世界的にも希少な自然の芸術品 “雪の怪獣”を見たことがありますか?

自然の芸術品「樹氷」は、怪獣の姿を連想させるその造形から、「スノーモンスター」「アイスモンスター」「ホワイトモンスター」の愛称で呼ばれています。

» 2015年01月24日 19時32分 公開
[日本気象協会 tenki.jp(http://www.tenki.jp/)]
Tenki.jp

 いくつもの自然現象が重なったときにだけできる自然の芸術品「樹氷」。

 “世界広し”といえども、国内の蔵王(山形と宮城の県境)、青森の八甲田、秋田の八幡平のほか、国外では黒い森と呼ばれるドイツのシュヴァルツヴァルトでしか、樹氷は見られません。

 怪獣の姿を連想させるその造形から、「スノーモンスター」「アイスモンスター」「ホワイトモンスター」の愛称で呼ばれる、神秘的かつ圧倒的迫力の樹氷群を観に、あなたもこの冬少し足を延ばしてみませんか。

ライトアップされた樹氷原。まるで怪獣が行進しているよう!

大パノラマに広がる圧倒的迫力の樹氷群

 一面の銀世界に立ち並ぶ造形美化した巨大樹氷「スノーモンスター」は、いくつもの気象条件が合致したときにしか見られないとても珍しい現象なのです。その条件とは……、

  • 適量な降雪量
  • 常緑針葉樹「アオモリトドマツ」が自生している(ブナなどの落葉広葉樹では氷や雪がつきにくい)
  • 亜高山地帯の山の西傾斜
  • 西高東低の強い冬型の気圧配置
  • 過冷却水滴を空中に浮遊させる強い西風が吹く
  • 多量の過冷却水滴(湿気)が発生する
  • 気温が0℃以下であり、ときに氷点下10℃の猛吹雪が吹く

 こうした条件が揃ったうえで、さらに3つのサイクル(画像)が繰り返されることで誕生する樹氷……。

 人の身長をはるかに超えるモンスターが群れをなす樹氷原は、一生に一度は見たい絶景です。

イベントも多数開催

 青空の下、なだらかな山裾をまるで行進するように立ち並ぶモンスターたちのきらめき、夕焼けや朝焼けに鮮やかに染まる幻想的なモンスター、あるいは漆黒の闇に浮かび上がるモンスター……。

 24時間どのシーンを切り取っても息をのむ迫力と美しさで、私たちの目を楽しませてくれる樹氷。その神秘的な光景を見に世界中から人々が訪れるだけあり、さまざまなイベントが開催されています。

蔵王樹氷まつり「雪と炎の饗宴」

期間/1月31日(土)19:15〜20:30。蔵王温泉スキー場 上の台ゲレンデで繰り広げられる雪と炎の祭典。過去の同イベントでは荘厳な音楽とともに100人以上のスキーヤーが、真っ赤に燃える松明(たいまつ)を掲げて白銀のゲレンデを滑走するプログラムや、雪上花火も開催。樹氷観光をプランニングしている人は、早めにチェックを!

冬のファンタジー「デイライト&ライトアップ樹氷」

期間/〜3月上旬 17:00〜21:00。場所/蔵王ロープウェー(上り最終〜19:50まで)。山麓線・山頂線を乗り継いだ先に広がる360度の大パノラマは圧巻! 色彩豊かなライトアップに浮かびあがる樹氷の美しさはもちろん、ホワイトモンスターが林立する静寂な漆黒の闇の中に一歩足を踏み入れれば、異次元の世界に迷い込んだような錯覚するはず。

八甲田ロープウェーもおすすめ

 JR青森駅からJRバス十和田湖行き(冬期1日1便)で、約1時間20分の「八甲田ロープウェー」(山麓駅〜山頂公園駅を結ぶ全長2459m)のゴンドラからは、八甲田山山域に広がる樹氷原を堪能できます。

 この地は、映画『八甲田山』の雪中行軍の舞台としても有名ですが、十和田八幡平国立公園内のロープウェーだけあり、春・夏スキー、新緑、紅葉をはじめ、青森市街、陸奥湾、津軽&下北半島、そして岩木山を見渡す雄大な眺望も魅力。それだけに旅行会社が主催するツアーは多数あるので、興味のある方はぜひ!

 思い立ったら吉日です。

 世界中から観光客が訪れる樹氷の見頃は2月上旬〜3月中旬。まさしく今が旅行を計画するグッドタイミング!

 樹氷見学を兼ねてスキー&スノーボードを楽しむもよし、しっぽり秘湯につかるもよし、美味を堪能するもよし……、あなたらしい旅行を計画してみてくださいね。

※いずれもダウンジャケット、アノラック、手袋、帽子、厚手の靴下等の防寒対策を万全に!

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