「無慈悲な質問」飛ぶも盛り上がりは控えめ 2回目のネット党首討論、ニコニコに期待するもの

前回より注目度が下がったネット党首討論。視聴者からの質問は切れ味抜群だったが、ニコニコの持ち味が封印されているようにも感じる。

» 2013年07月02日 15時36分 公開
[高橋史彦,ねとらぼ]

 6月28日、東京・六本木のニコファーレでniconico主催の「ネット党首討論会」が開催された。安倍晋三首相(自民党総裁)や民主党の海江田万里代表ら与野党8党の党首が出席し、ネット視聴者からの質問を基に討論を行った。

画像

注目度下がる

 ネット党首討論会は昨年11月に続く2回目。事前の告知が少なかったこともあってか、前回は視聴者数約140万人・投稿コメント数55万件だったの対し、今回はそれぞれ約10万人・38万件と大幅に下回り、視聴者によるミラー配信も減少した。前回不参加だった日本維新の会は、橋下徹代表が当初出席予定だったが、直前になって公務のため欠席した。


画像画像 当日の番組欄。裏では、山井投手(中日)がノーヒットノーランを達成し盛り上がっていた。ミラー配信も少なめ。前回は50件以上あった

画像 日本維新の会・橋下代表のコメントを司会者が代読。「結婚式」を連想する人多数

自民・共産の人気が高い

 討論は、あらかじめ視聴者から募集した「経済政策について」「外交について」「各党首に聞きたい事、言いたい事」のテーマで進行。質問内容の選択には、ニコニコ生放送のアンケート機能が活用された。各党首が議論する機会は前回より増えていたが、1度の発言時間は1分〜1分30秒と短く、各党や代表個人によるイメージが強調される結果となった。

 視聴者コメントでは「安倍総理支持します!」「Cさん(共産党・志位和夫委員長のこと)!」など自民党と共産党の注目度が高かった。また、生活の党・小沢一郎代表に対しては「久しぶり」「元気がなさそう」と心配する声が少なくなかった。

画像 支持コメントの多かった安倍首相
画像 「Cさん」大人気

切れ味抜群の視聴者質問

 興味深かったポイントは、各党代表に対する視聴者からの指名質問。アンケートで選択された内容は、いずれも切れ味抜群だった。例えば、社会民主党・福島みずほ党首に向けられた質問は「党員が数人しかいない社民党ですが、なぜ議員の数を増やさないのでしょうか? あまり少ない人数では、政権を握ることもできないので、国を変えられないと思うのですが」。これには「無慈悲な質問」とするコメントもあったが、福島党首は「国会議員をとにかく増やしたいと思っています。増やしたくて増やしたくてたまりませんので、参議院選挙で本当によろしくお願いします」と率直に応答。忌憚なき意見のやりとりにはネットならではの可能性を感じさせられた。

画像 社民党への質問。「wwwwww」だらけ
画像 児ポ法改正案では自民党にも批判コメント

 また、討論会終盤に児童ポルノ禁止法改正案の是非について各代表に問われると、コメントの雰囲気が一変。改正案に前向きな自民党・公明党には厳しい声が寄せられ、反対した他6党はいずれも高い支持を得ていた。

niconico武器を封印

 しかし、こうした視聴者からのコメントが会場に流れたシーンは最初と最後だけのごくわずかな時間だった。通常のニコニコ生放送では、出演者はコメント閲覧モニターなどを通じて“空気を読みながら”進めることができる。コメントというフィードバックがあることが、従来のテレビ中継にはないniconicoの持ち味だが、2回目となる討論会でも本領は伏せられたままだった。


画像画像

 近年、視聴者の声を“抑制力”として機能させながら議論することは民主主義において極めて重要であるといった言説が注目されており、昨年の内閣府ではニコニコ生放送とTwitterのコメントを流しながら行う議論も実施された。今春には、みんなの党が参院選候補者の選考模様を中継するなど、新しい試みも増えてきている。

 今夏の参院選(7月4日公示・21日投開票)から、インターネットによる選挙運動が解禁される。政治とネットの関係が深化するなか、niconicoが担う役割も大きくなってくるはずだ。その時、自ら武器を封じることなく、持ち味を生かし続けてくれるよう期待したい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」