「一生かかっても答えが見つけられるか分からない」 キャストらが語る劇場版アニメ「ハーモニー」の難しさ
11月14日に行われた舞台挨拶の様子をお届けします。
11月14日、映画「ハーモニー」の公開記念舞台挨拶が行われ、霧慧トァン役の沢城みゆきさん、御冷ミァハ役の上田麗奈さん、零下堂キアン役の洲崎綾さん、マイケル・アリアス監督、なかむらたかし監督が登壇しました。
2009年に34歳の若さでこの世を去った作家の伊藤計劃(けいかく)さんの作品を劇場アニメ化する「Project Itoh」の第2作目となる「ハーモニー」。超高度医療社会となった未来の世界を舞台にした作品で、平和維持活動の最前線にいる監察官・霧慧トァンが、ある犯行グループが起こした大量殺人事件の中にかつて自殺した御冷ミァハの息遣いを感じ、真相を確かめるべく立ち上がっていくストーリーです。もともとは12月4日の公開を予定していた同作ですが、11月公開予定だった「虐殺器官」の制作会社・マングローブの経営破綻により、当初の予定より早まった公開となりました(関連記事)。
人の生と死にかかわる問題を投げかける、非常に重いテーマを扱う同作。沢城さんは、あらためて見た感想を聞かれ「一言でまとめられない。しばらくぼんやりしてしまった」とコメント。「現代にもありうる、今の自分でも体験できるところがあるんですが、そこが一人では抱えきれず、(誰かと)共感しあわないと分からないと感じました」(上田さん)、「見終わった後、しばらく魂を持っていかれてしまった」(洲崎さん)と声優たちはそれぞれ、同作に込められたテーマを受け止めることの難しさを口にしました。
「“履歴書”があるキャラクターという印象がないので、トァンがどういう人かと聞かれると、とてもむずかしい。ずっとぼんやりしながらやっている印象があった」という沢城さん。一つ一つのシーンで「これは何を大切にすればいいか」と確認しながら演じたと、現場での苦労を語る一方で、なかむらたかし監督は「芝居がうまいので、そこに非常に助けられた」と沢城さんの演技力を絶賛。
そして、監督自身がキャラクターをつかむのが大変だったと話す御冷ミァハ役に上田麗奈さんを起用した理由については、「声を聞いたときに『少しイってるな、壊れているな』という感じがしたので」と話し、零下堂キアン役の洲崎綾さんについては、「ミァハが上田さんに決まったときに、もう少し普通な感じの声が欲しかった」と配役決定の裏話を披露。洲崎さんがキャスティングされた理由について「喜んでいいんですね?」と突っ込みを入れると、会場が笑いに包まれました。マイケル・アリアス監督も「三人にして正解だったと思う。非常に立体的な感じがした」とコメントしました。
最後、あらためて作品について聞かれ、「抱腹絶倒な作品ではないですが、心が動かされるという意味では、何よりもエンタメ作品ではないかと思います」と沢城さん。上田さんは一生ものの体験となったようで、「伊藤先生から問題を投げかけられて、一生かかっても答えが見つけられるかは分からないけれど、向き合っていきたい。作品を通して、新しい角度で命を考えることができたのがうれしく、ずっと噛みしめていきたいと思っています」とコメント。洲崎さんは、「生と死という根源的な問題について価値観を揺さぶられる作品にかかわれたことをありがたく思っています。本や言葉にはものすごいパワーが秘められているんだとあらためて感じました」と、作品をアピールしていました。
演出家の二人も、「伊藤計劃先生の原作がすごくすてきな作品なので、ぜひ、読んでいただきたい。本当は先生にも映画館で見せてあげたかった」(アリアス監督)、「非常に皮肉の効いた物語ですが、それでも人生の中に持ち込める何かが得られれば救われるんだろうなと、そんな思いをこめて演出をしたつもりです」(なかむら監督)と、作品への熱い思いを語りました。
映画「ハーモニー」は、TOHOシネマズ新宿ほか全国劇場にて公開中です。さらに東京アニメセンターでは、「屍者の帝国」「ハーモニー」「虐殺器官」に使用された原画や資料を展示する「Project Itoh」展が11月23日まで開催中。映画とあわせて見に行くのもよさそう。
また、劇場公開を記念して、「WebNewtype」に掲載中のコミック版「ハーモニー」が、12月9日まで期間限定で全話無料公開中。こちらも要チェックです!
(田下愛)
関連記事
- マングローブの経営破綻で制作中断になっていた映画「虐殺器官」、新スタジオでの制作継続が決定!
メインスタッフはちゃんと続投です! - アニメ制作会社「マングローブ」が東京地裁より破産手続き開始決定受ける 「サムライチャンプルー」など制作
負債は約5億4446万円。10月1日には自己破産申請の準備に入っていました。 - 劇場アニメ「虐殺器官」公開延期 制作会社マングローブの自己破産申請が影響
12月4日に公開を予定していた「ハーモニー」の公開が繰り上がり、「虐殺器官」が予定していた11月13日に公開される。 - アニメ制作会社マングローブ、自己破産申請へ 「サムライチャンプルー」「ハヤテのごとく!」など制作
最近では劇場版アニメ「虐殺器官」を手掛けている。 - 映画「虐殺器官」主演は中村悠一 大塚明夫、櫻井孝宏ら豪華出演陣の名も
キャスト・主題歌が発表。 - さよなら、わたし さよなら、たましい 「虐殺器官」「ハーモニー」のコミカライズがWebで連載開始!
Project goes on…… - 伊藤計劃「虐殺器官」「ハーモニー」、2015年に劇場アニメに
イラストレーターredjuiceさんによるビジュアルやPVを公開。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
-
60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
-
「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
-
皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
-
真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
-
71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
-
新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
-
家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
-
ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
-
「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
- 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
- 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
- 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
- セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」