「VOCALOID 東北ずん子」発売直前! “お父さん”たちにその歩みを聞いてみた(2/2 ページ)
ボカロの声を担当する佐藤聡美さんのすごさ
―― 活動の幅を少しずつ広げてきた「東北ずん子」もいよいよボーカロイドの仲間入りをするわけですね。
クラウドファンディングで応援していただいたおかげです。
―― パッケージイラストはこれまで通りのデザインなのですね。
そうですね。 ただマイクは持たなくていいじゃないって話はしましたね。
※従来、ボーカロイドソフトのパッケージイラストはマイクを持っていたり、ヘッドセットを身につけている場合が多かった。最近その傾向は薄れつつあるという。
描かなくていいんですかって確認はしたんですけどね……。
別に……もういいかなって。
―― ボーカロイドの収録は大変だとよく聞きますが「東北ずん子」の場合はどうでした?
ずん子ちゃんの声を担当してくださった声優の佐藤聡美さんが本当にすごかったですね。確かにボーカロイドの収録というのはすごく時間がかかって、声を担当する人の負担がすごいと聞いていたんですが、佐藤さんは声を自在に操れる技術を持った人なので収録もスムーズだったような。
―― ちなみに収録ってどれくらいの期間をかけて行われたのですか?
いろいろと話しちゃいけないこともあるので、具体的には言えませんが……。最初のころは1日5時間くらいで始めて、途中から佐藤さんの負担を考慮して1日3時間くらいになりましたね。それが週1回って感じだったかな。
―― え? 収録時間を短くしたんですか?
そうなんですよ。 それが出来たのも佐藤さんの技量があってこそですね。
―― さすがしゅがぁ(佐藤さんの愛称)やで……。具体的にどこがすごいと感じたのですか?
ボーカロイドの収録で大切なのは「同じ声が毎回出せる」ということなんですが、佐藤さんはそれが確実に出来るんですよね。さらに声を調整するのも上手くて。例えばサウンドエンジニアさんが「○○の子音を大きくしてください」と指示しても正確に対応できるわけの分からないスーパーテクニックを見せていただきました。
―― しゅがぁとか言ってごめんなさい。子音を調整なんて、高等すぎて常人の私には理解できないです。
ずん子ちゃんの歌声って、ウィスパーボイスのような声質なんです。なので、もしかしたらボカロ化するのは難しいかもしれないと聞かされていたんですが、無事に完成したので一安心ですね。
―― ちなみになぜ声の担当は佐藤聡美さんに決まったのですか? やっぱり東北地方の出身だからということでしょうか。
かなり昔にずん子ちゃんがTwitterでさりげなく(どの声優さんに声を当ててほしいか)聞いたら佐藤さんが良いよねって声が多かったこと、あとは佐藤さんがずん子ちゃんを知っていてくださったこと。いろんな縁があって、もう佐藤さんしかないなと。所属している青二プロさんに直接お願いしに行きましたね(2012年に発売された「VOICEROID+ 東北ずん子」も佐藤聡美さんが担当)。
―― そうだったんですね。ずん子ちゃんがTwitterで……あれ? そういえば今日はずん子ちゃんの中の人は……
ずん子ちゃんはずん子ちゃんです。
―― (ん? ヒザに何か刺さったy……)ソウデスネ、ズンコサンハ、ズンコサンデス……ハッ! ずんだ餅に囲まれる幸せな夢を見ていました。つ、続けます。
次に目指すはアニメ!
―― 今回のボカロ化の次はどんなことを目標にしているのかを聞かせてください。
アニメ! アニメをやりたいですね。そして版権フリー素材として配布したい。
―― アニメを素材にする……ですって!?
そうです。動きのあるアニメーションをそのまま素材集という感じで配布できたら面白いなと思っています。
―― アニメを素材集という捉え方は斬新ですね。
それができちゃうのが版権フリーなキャラクターである「東北ずん子」の強みなんです。アニメといえば製作委員会という制度がありますけど、ずん子ちゃんの場合はライセンスをSSS合同会社で一括管理しているので、製作委員会を組織してのアニメ作りは難しいなと思っています。
―― すでに権利をまとめて管理しているSSS合同会社があるからこそ版権フリーが実現しているんですよね。
そうなんです。なので、もし本当にアニメをやろうってなったら、今回のボーカロイドと同じようにクラウドファンディングを利用することになるかもしれません。
―― ライセンスの問題は複雑ですからね。アニメ以外の目標はありますか?
きりたんとイタコさん(ずん子の姉妹の東北イタコ、東北きりたん)をUTAU化……。というのもありかなと思っています。ボーカロイドは体力を使いすぎるので。
―― まだまだやりたいことだらけなんですね。
そうですね。「東北ずん子」の挑戦はまだまだこれからです!
東北の企業なら事前の使用申請を必要としないキャラクターとして登場した「東北ずん子」。「VOICEROID+ 東北ずん子」が動画サイトに投稿されているゲーム実況プレイで使用されたり、オフィシャルサイトで配布しているキャラクターイラストが東北で開催されるイベントに使用されたりと、少しずつ活躍の場は広がっているそうです。「東北ずん子」を使用する企業も少しずつ増えており、小田さんによると今では使用状況の情報を追い切れなくなっているそうです。
今年でデビューから3年目。ファンに支えられて歩いてきた「東北ずん子」の道はまだまだ続きます。
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