ニコ生とTwitterが流れる会場で議論 「新仕分け」で初の試み、「民主主義2.0」実現か!?

ネットの“空気”を感じながらの議論は「新仕分け」にどんな影響を与えるのか――。

» 2012年11月16日 18時58分 公開
[高橋史彦,ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 政府の行政刷新会議は11月16日、東日本大震災の復興予算などを検証する「新仕分け」を開始した。仕分けはこれまでもネット中継されてきたが、今回は初の試みとして、会場内にニコニコ生放送(ニコ生)とTwitterのタイムラインが流れる仕組みを導入。メインテーブル内に設置した4台のディスプレイに視聴者の声がリアルタイムで反映されるなか、議論が行われた。意見は内閣府共通意見等登録システムからも受け付けている。

 ニコ生のコメントとハッシュタグ「#shiwake」のツイートが会場ディスプレイに逐一表示され、そこに流れた疑問や意見の一部はコーディネーターから直接担当者に質問がなされた。また、ニコ生で実施したアンケートを議論の参考にするなど、これまでにない開かれた空間となった。

画像 ニコ生とUstreamで中継

 これらは、思想家・東浩紀氏の提案「政府内の全ての会議を『ニコニコ生放送』で公開しよう」が実現したもの。東氏は著書「一般意志2.0」において、ジャン=ジャック・ルソーの「社会契約論」を読み直し、近代民主主義の基礎である“一般意志”を集合的無意識だと解釈した。そして、最新の情報技術は“人々の無意識”を可視化できるとし、総記録社会の現実に照らしてアップデートした概念を“一般意志2.0”とした。これと熟議と組み合わせたものを「民主主義2.0」と呼んでいる。ごく簡単にイメージするなら「ニコ生のコメントが流れ続けると、議員は“空気”を読んで“まとも”になる」ということだ。

 なお、いわゆる「世論」をルソーは“全体意志”と呼び、“一般意志”と区別している。前者はみんなの意志の和であり、しばしば判断を誤るが、そこから相殺しあうプラスとマイナスを取り除いた“一般意志(差異の和)”は、決して間違うことはないという主張だ。

 東氏のツイートによると、新仕分けの担当者に「一般意志2.0」を読んでもらい実現に至ったとのこと。民主党は2009年のマニフェストでは、「オープンアンドフェアネス」のもと、日本社会を外に開き、全ての制度を透明化しつつ公平な社会を作るとうたっていた。実際には迷走が目立ったわけだが、少なくとも「情報公開」の点では、政権交代の成果を認めるべきだろう。08年のオバマ米大統領就任以降、オープンガバメント(開かれた政府)は大きな潮流でもある。

画像 議論を踏まえて、予算計上・検討・廃止などのアンケートを実施

 奇しくも16日は衆議院の解散当日となり、来月には総選挙が行われる。新仕分けの行方も未知数だ。新政権のもとで「民主主義2.0」はどうなるのか。“大衆の無意識”にさらされながらの議論と、密室で行う専門家同士の”空気”を読んだ議論とでは、得られる結果が大きく違うかもしれない。新仕分けは18日まで行われ、毎日ライブ配信される。そこのあなたもニコ生やUstreamを通じて、ネット時代の新しい議論に“参加”してみてはいかがだろうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news189.jpg 「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
  2. /nl/articles/2411/22/news014.jpg 川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
  3. /nl/articles/2411/22/news114.jpg 中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
  4. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  5. /nl/articles/2411/22/news032.jpg 「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
  6. /nl/articles/2411/22/news018.jpg 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  7. /nl/articles/2411/22/news171.jpg なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
  8. /nl/articles/2411/22/news145.jpg 大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
  9. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  10. /nl/articles/2411/22/news184.jpg 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた