美味しい日本酒で酔っ払った女の子――「酩酊女子」の世界へようこそ『酩酊女子 〜日本酒酩酊ガールズ〜』著者インタビュー(2/2 ページ)

» 2014年01月23日 10時00分 公開
[あびこeBook USER]
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

『酩酊女子』誕生秘話――あふれる「日本酒」と「本」へのこだわり

―― そんなお二人の、酩酊した女子への愛がこもった『酩酊女子』。製作秘話などあれば教えてください。

愛がこもった『酩酊女子』

アザミ 制作秘話……。はじめてのことが多くてとっても大変だったというのが正直なところです(笑)

杉村 これは僕のミスでもあるのですが、この本は、縦書きの本なんです。縦書きの日本語組版はとても大変なんですね。例えば横書きなら「180ml」などもそのまま書けばいいんですが、縦書きだとどう表記すればいいのかと。ショートストーリーを書くそれぞれの方に発注するときに、注意書きとして何かしら統一ルールを設定しておけば良かったなと。

アザミ 確かに最後の最後で気づいて「しまった」と思いましたよね(笑)。わたしは普段漫画の世界でしか文字を扱わないので、文章をきちんと誌面に載せるときのルールをあまり知らず、「こういうときどうすればいいんだー」みたいなのがたくさんあり、もっと勉強しとけばよかったなと思いました。

―― 編集上の苦労が多かったということですね。そもそも「酩酊女子」という本をお二人で作られることになったきっかけなどはあるのでしょうか?

杉村 アザミさんの『酩酊女子』に僕が参加するきっかけのことを話しますと、あるとき、アザミさんともうひとかたとで日本酒の同人誌を作ることを企画したんです。『もっとも〜っと日本酒を知りたいっ!』という同人誌ですね。これは、コミティアXというイベントで日本酒の講義をやりたいと。そこで、僕が誘われて一緒に同人誌を作成し、アザミさんと一緒にあれこれやるようになりました。

アザミ そうですね。夫に頼んで杉村さんにアポ取ってもらって、「講義やってもらえないですか」というのがはじまりでしたね。杉村さんのやさしい文章とやさしい語り口なら、日本酒よく分からないという人でも、抵抗なく受け入れられるんじゃないかと思って。

杉村 コミティアXは、同人誌を頒布するだけではなく何でもイベントやっていいよという特殊なイベントなんです。

 当時、というか今もですが、僕は自由大学というところで日本酒の講義をしておりまして。で、顔出しOKだし、人前で喋るのも全然苦にならないし、お酒の話ができるということで、その講義のテキストとして作成したのが「もっとも〜っと日本酒を知りたいっ」という同人誌だったというわけなんです。

―― それが今回の『酩酊女子』の原点とも言えるイベントだったと。

杉村 原点の『酩酊女子』はアザミさんの同人誌としてあったのですが、僕とかが加わることになったのはそこからですね。

アザミ わたし自身もそのころはまだまだ日本酒、好きだけど詳しくなくて、「わたしが知りたいことを本にしてもらおう」という感じでした。

―― 「むむ先生」の原点。

『酩酊女子』に登場する、分かりやすく日本酒について解説してくれる金髪低身長女子「むむ先生」。

アザミ そうでした。金髪低身長女子になるのはもう少し後のことですが、この辺りがむむ先生の誕生ですね(笑)。

―― 何か本書を作る際のこぼれ話などはありますか?

アザミ お酒は私が選んだのですが、地域を限定せずに日本酒を選ぶのがものすごく大変でした。誌面の都合上どうしても好きなお酒を全部は入れられないので、泣く泣く外したり、入れたり……地域に偏りでないように……という作業を結構長い間やっていました。意外とバランス取るのは難しいんだなと思いましたね。

―― 出版されるにあたって同人誌と商業誌の違いを感じることはありましたか?

アザミ 実は同人誌からの流用は1つもなく、同コンセプトで新たに作った感じです。文字数の関係もありますし、同人誌を長期にわたって頒布しているので、同じものを載せても仕方ないよね、となりまして。編集さんとも意見がまとまって描き下ろしという形になったんです。

杉村 アザミさんと知り合ってしばらくして、僕が醤油手帖という醤油同人誌を作りました。実は、今回の酩酊女子は、醤油手帖のデザインや文字組みをやってくれた方がデザインをされていて、それまで蓄積してきた縦書きを気持ちよく読んでもらえるようにするノウハウを詰め込んだのが商業版の酩酊女子になります。

 僕ら醤油手帖チームの方は、今の段階でできることを常に同人誌でも商業誌でも限界でも詰め込むので、作成時点ではあまり違いを意識しませんでした。個人的には、ほかの方の文章を扱うのが久しぶりなので、ここは漢字ではなくひらがなにした方がいいのではとか、そういう細かいところをどこまで指摘していいものかという葛藤があったぐらいです。

―― はじめて手に取る方も、長いファンの方も楽しめそうです。お二人がここぞ、という本書の見どころといえばどこでしょうか。

杉村 見どころはやっぱり何といっても美麗なイラストとショートストーリーですね。読みものとして相当面白いと思います。

美麗なイラストともに楽しむ「酩酊女子」にまつわるショートストーリー

アザミ やはり、19のエピソードにつまったかわいい酩酊女子たち、でしょうかね。一応かぶりがないよう、参加してくれたイラストレーターさん・作家さんには簡単なシチュエーションを伝えて描いていただいたのですが、本当に雰囲気も全然かぶりがでなくて、「すごいな」と作りながら感動していました。各作家さんの個性あふれる酩酊女子をお楽しみいただけると思います。

杉村 お酒解説コラムもアザミさんが漫画を付けてくれたおかげで、相当読みやすく、面白くなっています!

―― それでは最後に、本記事の読者の方へメッセージをお願いします。

杉村 美麗なイラストやストーリーも面白いのですが、今回のコラムは「日本酒のことがよく分からなくても、美味しい日本酒を飲みたい」という方に向けてのものになるように気を配りました。難しい用語などを覚えたくはないけれども、美味しいお酒を飲みたい、買いたい、そういう方にはコラムコーナーが参考になると思います。

 是非この本を読んで女の子に舌鼓を打ち、興味を持ったお酒があったら買ってみてください。お酒の買い方に関してもコラムに載せています!

アザミ この本は、酩酊女子と日本酒を愛でる、堅苦しくない楽しい本です。美麗なイラストとストーリーを楽しみながら、かわいい酩酊女子とともに今宵も杯を傾けましょう。

販売特典と関連イベント

特典

  • 一部書店(コミックガムの特約店さんなど)で描きおろしメッセージペーパー
  • COMIC ZIN…書き下ろしショートストーリー+イラスト掲載の8P小冊子
  • とらのあな…イラストトレーディングカードA
  • アニメイト…イラストトレーディングカードB
  • ワンダーグー…イラストカード(ポストカードサイズ)

ラジオ文化放送「福井謙二 グッモニ」出演

2014年1月24日午前7時〜9時(お二人の出演は8時15分〜8時30分付近)


『酩酊女子』発売記念・ManGa講座「酩酊女子と日本酒の素敵な関係」

2014年1月25日午後5時〜7時予定

参加費:3000円(日本酒試飲付き)

定員:30名

場所:ワーキングラウンジ EDITORY 神保町

http://univ2289.com/archives/event/meiteizyoshi


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news028.jpg 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
  2. /nl/articles/2411/19/news126.jpg 元「おニャン子」内海和子、娘・ゆりあんぬの“胃の粘膜ぶっ壊す”食事に激怒! 有名飲食店に謝罪し「出禁にして」「違う星の人そんな気がしてなりません」
  3. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  4. /nl/articles/2411/19/news083.jpg 「恐ろしい」 北海道の道路標識 → “見落としたら絶望”のとんでもない表示に衝撃走る 「普通にホラーでは?」
  5. /nl/articles/2411/18/news019.jpg 優しそうな“おかっぱ頭”の男性→プロがカットしたら…… “別人級の仕上がり”が470万再生「えっ!? って声出た」「EXILEみたい」
  6. /nl/articles/2411/19/news114.jpg 平愛梨、“夫・長友佑都選手”に眠れなくてLINE送信→“まさかの返信”に「なんやねん」「もう寝るしかない」
  7. /nl/articles/2411/18/news025.jpg “無給餌”で育てたメダカが2年後、驚きの姿に→さらに半年後…… 放置しておいたビオトープで起きた“奇跡”に「ロマンを感じる」
  8. /nl/articles/2411/18/news120.jpg 「天才が現れた!」 森永が教える“秋らしい”お菓子の作り方→たこ焼き器を使ったアイデアに「すごいすごい可愛い」
  9. /nl/articles/2411/19/news009.jpg 固い着物をリメイクしてみたら…… 生まれ変わった“まさかのアイテム”に「しゅげー!」「凄い素敵です」
  10. /nl/articles/2411/19/news062.jpg 「上げ底の先」 その名に偽りなし、高専の文化祭に出現した「限界節約ホットドッグ」が本当に限界だった
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた