美味しい日本酒で酔っ払った女の子――「酩酊女子」の世界へようこそ:『酩酊女子 〜日本酒酩酊ガールズ〜』著者インタビュー(2/2 ページ)
『酩酊女子』誕生秘話――あふれる「日本酒」と「本」へのこだわり
―― そんなお二人の、酩酊した女子への愛がこもった『酩酊女子』。製作秘話などあれば教えてください。
アザミ 制作秘話……。はじめてのことが多くてとっても大変だったというのが正直なところです(笑)
杉村 これは僕のミスでもあるのですが、この本は、縦書きの本なんです。縦書きの日本語組版はとても大変なんですね。例えば横書きなら「180ml」などもそのまま書けばいいんですが、縦書きだとどう表記すればいいのかと。ショートストーリーを書くそれぞれの方に発注するときに、注意書きとして何かしら統一ルールを設定しておけば良かったなと。
アザミ 確かに最後の最後で気づいて「しまった」と思いましたよね(笑)。わたしは普段漫画の世界でしか文字を扱わないので、文章をきちんと誌面に載せるときのルールをあまり知らず、「こういうときどうすればいいんだー」みたいなのがたくさんあり、もっと勉強しとけばよかったなと思いました。
―― 編集上の苦労が多かったということですね。そもそも「酩酊女子」という本をお二人で作られることになったきっかけなどはあるのでしょうか?
杉村 アザミさんの『酩酊女子』に僕が参加するきっかけのことを話しますと、あるとき、アザミさんともうひとかたとで日本酒の同人誌を作ることを企画したんです。『もっとも〜っと日本酒を知りたいっ!』という同人誌ですね。これは、コミティアXというイベントで日本酒の講義をやりたいと。そこで、僕が誘われて一緒に同人誌を作成し、アザミさんと一緒にあれこれやるようになりました。
アザミ そうですね。夫に頼んで杉村さんにアポ取ってもらって、「講義やってもらえないですか」というのがはじまりでしたね。杉村さんのやさしい文章とやさしい語り口なら、日本酒よく分からないという人でも、抵抗なく受け入れられるんじゃないかと思って。
杉村 コミティアXは、同人誌を頒布するだけではなく何でもイベントやっていいよという特殊なイベントなんです。
当時、というか今もですが、僕は自由大学というところで日本酒の講義をしておりまして。で、顔出しOKだし、人前で喋るのも全然苦にならないし、お酒の話ができるということで、その講義のテキストとして作成したのが「もっとも〜っと日本酒を知りたいっ」という同人誌だったというわけなんです。
―― それが今回の『酩酊女子』の原点とも言えるイベントだったと。
杉村 原点の『酩酊女子』はアザミさんの同人誌としてあったのですが、僕とかが加わることになったのはそこからですね。
アザミ わたし自身もそのころはまだまだ日本酒、好きだけど詳しくなくて、「わたしが知りたいことを本にしてもらおう」という感じでした。
―― 「むむ先生」の原点。
アザミ そうでした。金髪低身長女子になるのはもう少し後のことですが、この辺りがむむ先生の誕生ですね(笑)。
―― 何か本書を作る際のこぼれ話などはありますか?
アザミ お酒は私が選んだのですが、地域を限定せずに日本酒を選ぶのがものすごく大変でした。誌面の都合上どうしても好きなお酒を全部は入れられないので、泣く泣く外したり、入れたり……地域に偏りでないように……という作業を結構長い間やっていました。意外とバランス取るのは難しいんだなと思いましたね。
―― 出版されるにあたって同人誌と商業誌の違いを感じることはありましたか?
アザミ 実は同人誌からの流用は1つもなく、同コンセプトで新たに作った感じです。文字数の関係もありますし、同人誌を長期にわたって頒布しているので、同じものを載せても仕方ないよね、となりまして。編集さんとも意見がまとまって描き下ろしという形になったんです。
杉村 アザミさんと知り合ってしばらくして、僕が醤油手帖という醤油同人誌を作りました。実は、今回の酩酊女子は、醤油手帖のデザインや文字組みをやってくれた方がデザインをされていて、それまで蓄積してきた縦書きを気持ちよく読んでもらえるようにするノウハウを詰め込んだのが商業版の酩酊女子になります。
僕ら醤油手帖チームの方は、今の段階でできることを常に同人誌でも商業誌でも限界でも詰め込むので、作成時点ではあまり違いを意識しませんでした。個人的には、ほかの方の文章を扱うのが久しぶりなので、ここは漢字ではなくひらがなにした方がいいのではとか、そういう細かいところをどこまで指摘していいものかという葛藤があったぐらいです。
―― はじめて手に取る方も、長いファンの方も楽しめそうです。お二人がここぞ、という本書の見どころといえばどこでしょうか。
杉村 見どころはやっぱり何といっても美麗なイラストとショートストーリーですね。読みものとして相当面白いと思います。
アザミ やはり、19のエピソードにつまったかわいい酩酊女子たち、でしょうかね。一応かぶりがないよう、参加してくれたイラストレーターさん・作家さんには簡単なシチュエーションを伝えて描いていただいたのですが、本当に雰囲気も全然かぶりがでなくて、「すごいな」と作りながら感動していました。各作家さんの個性あふれる酩酊女子をお楽しみいただけると思います。
杉村 お酒解説コラムもアザミさんが漫画を付けてくれたおかげで、相当読みやすく、面白くなっています!
―― それでは最後に、本記事の読者の方へメッセージをお願いします。
杉村 美麗なイラストやストーリーも面白いのですが、今回のコラムは「日本酒のことがよく分からなくても、美味しい日本酒を飲みたい」という方に向けてのものになるように気を配りました。難しい用語などを覚えたくはないけれども、美味しいお酒を飲みたい、買いたい、そういう方にはコラムコーナーが参考になると思います。
是非この本を読んで女の子に舌鼓を打ち、興味を持ったお酒があったら買ってみてください。お酒の買い方に関してもコラムに載せています!
アザミ この本は、酩酊女子と日本酒を愛でる、堅苦しくない楽しい本です。美麗なイラストとストーリーを楽しみながら、かわいい酩酊女子とともに今宵も杯を傾けましょう。
販売特典と関連イベント
特典
- 一部書店(コミックガムの特約店さんなど)で描きおろしメッセージペーパー
- COMIC ZIN…書き下ろしショートストーリー+イラスト掲載の8P小冊子
- とらのあな…イラストトレーディングカードA
- アニメイト…イラストトレーディングカードB
- ワンダーグー…イラストカード(ポストカードサイズ)
ラジオ文化放送「福井謙二 グッモニ」出演
2014年1月24日午前7時〜9時(お二人の出演は8時15分〜8時30分付近)
『酩酊女子』発売記念・ManGa講座「酩酊女子と日本酒の素敵な関係」
2014年1月25日午後5時〜7時予定
参加費:3000円(日本酒試飲付き)
定員:30名
場所:ワーキングラウンジ EDITORY 神保町
http://univ2289.com/archives/event/meiteizyoshi
関連記事
- 空想都市「中村市」へようこそ――地図と想像のはざまで
空想都市「中村市」の精密な地図。それは、何気ない日常が描かれた絵だった――。『みんなの空想地図』を刊行した“地理人”こと今和泉隆行さんに空想と想像の世界を聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
-
60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
-
「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
-
皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
-
真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
-
71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
-
新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
-
家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
-
ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
-
「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
- 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
- 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
- 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
- セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」