ニュース
» 2015年12月22日 20時00分 公開

「手塚治虫文化祭」特別対談 上條淳士×手塚るみ子が語る“漫画”と“吉祥寺”と“手塚治虫”(1/2 ページ)

漫画の神様の娘と神様に影響を受けた漫画家、二人から見た手塚治虫。

上條淳士さんと手塚るみ子さん 上條淳士さんと手塚るみ子さん

 2015年12月17日〜23日の1週間、吉祥寺「リベストギャラリー創」にて開催されている「手塚治虫文化祭」。漫画家・手塚治虫の作品やキャラクターをモチーフに、出展者それぞれが手塚作品へのオマージュを込めて、オリジナルアイテムを製作・展示販売するというイベントだ。

 第1回目となる今回の出展作家は17人。江口寿史さん・上條淳士さん・島本和彦さん・寺田克也さん・古屋兎丸さんなど、それぞれ多くのファンを持つ豪華メンバーが参加している。

 イベントの開催を記念して、「手塚治虫文化祭」主催者である手塚るみ子さんと、今回出展者として参加する「TO-Y」「SEX」などの代表作を持つ漫画家の上條淳士さんとの特別対談が実現。“漫画” “手塚治虫” “吉祥寺”など共通のキーワードを元に、クロストークが始まった。

「手塚治虫文化祭」会場の様子


上條さんの出展Tシャツ「奇子とメルモ」

10代を過ごした思い出の地、吉祥寺

―― 手塚さん、上條さんの出会いのきっかけは?

上條 3年くらい前(2012年)にリベストギャラリー創で開催した30T展(江口寿史さん主宰のTシャツ展。30人クリエイターがオリジナルTシャツを出展。2011年から2014年まで計4回開催された)に、るみ子さんが来場してくれたのがきっかけです。その前にTwitterで挨拶だけしてたんですけど。

手塚 会場となったリベストギャラリー創の前は何度も通り掛かっていたんですが、上條先生が30T展に参加されると知ったのはTwitterでしたね。

上條 るみ子さんも、10代のころを吉祥寺で過ごしたんですよね?

手塚 通っていた学校が成蹊学園で吉祥寺だったので地元のような感覚です。上條さんも吉祥寺が地元ですよね?

上條 僕も高校が吉祥寺だったんですよ(笑)。過ごした年代が一緒だから吉祥寺のどこかですれ違ってますよね。

手塚 同世代なので恐らく制服姿ですれ違ってますね(笑)。学校は制服着用だったんですか?

上條 自分の学校の制服はブレザーでした。学生時代はさぼってばかりいました(笑)。電車通学だったんで、朝、吉祥寺に着くとブレザーを脱いでシャツ姿のまま喫茶店で過ごして、午後から学校に登校して過ごしました。そんなことしてたら2年の時に「単位が足りない」って呼び出されたりしました。一人でプラプラするのが好きで、喫茶店じゃない時はだいたい映画館にいました。

手塚 きっとどこかですれ違ってますね。

上條 「くぐつ草」(吉祥寺にある老舗喫茶店)とかで絶対会ってますよ。

手塚 吉祥寺が地元高校と伺ってすごくうれしいです。学年も一つ違いですし、Twitterにあげていた上條先生自身の若いころのパンクファッション姿の写真がすごくかっこよくて。「TO-Y」そのままですね。

上條 ファッションパンクですよ(笑)。

上條淳士さん 上條淳士さん

手塚 漫画はそのころから描いていたんですか?

上條 高校では漫画部の部長だったんですよ。最初、美術部に入ろうと思ったんだけど、クラブを立ち上げた方が面白そうだなと思って。世代が被っていないので面識はありませんでしたが、5歳下の松本大洋くん(漫画家、代表作「ピンポン」「鉄コン筋クリート」など)は同じ学校の後輩でした。

 漫画部を創立した高校2年の時、先生に顧問になってもらうため新入生へクラブ説明会を行ったら50人くらい集まって創立できたんですけど、その時はまだ漫画を描いてなかったんですよ。ちゃんと漫画を描き始めたのは高校卒業してからで、漫画部は部室として使わせてもらっていた美術部の共有スペースをサロン化させてダラダラ過ごしていました。美術部員から「邪魔だなぁ」って、嫌がられていたと思います。

手塚 上條作品を拝見したのは大学生のときで、それまで少女漫画をたくさん読んでたんですが本屋でコミックスの表紙に一目ぼれして一気読みしてしまいました。「なんてかっこいい漫画だろう!」と。漫画を読んでいて音楽が聞こえる作品はほかにもありましたが、こんなに紙面からビートの響く漫画はありませんでした。

手塚るみ子さん 手塚るみ子さん

上條 僕の見てきたものと、るみ子さんが見てきたものが近い気がします。映画や演劇や音楽にしても10代のころから色んなジャンルのものを見てきていると思うし、僕もいろいろなものを好きで見てきたから、シンパシーを感じます。

手塚 パンクミュージックが好きというわけではなく、社会現象としてのパンクがとても好きだったんですが、中でも「TO-Y」みたいな作品はほかに無かったですね。

上條 10代のころに何に興味を持っていたか? というのはとても大事だと思うんですけど、10代のころに吉祥寺の風景に二人ともいたというのがすんなり今につながってる気がします。

手塚 「TO-Y」に登場するヒデローの髪型にしたくて、美容室へ「TO-Y」のコミックスを持っていって「これにしてください」って頼んでました。「漫画は角度によって髪型が変わるからな〜」ってよく言われたんですけど、吉祥寺にある「連獅子」という美容室では「分かりました」という感じで切ってくれました。

上條 「連獅子」ね!

手塚 やっぱりかっこいいんですよね。女性のパンクってイメージしづらかったんですが、「TO-Y」を見て「あ、これだ!」って。

地元・吉祥寺の街を歩く手塚さんと上條さん 地元・吉祥寺の街を歩く手塚さんと上條さん

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2312/08/news148.jpg DAIGOの姉・影木栄貴、ノーメイク姿の姉弟ショットで美形ファミリーぶり際立つ 「目元瓜二つ」「すっぴんでも綺麗」
  2. /nl/articles/2312/07/news024.jpg 生まれて間もなく捨てられていた保護子猫が“真っ白なエビフライ”に おなかいっぱい食べられるおうちで過ごす姿に心あたたまる
  3. /nl/articles/2312/08/news124.jpg 元・成宮寛貴ら、豪華メンバー飲み会に“元芸能人”が偶然登場 衝撃の身なりに「都内でこの格好ヤバっ」
  4. /nl/articles/2312/08/news109.jpg 小木博明の妻、52歳のサプライズ誕生日会に「負荷などありましたが嬉しくて」 “母”ら豪華メンバー集結に「みなさんいい笑顔」「ハッピーで最高」
  5. /nl/articles/2312/08/news023.jpg 赤いアロワナ(紅龍)を買ったら色が変化、「もしかして騙された?」と思ったら…… 劇的に変化した理由が興味深い
  6. /nl/articles/2312/05/news021.jpg 柴犬が見つけた瀕死の子猫、最後の力で立ち上がり…… 優しさが救った小さな命が600万再生「感動と感謝です」
  7. /nl/articles/2312/08/news026.jpg 子猫を保護して2週間、最初は警戒していた先住犬たちも…… みんなで団子寝する仲睦まじい姿に「なんて幸せな光景」「愛にあふれてる」
  8. /nl/articles/2312/08/news141.jpg 「感心しまくりでたーくさんGET」 神田うの、“初ZARA”での爆買いに感動「リーズナブルでビックリ」
  9. /nl/articles/2312/08/news147.jpg 寺田心、最新の“細マッチョ”姿に驚きの声が集まる 「体が逆三角形」「筋肉系になっていたとは」
  10. /nl/articles/2312/08/news017.jpg 柴犬、飼い主の「行ってくるね」にジワジワと表情がくもっていき……? 豊かな感情のゆれ動きに「切ない……」「押し寄せてる」
先週の総合アクセスTOP10
  1. オール巨人、30年モノな“伝説の1台”に自負「ここまでキレイな車はない」 国産愛車の雄姿に称賛の声「気品がある」「凄くエレガント」
  2. 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
  3. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  4. 田中みな実、“共演した姉”の存在に反響「居るとは聞いていたけど」「激似やなぁ」 すらっとしたたたずまいに「品のあるお方」
  5. 藤本美貴、“全然かわいくない値段”のテスラにグレードアップ スマホ一つでの注文に「震えちゃ〜う!」
  6. マックで「プレーンなバーガーください」と頼んだら……? 出てきた“予想外の一品”に驚き「知らなかった」
  7. 伊藤沙莉、“激痩せ報道”の真相暴露→広瀬アリスの株が上がってしまう 「辱めったらない」告白に「アリスちゃん、ええ人や〜」
  8. 「あなたは日本人?」突然送られてきた不審なLINE、“まさかの撃退方法”に反響 「センス良い」「返しが秀逸」
  9. “鬼ダイエット”で激やせの「Perfume」あ〜ちゃん、念願の姿に「着れる日が来るなんて」と大喜び
  10. 900万再生のワンコに「電車で笑ってしまった」「つられてめちゃくちゃ笑っちゃうw」 “突然魔王になった犬”に腹を抱える人続出
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
  2. 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
  3. 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
  4. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
  7. “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
  8. 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
  10. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」