めました。ぜひ、いろいろな方にお聴きいただきたい楽曲です。

らいすさんがMVを手掛けた楽曲「レンズフレア」

 最後に、アートの形は変化し続けています。それはきっと「アート」という文化が誕生してから、今までずっと。これからもきっとそうでしょう。変わらないものに感じる美しさもありますが、常に変わり続けていくアートの世界で、僕はクリエイターの1人として変化を恐れず精いっぱい向き合っていきたいと思います。

らいすさんの活動

 らいすさんは現在フリーランスのイラストレーターとして活動しており、Xのほか公式サイトpixivでも作品を見ることができます。

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作品提供:らいす(@rice01200120)さん

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